雪女と交わした「言うなのタブー」、だが振り回されるのも雪女の方で!?「もどかしすぎ」「このにぶちん!」とじれったすぎる昔話ラブコメ【作者に訊く】
「雪に凍える者を殺す存在」と言い放ち、口外すれば命を奪うと告げる冷酷な雪女。だが、恋をしたことがきっかけで、なんともじれったい存在になってしまい……?

「31番目のユーリ」
(「WEBコミックガンマ」)を連載中の漫画家のくりきまる
(@kurikimaru)
さん。くりきまるさんが個人創作漫画としてSNSに投稿した「掟に苦しむ雪女」に、X(旧:Twitter)上で1.4万件を超える「いいね」とともに、読者から「もどかしすぎ」「このにぶちん!」と、じれったいラブコメ展開にやきもきする声が多く寄せられている。作品のあらすじとともに、作者のくりきまるさんに同作の制作背景を訊いた。
言いたいのに言えない掟で苦しむのは雪女の方!?「あーもー」と頭を抱えるラブコメ

かつて、大雪で遭難した際、避難した小屋で雪女に出会った少年。彼女は気まぐれからか「特別に見逃してあげましょう」と告げるも、「ただし今日見たことは誰にも言ってはいけないわよ」と、口外すればお互いに命がないと釘を差して姿を消した。

そんな秘密を抱えて数年が経った頃、成長した青年の元へ道迷いの女性が一晩の宿を貸してほしいと訪れる。
「お雪」と名乗るその女性は、旅の途中のはずが何故かそのまま青年の家に居ついてしまい、疑問に思った青年に「一目惚れしたのでお嫁さんにしてほしい」と大胆にも求婚する。
もちろんお雪の正体は、吹雪の夜に出会った雪女その人。一目惚れしたのはまさにその出会いの場面で、だからこそ彼を見逃し、今正体を隠して押しかけてきたのだ。

そんなこととは露知らず、「雪の日に出会った美しい白い髪の彼女が忘れられなくて」と話す青年。両想いであることに興奮するお雪だったが、二人が同一人物と知らない青年は求婚を断ってしまう。

雪女も「今日見たことは誰にも言ってはいけない」という掟がある以上、自分がその“白い髪の彼女”とは告げられず。手詰まりになってしまったお雪は「あーもー」と頭を抱えるしかなかったのだった……。
昔話の「過程」を膨らませオリジナル作品に
雪女の物語にはさまざまな類型があるが、なかでも「かつて雪女と掟を結んだ男が、妻に秘密を話してしまうが、その妻こそその時の雪女で、命はとらないが姿を消してしまう」というものが有名だ。
往々にして民話や伝説で「掟」や「タブー」に苦しめられるのは人間の方だが、この作品では人間の方が誠実で、掟に雪女の方が振り回されっぱなしという、なんとも切なくも笑えるラブコメとなっている。
そんな本作の発端やキャラクターの描き方について、作者のくりきまるさんに話を訊いた。
――「雪女」を題材にした本作ですが、題材に選んだきっかけやストーリーの発端について教えてください。
【くりきまる】雪女の話ではすんなり夫婦になっていますが、その過程でどんなことがあったのかを想像しました。
――涙目で頭を抱えたり、思惑が上手く運ぶと思ってワクワクしたりと、雪女の表情表現がかわいらしいです。キャラクターを描くうえでは、どんなところにこだわりましたか?
【くりきまる】なるべくリアクションを大きくかわいらしく、見ただけで心情がわかるようにと心掛けています。

――本作のように、個人制作作品では人ではない存在とのコメディや、価値観・文化の差によるおかしみを多く描いているように感じます。こうした題材を選ぶ理由・好きなポイントがあれば教えてください。
【くりきまる】種族間や文化の差はあれど、悩みや喜びを感じる箇所など根っこにあたる部分はみな同じと思っています。その辺りの共感を感じとっていただける話を作りたいと気をつけています。
――本作には多くの反響が寄せられました。反響への思いを教えてください。
【くりきまる】ありがとうございます。今後も楽しんでいただける作品を作りたいと思っておりますので、応援よろしくお願いいたします。
取材協力:くりきまる(@kurikimaru)