芸能人御用達!「津多屋だよ!!全員集合!」ロケ弁が制作現場の雰囲気を変える!?テレビの制作現場で愛される「ロケ弁!」食の新ジャンル漫画【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
主演女優の篠宮みきは、始まったばかりの現場に緊張が続いている様子。クランクイン初日からキスシーンがあるからだ。ドラマの制作現場はピリついていた。そこに、ロケ弁到着の連絡が入り...?今回は、テレビの制作現場に欠かせない「ロケ弁」の手配でチームをまとめ連携させていく、新人米子の成長物語をおすすめしたい。原作・のやまあき、演出(ネーム)・つのだふむ(@tsunoda_fumm)、作画・サエグサケイ(@saegusakei)さんがタッグを組んだ「ロケ弁の女王」を紹介するとともに制作の裏側について話を聞く。
ロケ弁は現場の雰囲気を左右する重要な役割!老舗「津多屋」や新進気鋭のロケ弁が勢ぞろい!
撮影中にロケ弁到着のお知らせが響き渡り、助監督の南雲に怒鳴られながらも、制作部の新人・俵米子はクランクインした現場の雰囲気を変えようと走り出す。今日のロケ弁はとっておき、だからだ。
第1話のロケ弁は、ドリフターズの「八時だよ!全員集合!」をきっかけにロケ弁を始めた老舗「津多屋」の二段のり弁とそぼろ弁当!すると、主演女優の篠宮みきは「やった!のり弁ある!?」と大喜び。緊張を解きほぐすことで、現場の雰囲気を変えることができた。
今回は「テレビ制作の裏側とロケ弁」をテーマにした「ロケ弁の女王」を制作することになった経緯をネーム(演出)のつのださんと作画担当のサエグサさんに聞く。
【つのだふむ】テレビの現場で働いている、原作者のやまさんからコルクに漫画化の企画が持ち込まれて、映像制作会社勤務経験のある僕としては、これはとてもおもしろいので、ぜひやりたいと思い、手を挙げました。
【サエグサケイ】コルクさんに声をかけていただき、おもしろそうな企画だなと思い参加させていただきました。
まさか「ロケ弁」ひとつで現場の雰囲気が?と、思うだろう。しかし、「食」を通して、現場スタッフの会話も弾み、チーム連携が取れることもあるという。本作では、毎回実際に存在するロケ弁が多数登場。お弁当をおいしそうに表現するポイントを聞くと、
【つのだふむ】一流のカラーリングチームにカラーをお願いしていて、特にお弁当の具材のカラー演出は研究に研究を重ねたそうで、リアルなお弁当よりもおいしそうに見えるくらいの出来栄えでカラーリングしていただけました。お弁当は基本的に冷めており、湯気もなく、出来立てでもない。実際食べればおいしいのですが、漫画で描くときに、「おいしそうに描く」のはものすごく難しいのです。
【サエグサケイ】リアルにそのまま描いても、意外においしそうに見えない部分があったりするので、調理方法は意識しながら、脚色するところは「おいしくなれ~!」とおいしく見えるように描きました(笑)。
また、多くのロケ弁があるなか、どのようなポイントで選んでいるのだろうか?
【つのだふむ】長く現場で愛されているロングセラーのロケ弁は、必ず「お店側にも、食べた側にも物語」がしっかりあります。それと新進気鋭のロケ弁にも、そういう名作ロケ弁に挑んでいく気概とか、革命精神の物語がお店側にあったりします。なので、そういう「想いや物語を感じることができるロケ弁」が必然的に多くなってるかなと思います。
ケータリングや芸能人おすすめのロケ弁など、毎回趣向を凝らしたお弁当選びも本作の大きな見どころ。ロケ弁選びとおいしさを伝える表現には、並々ならぬこだわりを感じる。
新人の米子は師匠の教えを守り、ロケ弁手配にこだわりを持つ。第1話、主演女優の篠宮の回では、幼いころから食べ親しんだ「津多屋」の味で緊張をほぐすことができた。しかし、第9話では大物俳優の苦手な「辛い物」をケータリングで発注してしまう。米子が失敗を繰り返しながらも、制作部の1人として成長していく姿も見どころである。
【つのだふむ】テレビ業界に限らず、「すべての仕事の現場の人に何か感じるものがあったらうれしい」という気持ちで描きました。どんな仕事も、その人の取り組み方次第で楽しくできる。お弁当選び一つとっても、「米子のようにこだわりぬくか、ただの作業になってしまうか」で、仕事の楽しみ具合がまるで変わってしまう。
もちろん、本当に過酷で、とてもそんな余裕など持てないという現場もたくさんあると思います。それでも、「どんなときでも、お弁当を味わおう」っていう心持ちでいるということ、今この瞬間、自分のやっていることを「愛そう」「楽しもう」という気持ちであれたら、何か変わるかもしれないと思うのです。
全29話の中で、米子の成長を感じるポイントをお2人に聞くと、
【つのだふむ】かなり成長がゆっくりな子だとは思うのですが(笑)、21話の喜山の回から、仕事に向き合う米子の姿に変化が見られると思います。自分の仕事だけでなく、ほかの人の仕事をやってみて「この人はこんな大変なことをしていたのか」と、他者への眼差しと理解が変わるのです。自分のことだけを考えているところから、他者に眼差しが向いたときに、成長のきっかけはあるのかなと思います。
【サエグサケイ】私が思う米子の成長ポイントは、11話~16話あたりですかね。仕事と恋愛のはざまで主人公の米子が思い悩むのですが、「恋愛」って生きていてつきものだと思うんです。その中でどうやって解決して、成長していくか、米子なりの受け取り方がとてもおもしろく、ジーンと沁みる部分でもあるので、ぜひ読んでいただきたいです!
リアルな制作現場は、ドラマ化されても見ごたえがありそうだ。
【つのだふむ】ぜひドラマ化してほしいです。現場に渾身の差し入れに行きたいです。連絡お待ちしてます!
【サエグサケイ】私もそう思います!!連載当時は、絵を描く前に原作を読ませていただき、毎回ワーキャー盛り上がってました(笑)。ドラマのプロデューサーさん、監督さん!ぜひ!!ドラマ化ご検討のほど、よろしくお願いいたします!!!!!!
と、お2人の声は弾んだ。
取材協力:つのだ ふむ(@tsunoda_fumm) 、サエグサケイ(@saegusakei)
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