あえて「決めすぎない」 漫画『カミキル』原作・此元和津也が語る、“ぬるさと怖さ”が同居する商店街の作り方
寂れた商店街で暮らす二人の兄弟、藤と桐。彼らは失踪した父の帰りを待ちながら床屋を営む日々を送っていた。だがその商店街には“何か”が棲みついているようで――。
週刊ヤングジャンプで連載中の漫画『カミキル―KAMI KILL―』(原作:此元和津也 作画:ヤマサキリョウ)は、人通りも開いている店もまばらな古びた商店街を舞台にした作品だ。理容師の藤、その弟の桐の少しユーモラスな日常を描きながら、謎に満ちた“なんでも屋”や、シザーマンと仇名される強盗、そして3年前に失踪した父と、不穏な影がちらついている。
日常と違和感が同居するミステリー人情劇として注目され、2026年2月19日にコミックス第2巻が刊行された同作。『セトウツミ』『オッドタクシー』『ホウセンカ』と数々のヒット作品を手掛けた本作の原作・此元和津也さんに作品の舞台裏をインタビューした。
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――カミキルをはじめるうえで「これは描きたい」と思った要素は何でしたか?
【此元和津也】商店街の空気。平和そうで、みんな知り合いで、同じ一日が続いてるように見えるのに、ちょっとしたことで一気に空気が変わる。そのぬるさと怖さが同居している感じをまず描きたいと思いました。
――殿田商店街にはさまざまな人物や場所が登場します。設定では、執筆前から決めていたこと、また執筆中に変わったことはありますか?
【此元和津也】最初から決めすぎず核だけ置いて、あとは描きながら発見していくやり方にしました。商店街は放っておくと脇役が勝手に濃くなる場所だなと思いました。
――ここまでの物語で「ここは特に印象深い」と思う箇所があれば教えてください。
【此元和津也】藤が取材中にヒートアップして空気が気まずくなるのを、でん吉ローリングで強引に収めるシーン。書いてる時、熱が39度ぐらいありました。
――本作に込めた、作家としての“挑戦”や“実験”があれば教えてください。
【此元和津也】週刊連載のスピードの中で精度を落とさない作り方に挑戦してます。ヤマサキさんの作画を受けて、より強い方に最適化していく相互作用のライブ感が実験です。
――この作品を通じて、読者に伝えたい“感情”や“メッセージ”はありますか?
【此元和津也】正しいことしたのに損したり、何もしてない人が一番安全だったりする、「こういう気持ちあるよな」っていう、あのモヤっとするやつ。
――最後に、本作品をどんな人に読んで欲しいですか?
【此元和津也】生活の手触りが好きな人に。商店街の空気が好きな人に。言葉にならない違和感に気づいてしまう人に。
原作:此元和津也 作画:ヤマサキリョウ









