太陽系で、移住するなら天王星⁉金星に住むとお得な理由は⁉シュールな惑星移住計画、あなたならどこで暮らす?【漫画の作者に聞く】

rolerole( @createrolerole )さんが描く「キノコの解放戦線」は、主人公のキノコが「売られているキノコの仲間たちを解放すること」を目的として活動する、ゆるい中にもちょっと毒が混じったギャグ漫画だ。先日、この漫画の中で「惑星に移住しよう」シリーズを掲載、ユニークな視点が反響を呼んだ。

人類に先んじて惑星移住を実現することで、人類の支配をたくらむキノコ。VRで太陽系の惑星の移住検討を始めることになった。ところが…。

自転と公転が惑星によってバラバラすぎる

まずは太陽系に近い水星から確認。地表温度179度という暑さも問題だが、自転周期が1407時間(約59日)もあるのに、公転周期は88日しかない。そのため、地球と同様に自転の1回転を1日とすると、水星の基準では2回自転する=2日過ごす前に1年(公転)が終わってしまう。

水星に移住しよう 1

水星に移住しよう 2

水星に移住しよう 3

水星に移住しよう 4


金星はもっと極端だ。自転周期が5832時間(243日)とさらにスロー。一方公転周期は225日と自転周期より短いため、金星の基準で暮らすと、1回自転する=1日を過ごす方が1年より長いという奇妙なことに。

金星に移住しよう 1

金星に移住しよう 2

金星に移住しよう 3

金星に移住しよう 4


漫画ではキノコがそれぞれの惑星のメリット・デメリットなどをコメントするが、「水星は地球との時差ボケがひどそう」「金星は1日で春夏秋冬が楽しめるからお得だよ」と評していくさまがシュールだ。

「直接的な製作のきっかけは、知育グッズでお風呂に惑星一覧のシートを貼ったことです。子供と一緒に眺めているうちに『おもしろいな、宇宙は広いな』と思って」とroleroleさん。「毎日見ているうちにいろいろな疑問やネタが思い浮かんで吐き出したくなり、連投中の漫画「キノコの解放戦線」に代弁させることにしました」

木星の1年は442カ月もある⁉

また、頭が混乱してしまうような惑星ごとの“時差”を、比較できるようにした早見表は力作。「何度も試作して大変でした。表計算ソフトを使って一覧化を試みましたが、水星や金星のように地球より1日が長い星もあれば、木星や土星のように逆に短い星もあり、単位をそろえるのに苦労しましたね」

ここまでのまとめ 表拡大


この表を見れば、例えば金星が23年1月1日の翌日である24年1月1日を迎えるころ(金星では1年が1日より短いので、1月2日になる前に翌年になってしまう)、自転が速い木星はまだ23年の“18月24日”だということがわかる。木星は1回公転する間にかなりの数の自転をするので、1年が442カ月もあるのだ。先は長い!

もちろんこれらの奇妙な計算は、それぞれの惑星の「自転周期を1日」「公転周期を1年」と決めてちょっと強引に計算したものだ。とはいえ、惑星ごとに環境が全く異なるという事実に興味をそそられる見方でもある。

roleroleさんいわく「表を作って痛感したのは『Hour・Day・Month・Yearのあらゆる時間を示す単位は地球を基準に作られているのだな』と。当たり前なんですけどね(笑)。私たち地球人にとって1日が24時間で1年が365日というのは常識ですが、地球の自転速度と公転速度によって決まった偶然に過ぎないのだなと考えるとおもしろく、少し恐ろしい気もしました」

移住するなら天王星⁉

roleroleさんに、空気や温度の現実的な問題はさておいて“移住したらおもしろそうな惑星”を聞いたら「天王星」とのこと。理由は「漫画内でも触れていますが、白夜(一日中、日が沈まない。地球では夏至付近に北欧やグリーンランドで見られる現象)の範囲が広いんです」

天王星に移住しよう 2

天王星に移住しよう 3

天王星に移住しよう 4


地球のように自転軸が公転面に対して立っていると、太陽に面する⇔太陽の裏側になる、つまり昼夜の切り替えが比較的自然に行われる。一方、自転軸が公転面に対して寝ている天王星は、自転しても太陽に面している部分はずっと太陽を向いたままになるため、夜がなかなか訪れない。

「白夜のエリアに夜が来るのは、公転して太陽の反対側に来たときなので、実に42年はずっと昼です。さすがにそれは辛いと思うので、白夜のエリアの境目に居を構えて、その日の気分に合わせて100キロぐらい車でドライブして今日は夜を過ごそうとか、そんな生活になるのではないでしょうか」とroleroleさんは語る。

「子供が産まれたのと転職で環境が変わったことをきっかけに、幼い頃から好きだった漫画を再開し、SNSで投稿するようになりました」とroleroleさん。現在はファンタジー漫画の短編を制作中とのことで、こちらも楽しみだ。

取材・文=折笠隆

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