祖母が認知症検査を拒否!救世主になったのは?介護実録漫画に見る受診の難しさ【作者に聞いた】
東京ウォーカー(全国版)
65歳以上の高齢者の割合が人口の21%を超え、「超高齢化社会」を迎えた日本。これとともに、認知症患者数も増加している。認知症の原因にはさまざまなものがあるが、最大の理由は「加齢」。2025年には高齢者の5人に1人が発症するという推計もあり、認知症という問題は誰にでも関係する身近なものと言ってさしつかえないだろう。
現代医療では認知症の根本治療薬はないとされているが、症状を緩和させたり、進行を緩やかにしたりすることは可能だ。では、どうやって認知症の疑いのある人を病院に連れていくのか?そこには数々のハードルがあることが、祖母が認知症になり、学生ながら介護を余儀なくされた体験を描いたコミックエッセイ「嫌いから可愛いになった私のおばあちゃん 〜認知症介護実録〜」からもわかる。
漫画の作者であるさとみさん(X、旧Twitter
@satomi_qoljojo
)に対し、「私のお財布盗ったでしょ!!!」と疑いをかけるようになったり、同じ物を大量に購入するようになったりした祖母のきみ子さん。さとみさんは地域包括センターに相談し、介護福祉士の高橋さんから認知症は早期診断・早期対応が必要不可欠なことを教えてもらう。きみ子さんの自尊心を傷つけず、今後の受診拒否につながらないためにも「健康診断に行こう!」と認知症外来に誘うのだが、きみ子さんは「行かないわよ」と頑なな反応だ。当時の状況をさとみさんに聞いた。
家族以外からの言葉なら素直に受け入れてくれるかも?
――ゆみこさんは自身の母であるきみ子さんの変化に対して「もともと怒りっぽいから」と考えられていましたよね。それが、きみ子さんが激しく受診拒否をしたことによって認識が改まりました。ある種前進したとも言えるわけですが、認知症の症状が出てからの怒り方は、どういったあたりがこれまでの怒り方と違うという印象を受けました か?
こちらの話に聞く耳を持たなかったり、一方的に大声を上げたりなど、会話が噛み合わない状況が以前よりも増したように思えました。
――きみ子さんが認知症を認められなかったのは、昔の認知症患者への偏見があったからというエピソードがありました。きみ子さんとこういった話をされたことがあったのでしょうか?
深く掘り下げて話したことはありませんが、当時の様子をちょこちょこ話していました。
――健康診断作戦の際、「認知症」の話は特に持ち出さなかったと思うのですが、それでもきみ子さんは「これは認知症の検査だ!」と察してしまったのでしょうか?
認知症だと指摘していないはずですが、きっと自分でも今までとの違いに気づいていたのかもしれません。とにかく病院に行くことを拒絶していました。
――ご友人からのアドバイスによって「受診する」ときみ子さんが言い出されて、さとみさんはどのように感じましたか?
私たちの話はまったく聞いてくれなかったのに、何で!とも思いましたが、その方とは長いお付き合いでしたので、こういったナイーブな話もできる信頼関係なのだなと思いました。誰がアドバイスをするかも重要なんでしょうね。 先を思えば本当にありがたいことでした。
――お身内が受診拒否をして困っている方にアドバイスをお願いします。
私のおばあちゃんの場合は、友人や医者に勧められると素直でした。かかりつけ医に相談する方もいらっしゃると聞いたことがあります。家族が対応しても聞き入れてくれない場合は、第三者に助けを求めてもいいのかもしれません。
受診は必要なことなんだから、無理やりでも引っ張って行けばいい…と考える人もいるかもしれない。しかし、認知症の治療は継続的に行わなければならないし、本人の気持ちを尊重してあげることも大切だ。認知症に限った話ではないが、本人が自発的に治療に取り組めるよう、サポートしていくことが求められるのだろう。
取材・文=西連寺くらら
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