中学生になってもブラをつけられなかった!「性別」に違和感!?40歳を過ぎて自分は「ノンバイナリー」だと知り、生きづらかった半生を描く【著者に聞く】

今回は自分の性が女であることに違和感を感じて生きてきた漫画家 桜木きぬさんの「性自認」の話。桜木さんは、中学生になってもブラをつけることに抵抗があり、それは20歳まで続いたという。今回は『わたしが選んだ死産の話』の作者・桜木きぬ(@kinumanga)さんのWeb漫画『性別に振り回されたわたしの話~1981年生まれのノンバイナリー~』を紹介するとともに「男でも女でもない性別」ノンバイナリーとは何か?生きづらさを抱えた半生について詳しく話を聞く。


自分が「無性別」だと気付いたのは、40歳を過ぎてからだった

第一話_001画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

第一話_002画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

第一話_003画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

桜木さんが自分はノンバイナリーだと気づいたのは、最近のこと。思春期のときから自分が女性であることに違和感を抱えつつ生きてきたある日、インターネットで「ノンバイナリー」という言葉を知る。男でも女でもないという性自認を「ノンバイナリー」という。パターンとして「男性と女性のどちらにも当てはまる」あるいは「どちらにも当てはまらない」「男性と女性の中間」「男性と女性を行き来する」など幅が広い。初めてその言葉を知ったときは、「強い反発を感じていた」という桜木さん。「『自分がこれだと思うと嫌な気持ち』というか、『多分これだけど、認めてしまったらまた差別されたりするのかな』という不安がありました」と話す。

第一話_004画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

第一話_006画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

「だけど認めずに生きることにも限界を感じていて、つらさがどんどん増して、『これ以上はもう危ないな』と思ったギリギリで受け入れました。最初は『折れた』という感じでした。その後も葛藤はありますが、だいぶ気持ちも体調もマシになりました。どんどん気が楽になっていったらいいなと思います」性自認を受け入れるまでにも多くの時間を要したという。

第三話__005画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

第三話__006画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

第四話_001画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

制作のきっかけを聞くと、「ノンバイナリーの身体の性別、性自認、性的指向にはさまざまなバリエーションがあります。最近はそのような話題も珍しくなく、比較的ポジティブに語られることが多く感じますが、1981年生まれの私が育った時代はそうではありませんでした。クィアなコミュニティで自分より若い世代の人と話すと、感覚がだいぶ違うなと感じます。もちろん現在も当事者たちはさまざまな困難を抱えていますが、明るくポジティブな生き方もできるようになってきていると感じます。それは間違いなく社会がよくなっているということなのですが、時々『LGBTQは若者のもの』という声が耳に入り、『いやいや、中年以上にもいっぱいいるよ~。今まで透明になってただけだよ~』と思ってしまいます。漫画を描いただけで何かを変えられるとは思いませんが、世を去る前に、私の世代にもこういうふうな人がいたよ、という事だけは記録したいと思いました。後世の何かの研究の資料のひとつにでもなれたらうれしいです」と、話す。

第一話_011画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

第二話_001画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

本作を描いたことでカミングアウトすることになるわけだが、「漫画の仕事の上では、ノンバイナリーであることをオープンにすることにより、ノンバイナリーを題材にした漫画を当事者目線で描けるようになりました。SNSに載せてる漫画などを読んでくれる方が減るのかな~と思いましたが、今のところあまり変化はないようでホッとしています」と、桜木さん。

第五話_001画像提供:『性別に振り回されたわたしの話』(C)桜木きぬ/KADOKAWA

10代のころは体が女性になっていくことに嫌悪をし、絶望していたという。特に胸が膨らんできた体を受け入れられず、ブラをすることに強い抵抗があった。教室で男子にからかわれても、親や先生に注意されてもできなかった。それは、20歳まで続いた。違和感をうまく言葉にすることができず、いろいろな場面で親と衝突。生きづらかった過去を振り返る。

本作はダ・ヴィンチWeb で人気を博し、完結。「女子」と呼ばれることに違和感を覚え始めた小学生時代から結婚を経て、自分が男でも女でもない性=「ノンバイナリー」だと気づかされる、桜木さんの性別に振り回された半生が赤裸々に描かれている。前作『わたしが選んだ死産の話』は、まだ「ノンバイナリー」という言葉に出会う前の話。性に違和感を感じつつも、心を許せる伴侶と出会った経緯も描かれている。本作と合わせて読むと興味深い。


取材協力:桜木きぬ(@kinumanga)

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