【過酷な生き様】戦国時代、人口の9割は“農民”!乱世に翻弄される「影の主役」の生活とは?【作者に訊く】
戦国時代に注目されるのは、諸国の大名や勇猛な武将たち。けれどその華々しい活躍の裏には、乱世に翻弄されながらもたくましく生きる無数の農民たちがいて……。

「マンガでわかる 戦国武将のさいご図鑑」
(マイナビ出版)や、
「マンガ版 教養として学んでおきたい5大宗教」
(執筆・監修:中村圭志、マイナビ出版)など、歴史・宗教に関する書籍も手がけるかたわら、歴史上の人物の生涯をYouTube漫画として描き人気を博す漫画家の徳永サトシさん。戦国時代を舞台にした作品では、史実をベースに創作を交え、歴史に詳しくない人にも楽しめる内容で、戦国のスターのみならずマイナー武将までさまざまな人物を取り上げている。
2022年5月に公開された漫画動画「戦国時代の農民1日ルーティン」は、なかなかスポットライトの当たることのない農民たちの生活をテーマに描いた作品だ。


戦国時代の日本の人口の9割を占めていたとされる農民は、ただ畑を耕すだけでなく、足軽として戦場に駆り出される存在でもあった。戦に次ぐ戦や凶作、飢饉に翻弄される過酷な農民の生き様に切り込んだ作品で、YouTube上の動画再生数が80万回を超えるなど反響を集めている。

今回は、作者の徳永さんに、戦国時代の影の主役とも言える名もなき農民たちの生活に着目したきっかけや作品制作の舞台裏を取材した。
表舞台には出てこない戦国時代の農民、調べる中で伝わってきたその過酷さ
――武将ではなく、農民を題材にするという着眼点がユニークです。戦国時代の農民に興味を持たれたきっかけを教えてください。
【徳永サトシ】動画内の参考資料にもあげているのですが、書籍「ゲームシナリオのための戦国事典 知っておきたい歴史・怪異・お約束110」(SBクリエイティブ)の中の「農民の一日」のページを読んだことがきっかけです。歴史の表舞台には出てこない名もなき農民の生活に興味を抱きました。
――農民の一日を調べる中でおもしろいと思った点や意外だった点はありますか?
【徳永サトシ】日没時に出歩くことを禁じる農村が多かったという点です。窃盗などの犯罪を防ぐ意味もあったようですが、夜は物の怪の時間だとも認識されていたようです。今よりも幽霊や妖怪の存在が身近に感じられた時代だったようですね。僕はオカルトの話が好きなので、そこに興味を持ちました。

――また、平時のときだけでなく、飢饉の際の生活もチャプターとして取り上げているのも興味深いです。こうした構成にした狙いを教えてください。
【徳永サトシ】農民が合戦に参加する理由を描きたかったからです。当時は慢性的に食糧不足であり、災害などで作物が取れなくなると飢えて死んでしまいます。そんな食糧不足を解消するために、農民は合戦に参加しました。当時の過酷さが伝わってきます。


取材協力:徳永サトシ(@tokunaga0621)