【破綻寸前→夫婦関係】「2人分のバターを全部自分のパンに塗る」…食い尽くし系夫の“無自覚な悪意”に妻が絶望【作者に聞く】

2人分用意したバターを平気で使い切ってしまう夫。夫婦仲も冷え切っていく…鳩ヶ森(@hatogamori)

「夫」という生き物は、なぜ余計なひと言を言ってしまうのだろうか。「君は気にしなくていい」と言うのなら、いちいち言わなくてよいのに、と妻は心でつぶやく。目の前の夫は「朝食で出している2人分のトーストとバター…そのバターをすべて自分のトーストに塗ってしまう男」だった。2人の夫婦関係は破綻寸前、いやもう破綻していたのかもしれない。10年前のあの日、4歳だった娘が行方不明になった日から――。

SNSで連載中の話題作「犯人を予想する漫画『仮門』」は、10年前に起こった女児失踪事件を読者とともに追っていく漫画だ。本作を描いているのは、2023年2月に「第2回 朝日ホラーコミック大賞」漫画部門で大賞を受賞した新進気鋭の漫画家、鳩ヶ森さん(@hatogamori)。最新話が配信されたばかりの本作について、鳩ヶ森さんに話を聞いた。


「食い尽くし系夫」は現代の妖怪譚


犯人を予想する漫画「仮門」P001鳩ヶ森(@hatogamori)

犯人を予想する漫画「仮門」P002鳩ヶ森(@hatogamori)

犯人を予想する漫画「仮門」P003鳩ヶ森(@hatogamori)

本作では、第1話で不気味な行動を取る父親、第2話で母親の友人、第3話では事件当時4歳だった幼なじみたちが登場し、話が進行するにつれ、誰もが腹に一物抱えたような表情で読者の疑念を深めていく。

その中で描かれる「夫」の描写が秀逸だ。鳩ヶ森さんは、少し前にSNS上で話題になった「食い尽くし系夫」から着想を得たと語る。「家族4人分の餃子を焼いたら子どもの分も含めほとんどたいらげてしまった」「食いつくされないように冷蔵庫に鍵をかけたら破壊しようとした」など、にわかには信じられないエピソードの数々に、「もはやこれは現代の妖怪譚なんじゃないか、いつか漫画に描けたらよいなと企んでいたものです」と明かした。

「妻も食べる人間」という前提の欠落


作中に登場する夫について、鳩ヶ森さんは「食い尽くし系ではなく単に『気が利かない男』ですが、根は同じだと思っています」と分析する。

つまりは「妻の食べ物」に意識が向かない男であり、「妻も自分と同じように腹が空くし食べる人間なのだ、という当たり前の前提が脳から抜け落ちている」という。こういうタイプの男性を描こうとしたときに頭に浮かんだのが、今回の「朝食のバター」のエピソードだった。

最新話である第4話では新キャラも登場するが、あともうひとり、未登場の重要キャラクターがいるそうだ。「その人物を登場させてから、ストーリーは解決編に向かいます」と鳩ヶ森さんは語る。解決編に移行する前に、犯人を推理してみてほしい。


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