【ホラー漫画】取りつかれた男が幽霊に「無茶ぶり」の連続!クライアントの理不尽がホラーになった漫画が怖いのに笑える【作者に訊く】

「やっぱり赤色がいいねぇ」「イラスト入れてよ」……。最初の発注からクライアントの意見がコロコロ変わるのはビジネス上ではよくある光景。それは悪霊の世界でも同様で――?

命を狙う幽霊に「猫耳美女がいい」と頼んだら…猫耳だけどそうじゃない!悪霊をクライアントとして振り回す独創的ホラー(C)北原順一/朝日新聞出版

漫画アプリの「comipo」にて「くちなわ~呪いの新婚生活~」を連載する漫画家の北原順一さん (@nKixNZN3mpD5tkG) 。ホラーを中心に精力的に作品を発表する北原さんの作品のなかでも、2023年、X上で3.6万超のいいねを集めた読み切り作品が「暗い案と」だ。

「暗い案と」04(C)北原順一/朝日新聞出版

「暗い案と」06(C)北原順一/朝日新聞出版


「第1回朝日ホラーコミック大賞」 にて「Nemuki+ホラー大賞」を受賞した同作について、ウォーカープラスでは作者の北原さんに制作時のエピソードを振り返ってもらった。

「現実でも起こりうることの象徴」恐ろしくも笑える悪霊とのリテイク

打ち合わせのたびに注文を変える依頼主に辟易していたデザイナーの男は、ある夜、女性の悪霊に「殺してやる」と襲われる。咄嗟に「殺されるなら俺は…猫耳美女がいい!」と叫びその場をしのいだ男だが、次の夜、悪霊は着物を着た猫そのものの姿で現れる。男は思わず「違うそうじゃない」とつぶやき、昼はデザイナーとして悩まされ、夜は注文を理解しない悪霊にリテイクを繰り返す…。「暗い案と」は、そんな奇妙なシチュエーションを描いたホラー作品となっている。

「暗い案と」はもともとはサラリーマンのコメディ漫画として描き始めたという北原さん。当時、「どんな漫画を描いても全力で描けば描くほどホラーになってしまう」という悩みを抱えていたそうで、朝日ホラーコミック大賞を知ったことを機に、発想を逆転させてコメディ作品をあえてホラー漫画として描くことにしたのだという。

「暗い案と」12(C)北原順一/朝日新聞出版


そんな同作は、主人公・悪霊ともに、顧客の注文に振り回される姿が笑いどころ。実際にデザイナーとして働いていた北原さんは、その経験の中で見てきたやり取りをきっかけに、自身の感じたモヤモヤや不甲斐なさを込め、さらに同様の思いを持つ読者への応援の思いも含め同作のアイデアを膨らませていったそう。

また、それまでの作品は自分自身の経験とは切り離した内容を描いていたと話し、「しかし『暗い案と』は自身の体験をベースにしています。その意味では一歩踏み込んだ挑戦的な作品でした」と振り返る。

また、主人公を呪う悪霊は「現実でも起こりうることの象徴」の意味も込めたそうで、「どれだけ恐ろしい展開になっても落としどころに納得感のある物語と構成にしたいと考えておりました。デザインの悪化と改善の過程を化け物を通して伝えられるよう心がけました」と、“ビジネスあるある”とホラー展開が最後まで表裏一体となって構成されていることを教えてくれた。

取材協力:北原 順一(@nKixNZN3mpD5tkG)
「暗い案と」 (C)北原順一/朝日新聞出版

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