大人になって歯列矯正するまで口元を隠して生きてきた。自分に自信がなくて褒められても「からかってる?」と人間不信に【作者に聞く】
大人になってから5年以上かけて歯列矯正をしたひろぽん酢(@aisuoisi_ne)さん。高校生の頃に「自分の歯並びって変かも?」と感じてから周りの目が気になり始め、人間不信になることもあったという。大きな口を開けて笑うことができなくなり、写真を撮るときは口元を隠す生活を送っていた。
社会人になったある日、当時付き合っていたパートナーから衝撃の言葉を受けて、「自分を変えたい」と歯列矯正を決意する。費用は約100万円、医院探しから歯肉炎の治療、8本の抜歯、そして器具を使った矯正。
痛みや不便さに耐えながらも、納得のいく歯並びを手に入れたひろぽん酢さん。その矯正生活を描いた漫画「自分を好きになるために、歯並びを治してみた ~5年5か月100万円!大人の歯列矯正物語~」が電子書籍で2024年1月に発売される。ウォーカープラスでは同作から一部を抜粋し、ひろぽん酢さんが歯列矯正を決意した経緯や、矯正をスタートするまでの医院でのカウンセリング、歯肉炎の治療、抜歯などの様子を、全10回にわたりお届け。ひろぽん酢さんのインタビューとともに紹介する。
第1回となる今回は、歯並びが気になりだしてから感じた生きづらさについて。口元を隠し続けていた当時を振り返って、今思うこととは―。


当時はとにかく自信が持てなかった
――歯並びが気になり出してから口元を隠す生活をされていたとのことですが、まわりからその行為について何か言われたことはありますか?
「当時、面と向かってなにか言われたことは特にありません。あとになって(矯正を始めたあたり)から『歯並び気にしてたもんね』と何人かに言われたので気にしていることはバレていたみたいです」


――友人と写真を撮るときも口元を隠していたという描写がありますが、当時の写真を振り返ってみて、感じることはありますか?
「とにかく写真に写っている私は楽しそうではなかったです。実際そのときは楽しい思いをしているはずなんですけど…。あとやはり今見ると違和感しかないですね。全部口を隠していて、口元が気になるのかな~って思う写り方をしています」


――自分の歯並びに対して、あらぬ妄想をしてしまう様子がありますが、このような妄想はいつからあったのでしょうか。きっかけがあればそちらも教えてください。
「高校生になり、友達と一緒に撮ったプリクラを見て『私の歯並びって変かも…?』と気になるようになりました。ということは、友人やクラスメイトも私の歯並びを変だと思っているに違いない、という妄想を始めるようになり『この人も実は心の中では…』と一人で勝手に人間不信になっていました」


――タクシーの中で、運転手さんに「べっぴんさんだね~」と言われて「かわいくないです!」と言うひろぽん酢さんに対して、「素直に受け取っとけばいいのに…」と運転手さんが返すシーンがありますね。
「当時は人に褒められても『からかってる?』『ばかにしてる?』とネガティブなことばかり考えていました。褒め言葉を素直に受け取ることができなくて、それだけ自分に自信がなかったです」


――「私っていつからこういう風になっちゃったんだろう…」と思い悩むシーンがありますが、このときは歯列矯正など特に考えていらっしゃらなかったと思います。漠然とした悩みを抱える中で、特に自分を苦しめていた思いや気持ちはなんだったのでしょうか?
「とにかく自信がなく、自分のことが嫌いでした。周りの目ばかり気にして、周りと自分を比べて落ち込んでいました。周りの皆は楽しそうに笑っているのに、私は歯並びが悪いせいで楽しく笑えない。でも歯並びが悪いのはどうしようもないし…。当時の私は解決策を探すこともせずただただ落ち込んでいるだけでした」


今回の話で読者のみなさんへ伝えたいことを尋ねると「私は歯並びが悪い自分が嫌いでした。でも今は自分のことを好きになることができました。こんなにネガティブな人間でも変わることができました。今ネガティブな考えの人はぜひ最後まで読んでほしいです!」と話してくれた。