何かと人にものをねだる「くれくれちゃん」。長年に渡って染みついた問題行動は改善できるのか?【作者に聞く】

長年に渡って染みついた癖を直すことは非常に難しい。少し変わった箸の持ち方、ふとしたときに漏れる口癖…、これくらいのことであれば放置してしまう人が多いだろう。しかし、そんな自分の癖が他人に迷惑をかけてしまう場合はどうだろうか。何かと人のものを欲しがり、さまざまなトラブルを巻き起こす「くれくれちゃん」は他人に迷惑を掛けてしまう典型例ではないだろうか。今回は、そんなトラブルメーカーのチコちゃんを描いたコミックエッセイ「欲しがるあの子を止められない」の作者ぱん田ぱん太さんへのインタビューを通して、「くれくれちゃん」が起こす問題行動の背景に迫る。

「くれくれ」は節約術?

何かと人のものを欲しがる「くれくれちゃん」こと、チコちゃんは自分の行動が他人に迷惑をかけているとは露とも知らない。むしろ、友人の反応に困惑するばかり…。チコちゃんにとって「くれくれ」行動は、女手一つでを育ててくれた母親から学んだ、節約術の一つであった。


ーー作品はSNSでのやり取りから始まりますが、SNSを使う際に気を付けていることはありますか?

特にInstagramでは読者さんからのコメントの数が多く、すべてに反応することは出来ないのですが、おもしろいと思ったコメントや鋭いコメントには返信をしてみたり、コメント欄の上部に固定してみたりと、なるべく私からの反応を返すようにしています。X(旧Twitter)も同様です。楽しく読んでくれているフォロワーさんたちを大切にすると、長期的に読んでもらえるきっかけにもなるのだなぁと最近実感しています。

些細なコメントが大きな火種のもとに…


投稿以外にも「いいね」やコメント機能を通して世界中の人々と容易につながれるようになった反面、SNSを発端としたトラブルが増加している。些細なコメントや投稿が思いがけないかたちで炎上する危険性があるため、SNSの運用には十分な注意が必要とされている。


ーーチコちゃんは家庭と世間のギャップに悩んでいる場面が見られましたが、過去にぱん太さんの家庭では当たり前でも世間的に見たら変わった事象がありましたらお聞かせください。

実を言うと、特に思い当たりません。私自身はものすごく平凡な、愛情もコミュニケーションもそれなりの諍いも日常的にある、ごく普通の家庭に育ったと思っています。あるとしたら、母の料理のレシピがスタンダードだと思っていたらちょっと変わっていた…などなど、本当に些細なものです(笑)。


ーー最後のシーンではチコちゃんの「その後」について気になる描写がなされていましたが、長年にわたって染みついた行動を直すためにはどういった取り組みが必要だとお考えですか?

「人との関わり」が必要だと思います。もし、根気強く関わってくれる大切な人が身近にいるのなら、その人の協力が必要だし、いないのであればカウンセリングへ行くなど、とにかく自分1人でそれを解決するのは難しいのではないか、と私は考えます。


ーー最も印象に残っているエピソードがあれば理由とともに教えてください。

私の印象にも残っているし、また読者さんの反響も大きかった「ポテト強奪事件」と「ユキちゃんのコンプレックスと過食症」のエピソードです。前者は多くの方が似たような経験をしたことがあるプチトラブルで、後者は多くの方が大なり小なり持っている悩みなのかもしれないなぁと感じました。


世間では「くれくれちゃん」が巻き起こす問題行動の被害者に目がいきがちである。もちろん、彼らが感じた不快感は忘れてはならないし、許すことも難しいだろう。一方で、「くれくれ」を巻き起こす加害者の背景にも目を配ることが重要である。なぜ「くれくれちゃん」は問題行動を起こしてしまうのか。チコちゃんのように、「くれくれ」がむしろいいことだと思い、やめられない人も多いのではないか。チコちゃんにとってのヒロくん、ユキちゃんにとっての大谷くんのように、寄り添ってもらえる人間の存在が「くれくれちゃん」を救うキーマンとなるのではないか。

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