「母が死んでからずっと1人…」実父の虐待から逃げ延びた車いすのホノカさんが、新居で見せた本当の強さ【作者に聞く】
ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待、深刻な家庭内トラブルに苦しむ人々を、闇夜に紛れて救い出す――。そんな「夜逃げ屋」の過酷な現場を元スタッフの視点からリアルに描き、SNS上で圧倒的な注目を集めているのが、漫画家・宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さんの実録コミックエッセイ『夜逃げ屋日記』だ。
単行本第2巻も発売され、著者と夜逃げ屋社長との対談も大きな話題を呼んでいる本作。今回は、X(旧Twitter)でも反響の大きかった第39話のエピソードを紹介するとともに、地獄のような環境から決死の脱出を果たした依頼者の「その後」について、宮野さんへのインタビューを交えてお届けする。
「図々しい人間には描かないで」車いすの依頼者が川辺で漏らした本音と、元駅員スタッフの気付き
自分の財産を散財し、容赦なく暴力を振るう実の父親。その生き地獄から夜逃げ屋の手によって救い出されたのは、車いす生活を送るホノカさんだ。亡き母の葬儀後、1人で必死に耐え抜いてきた彼女は、無事に夜逃げ先のアパートへと到着する。
荷ほどきの最中、夜逃げ屋の社長から「これから1人でやって行けそう?」と声をかけられたホノカさんは、「母が亡くなってからずっと1人で生活して来ましたから、もう慣れっこです」と、過酷な過去を感じさせない強さで微笑む。作業の合間、社長の指示で周辺施設の確認を兼ねた散歩に出かけた宮野さんとホノカさん。立ち寄った川辺の休憩中、宮野さんが「自分が漫画家を目指していること」を打ち明けると、彼女は驚きつつも静かに語りかけた。「描いてもいいけど、図々しい人間っていう描き方はしないでほしいな」
その言葉には、障害を抱えながらも、偏見に抗い自分なりに一生懸命生きてきた一人の人間としてのプライドが詰まっていた。それまで「障害者は守られるべき弱い存在」だと思い込んでいた宮野さんは、彼女の芯のある姿に「かっこいい」と深い感銘を受ける。作業を終え、夜逃げ屋のワゴン車が走り出すとき、車が見えなくなるまでずっと頭を下げて見送ってくれたホノカさんの姿を、宮野さんは「一生忘れない」と心に誓った。
危険な過去を断ち切った彼女の今。「安全な所で生きている」という、これ以上ない希望
多くの読者が胸を痛め、そして行く末を案じたホノカさんの脱出劇。夜逃げという極限状態を乗り越えたあと、彼女は今、どのような日々を送っているのだろうか。
現在の状況について宮野さんに尋ねると、次のように答えてくれた。
「詳細は特定を避けるため話せないんですが、こうやって作品に登場しているということは、詳細を聞きに再度インタビューさせていただいたので、安全な所で今も生きているということです。元気です!」
父親からの暴力と金銭の搾取を断ち切り、自分の人生を取り戻したホノカさん。誰にも脅かされない「安全な居場所」で彼女が元気に暮らしているという事実は、今まさに理不尽な環境で絶望している人々にとっても、一筋の大きな希望となるに違いない。
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取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)
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