デートの「返事待ち」の期間は半世紀以上!?「予定わかったら連絡する」から始まる一生もののコメディに「スゲェ」の声【作者に訊く】
今年も残るところあとわずか。SNSを中心に2023年もウェブ漫画の盛り上がりは衰えず、一年を通してさまざまな作品が話題を呼んだ。2023年6月に漫画家の福井セイ(
@fukuisei
)さんがX(旧Twitter)に投稿した創作漫画「『予定分かったら連絡する』の意味」もそうした作品の1つだ。作品の反響とともに、作者の福井セイさんにアイデアのきっかけや制作上の挑戦についてインタビューした。

「俺は待つ」遠まわしな断り文句を真に受けた先輩と、振り回される後輩のコメディ
同作は、気になる先輩を映画に誘う後輩女子と、そんな彼女に「予定が入るかも」と断る先輩男子が織りなす短編コメディ。先輩は他に意中の相手がいてデートに誘っていたのだが、実は「今忙しいから予定分かったら連絡するね!」という返信から1カ月以上も待ち続けていたのだ。

明らかに断られていることを指摘する後輩と、それでも「俺は待つ」と仁義を通そうとする先輩。姿の見えぬ女子からの返信を軸に2人の掛け合いが笑える作品だ。短編ながら作中で流れる時間はゆうに半世紀を超えるという壮大なスケールで、読者からは「スゲェなぁ」「律儀にも程がある」と、1.4万件超のいいねとともに反響を呼んだ。

「かけあうつきひ」
、
「ゆこさえ戦えば」
、
「すうの空気攻略」
(いずれも小学館)など数々の商業作品で知られる作者の福井セイさん。「『予定分かったら連絡する』の意味」の盛り上がりを受け本作の描いた経緯について聞くと、きっかけは「日常の些細なひっかかりをネタにした漫画を描きたい」という思いからだという。
「そんな題材に、『予定分かったら連絡する』みたいな断り方がちょうど使えそうだなと思ったので採用しました」
「予定分かったら連絡する」という社交辞令をネタにするというアイデアも元々考えていたそうで、それを「その言葉を真に受けて一生過ごす人がいたらおもしろい」という方向性で膨らませていったのが本作だと福井さんは話す。
また、実際の制作上では「短編漫画なのであんまり人数多いと読みづらいだろうな」と考え先輩と後輩の2人きりに登場人物を絞り、特にそのズレたキャラクターで物語を牽引する先輩は、言っていることはバカバカしいけどその姿がかっこよく映るよう描き方を意識したという。

さらに福井さんは、恋愛に関することは普段はほとんど作品に入れないという。噛み合わないコントのような筋書きながら、先輩と後輩の恋愛コメディとしても読める同作は「こういうギャグテイストならいけるかも」という思いで恋愛のエッセンスを取り入れることに挑戦したと振り返る。
2023年9月には新作読切
「杞憂しすぎるリア姉さん」
をヤングアニマルWEBで発表し、X(旧Twitter)での掲載には3.1万件以上のいいねが寄せられるなど、商業・個人制作の両面で精力的に活動する福井さん。「今後もおもしろ漫画を作って発表できればいいなと思ってるので、その際はぜひ読んで欲しいです!」と、読者に向けて意気込みを寄せた。

取材協力:福井セイ(@fukuisei)