「PTSDの壮絶な苦しみ」 を女性が“トラウマ療法”によって心のトンネルを抜け出すまで【作者に聞いた】
東京ウォーカー(全国版)
「だらしない夫じゃなくて依存症でした」「母のお酒をやめさせたい」などで知られる三森みさ(@mimorimisa)さんが、自身の壮絶なPTSD(心的外傷後ストレス障害)経験を漫画にした作品が話題を集めている。性被害によって発症したPTSDの症状が、最新の心理療法「トラウマ療法」によって改善するまでを描いた本作は多くの人に届き、
「経験者にしかわからない苦しさがいくらか理解できた」
と言う声も。今回、制作の経緯などについて三森さんに話を聞いた。
※本作には、性被害やPTSDの描写が含まれます。閲覧にはご注意ください。
「苦しみの中を生き抜いてる自分への敬意を、忘れないでほしいです」
ゲーム依存、カフェイン依存、アルコール依存症などの啓発漫画も手がけている三森さん。自身がPTSDを克服できた治療法を漫画にしようと思ったきっかけを尋ねると、「
『長い間、自分が苛まれていたから』が一番の理由です。依存症とトラウマは綿密な関係にあると言われています。例えば、トラウマから発生するフラッシュバックや感情コントロールの難しさ、体調不良などを酒や薬物などで抑え込む…というのは珍しい話ではないと、自分の周りにいる依存症の人を見ていても感じることがあります。
私は13歳の時からゲーム依存症にかかり、そこからあらゆる依存を転々としてきました。今になって思えばゲーム依存症も、両親が別居で家族バラバラになったトラウマがあり、フラッシュバックや悪夢を抑え込むための依存症でした。26歳の時から依存症の治療を行うことで、依存症の問題自体は激減しました。一方で、依存することで誤魔化し続けていた根本的なトラウマの問題が表出し、フラッシュバックなどは治りませんでした。
『一生このままなのか』と思っていましたが、トラウマ療法によってかなり改善しました。同時に、考え方を変える方法だけでは突破できない壁があることも痛感しました。私が受けた治療法がすべてだというつもりはありません。しかし、考え方を変える方法だけではなく、別のアプローチの方法があることも知ってもらえれば、苦しんでいる人の治療の選択肢が広がるだろうと思います
」と、症状に苦しむ人たちが少しでも楽になれる方法を伝えたいという強い思いがあったことを明かす。
そして、「
犯罪被害に遭うことも病気にかかることも、とても理不尽で苦しいことです。私は『なぜ自分がこんな目に』という気持ちがなかなか抜けきれず、自分の運命を呪うことがたくさんありました。一方で精神医学の発展や社会の偏見も少なくなってきて、苦しみのトンネルから抜けられる日が早まってるとも感じます。しかしどんなに環境が整っていても、本人が今の状況を改善したいと思わなければ、いい方向には作用しないとも、経験上感じています。
自分の人生を立て直すことができるのは、最終的には自分自身の力です。充実した医療・環境は、それができるようになるまでの手助けでしかないと思っています。どうか心の奥底にある『自分の人生を回復させたい』という気持ちと、苦しみの中を生き抜いてる自分への敬意を、忘れないでほしいです
」と、同じように性被害や依存で苦しんでいる人たちへメッセージを送った。
取材協力:三森みさ(@mimorimisa)
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