「4日以内に家を出ていけ」ウイグルのアパートで起きた不動産トラブルの顛末【作者に聞いた】

海外に移住しオカリナのオンラインレッスンを行いつつ、X(旧Twitter)で漫画を発信しているオカリナ講師のジャスティン( @Justin_ocarina )さん。自身をキーウィ(ニュージーランド固有の鳥)のキャラクターとして描いた、ゆるくてかわいい世界観に病みつきになる読者が増えている。

ウォーカープラスでは、ジャスティンさんの海外での日常を描いた「月収5万エジプト在住 まあ死なんやろ日記」の連載がスタート。アラビア語もわからない、お金もない、家具も家電も何もない、とっても不便な暮らしだけどなぜだか毎日がとっても楽しい!そんな愉快な日々を、キーウィのゆるかわいい絵柄に乗せてお届けする。

第4回となる今回は、新疆ウイグル自治区に住んでいた頃のアパートのお話。中国ならではの住宅事情や実際に起きたハプニングについて、ジャスティンさんのインタビューを交えながら紹介する。

「まあ死なんやろ日記」第4話 (1/8)


エリア内で生活が完結する“小区”での暮らし

「まあ死なんやろ日記」第4話 (3/8)


――今回は初めてエジプトではなくウイグル自治区のお話ですね。どれくらいの期間ウイグルにお住まいだったのでしょうか。

2年弱くらい住んでいました。今から8~9年前の話です。

――「小区」という団地にお住まいだったということですが、小区の特徴や、メリット、デメリットなどがあれば教えてください。

多くの場合、小区の中に商店や八百屋、理髪店、公園、餃子屋や麺屋、水の宅配サービスなどがそろっていますので、その中だけで生活が完結することが多いです。特に小区のゲート付近には便利な店が立ち並び、小区の外からも買い物に来る人がいます。ただ大きな小区になると入口まで歩いて行くのに15分ほどかかることもありますし、冬場の雪の降る地方だと除雪がされるかどうかという問題もあり、かなり面倒です。

現地の“思考パターン”を身につけることが大切

「まあ死なんやろ日記」第4話 (4/8)

――約2年住んだ中でわかった、ウイグルならではの国民性や文化などがあれば教えてください。

人間の尊厳を重んじる文化でした。「自分は大切にされているか」を重視して考える人が多かったので、その通りしてあげたら向こうもその通りに接してくれました。一緒にバスケットボールやスポーツをやることも多かったのですが、ゴールが決まればよく褒めますし、外せば(全く的外れだったとしても)「惜しかった」などの声を掛け合ういい文化でした。

逆に「自分は大切にされていない」と言われることもありました。その場合は謝り、自分のやり方を捨てて相手の(現地の)やり方で物事を進めるようにしました。また踊りや音楽や食事等の現地の文化を楽しもうとすると、それはそれは歓迎されました。

「まあ死なんやろ日記」第4話 (5/8)


――大家さんとの交渉で、普段のジャスティンさんからは想像できない強気な態度のスイッチが入る場面がありました。このような場面で心掛けていることがあれば教えてください。

中国での交渉術で通用しない、日本語の思考パターンを「完全に」やめることです。相手の立場や年齢、親しさを考えて尊敬語や謙譲語を選ぶこと、空気を読むこと、意味もなくすいませんと言うことなど、日本でよしとされていることがちょっとでも残っていると「外国人のカモ」としてしか扱ってもらえないので、完全に振り切って中国人の思考パターンで考え、喋るようにしています。

――この一連の不動産騒動から学んだことがあれば教えてください。

母国語の思考パターンから抜け出せないまま外国語を喋ると、問題があることを再認識しました。逆に中国語の思考パターンで流ちょうな日本語を喋る人に会ったこともあるのですが、どう喋っても喧嘩にしか聞こえなくて恐ろしいこと極まりなかったです。やはり言語を学ぶとは、文法以上にその国の思考パターンを身につけることが大事なのだなと思いました。

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