幽霊の間借り人とはちゃめちゃな新生活!前向き幽霊と人生受け身な運転手、あべこべな日々を描く創作漫画に注目【作者に聞く】
幽霊が見えないことを求めて引っ越した青年。神社の目の前で変な噂もない新居のはずが、部屋には男性の霊が住み着いていて――。

pixivマンガ月例賞(2023年5月投稿分)で優秀賞を受賞したながいさき
(@kakico_0601)
さんの創作漫画
「4月の間借り人」
は、霊感体質のタクシードライバーと、生前の恋人を探す幽霊の奇妙な関係を描いた作品だ。ウォーカープラスでは作者のながいさきさんに同作を描いたきっかけを聞いた。
彼女をもう一度見たい幽霊の間借り人と塩対応ドライバーの1カ月
物語は、タクシーの運転手を務める「浦川優斗」の引っ越しからはじまる。幽霊が見えてしまう体質に悩まされていた浦川は、神社が間近にあり霊が寄り付かなそうな物件を求め転居したのだ。

だが、「誰だアンタ」と声を上げたのは、部屋に浮かぶ男性の幽霊。霊になって半年だという「阿久津玲」は、あの世へ向かう前に恋人の顔を一目見ようと、彼女が住んでいたこの部屋に現れたという。

幽霊にうんざりしていた浦川は、阿久津の事情に耳も貸さず神社でお祓いをすると宣言。だが、神社は月末まで留守となっており、浦川は「月末まで」という条件で阿久津が居残ることを了承する。
なし崩しで迎えた幽霊の居候に生活を振り回される浦川だが、阿久津の人探しには関わらず月末を待っていた。だがある日、阿久津のかつての恋人「遥香」が、偶然浦川のタクシーを拾う。

待ちに待った機会に、浦川に彼女の近況を聞き出すようヒートアップする阿久津。しかも途中で遥香の現在の恋人も乗り合わせ、事態は急展開を迎える――、というストーリーだ。
「シンプルに読みやすく」あべこべな2人を描いた短編
霊に悩まされる浦川と一見お気楽な阿久津の掛け合いがコミカルな一方、幽霊となった阿久津が本音をのぞかせるクライマックスに心を動かされる短編作品。描いたきっかけを「タクシー運転手が幽霊に憑依されて暴走する絵が描きたかったのが始まりです」と話すながいさんに、作品制作の舞台裏を取材した。

――一途さゆえに暴走してしまう阿久津と、振り回されながら彼を見届けることになった浦川のやり取りや関係に惹きこまれる作品です。本作はどんなところを軸に物語を膨らませていったのでしょうか?
「もう死んじゃっているけれど、生き生きしている幽霊・阿久津と、霊感体質で人生受け身になっている浦川。あべこべなんですが、生きている人と死んでしまった人という立場は揺るがないので、その部分を大切に考えました」
――ながいさんのこれまでの作品と比べ、シンプルな画面で感情表現にフォーカスしているように感じました。作画や演出で意識されたポイントは?
「今回のお話は、深く捉えると重い話になってしまうと思ったので……。絵は抑えめに、シンプルに読みやすくを心掛けて描きました」
――本作でこだわった点や、挑戦してみたことがあれば教えてください。
「とにかく読みやすい画面と、出番が少ないキャラクターも色を出すことを目標に描きました」
――今後の創作活動での目標や展望についてメッセージをお願いします。
「描き続けることで少しずつでも漫画がうまくなればうれしいと思っています!読んでいただいてありがとうございました」
取材協力:ながいさき(@kakico_0601)