10時を逃すと次は18時、シカと衝突して遅延…首都圏と次元の違う北海道の驚きの鉄道事情とは【漫画の作者に聞く】

最北端の地、北海道・稚内へ、川崎生まれ横浜育ちの都会っ子学生が就職を機に移住!

電子書籍として発売中の 「しろまる最北日記 横浜から稚内へ就職したとある会社員の、愛すべき最果て移住生活」 は、作者が実体験を元にした“北海道あるある”をお届けする漫画。WEBニュースサイト・ウォーカープラスで連載され反響を呼んだ“移住体験コミック”だ。

本記事では、同書籍から一部抜粋したエピソード 「試される鉄路」 を取り上げ、漫画に込めた思いなどを聞いてみた。

地元民は鉄道を「電車」ではなく「汽車」「JR」と呼ぶ


試される鉄路

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北海道の鉄道は札幌近郊や函館周辺など一部を除き、大半が非電化区間。電車が走れないため、ディーゼルエンジンを搭載したディーゼルカーが走っている。地元民は鉄道のことを、都会では呼び慣れた「電車」ではなく「汽車」「JR」と呼ぶことが多い。

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モータリゼーションの浸透や札幌への一極集中などもあり、北海道の鉄道は最盛期の半分程にまで減少。ここ5年も廃止区間が相次ぎ、白丸あすかは少し寂しさを覚える。

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日本最北の駅、稚内。駅舎は2階に映画館を備えた複合施設になっている。普通列車なら10時台に乗り遅れると、次の運行はなんと18時台。運行本数は少なく、ICカードはまだ使えない。

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北海道だけではなく全国の地方に見られる傾向だが、駅前より幹線道路沿いが栄えているため、住民は車を使いがち。一方鉄道は、通学する学生が利用することで「通勤ラッシュ」ならぬ「通学ラッシュ」が。

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北海道の鉄道ならではの魅力はなんといっても都市近郊では味わえない絶景や旅情。北海道新幹線の札幌延伸により、北海道の鉄道事情はまた大きく変わることが予想されるが、利便性などの課題は多く、事情は複雑だ。

実際に住んでみると、北海道の鉄道へのイメージが変わった

移住前に比べ、北海道の鉄道に対するイメージが変わったという。「以前は、あくまで『旅行者』の視点で北海道の鉄道を見てきました。大自然の中をディーゼルカーが走る様は普通列車でも趣きにあふれていて、近年続々と路線が廃止されている現状に悲しさを覚えていました。しかし、いざ沿線住民の立場になってみると、自動車を利用してばかり。ほとんど鉄道に乗る機会がなく、申し訳ない気分になります」

そんなわけで、「私は鉄道の利用促進や沿線の魅力紹介等には大賛成ですが、行政やJR側から『経営難による廃止』が示唆された鉄道事業に関しては、自分の目で見てきた現状を踏まえ、無責任に『廃止反対!』とは言えなくなりました…」

非冷房の車両や簡素な無人駅は独特

北海道の鉄道ならではだと思ったことは、「寒さに強い一方で、夏は過酷な『非冷房』の車両がまだ残っていることです(最近は新型車両への置き換えが進んでおり、かなり少なくなりました)。逆に朝晩に冷え込む北海道では、8月でも暖房をつけた列車が走ることもあります」

「簡素な造りをした無人駅(秘境駅)も外せない」とか。「俗に『朝礼台』と言われる板張りの簡素ホームがあるだけの駅や、貨車を改造した待合室を有する駅などが道内ではよく見られます。このような無人駅にはもちろん自動改札がなく、乗るときに整理券を受け取り、降りるときに運賃箱へ料金を支払います。まるでバスです」

おすすめ鉄旅なら道東の路線へ

ぜひ旅してほしいおすすめの路線は、「(稚内がある)宗谷本線!と言いたいところですが、これに関しては圧倒的に道東です。私が常におすすめしているのは、釧路〜網走を結ぶ釧網(せんもう)本線と釧路〜根室を結ぶ花咲線です。特急列車が走っていない極東のローカル線ですが、1両編成の汽車が広大な湿原を駆ける様は最果ての旅情を誘います。流氷を題材にした観光列車や、トロッコ・SLも走っています」

また、「宗谷本線も雪や野生動物によるアクシデントをアトラクション感覚で楽しむことができれば、北海道をらしさを感じられる路線としてなかなかおもしろいです。稚内の手前で一瞬景色がひらけ、日本海に浮かぶ利尻山が見られるポイントは絶景です」

北海道を鉄道で旅する際は参考にしてみよう。

※鉄道事情は、同じ道内でも差があります。ここで挙げた内容はあくまで作者の体験を元にした主観になります。

電子書籍として発売中の「しろまる最北日記」

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