「悩み聞くよ」親切な隣人が1日で不幸話を大拡散→孤独な妻の痛快な逆襲に「一番危険」【作画家に聞く】

理想の結婚生活が、音を立てて崩れていく——。夫の裏切りと家族の巧妙な支配に立ち向かう主人公の姿を描き、多くの読者の心を揺さぶった『結婚したらゴミでした』(著:ふくよかまるみ)。今回は、制作の舞台裏から作品に込められた切実なメッセージまで、作者のふくよかまるみ(@fukuyokamarumi)さんにたっぷりとお話を聞いた。

『結婚したらゴミでした』(著:ふくよかまるみ)


——非常にインパクトのあるタイトルですが、本作が生まれたきっかけを教えてください。

【ふくよかまるみ(以下、ふくよか)】この作品は知人の実体験がベースになっています。傍目には幸せな交際期間を経て結婚したように見えた彼女でしたが、そのあまりに過酷な日々に胸が痛みました。しかし、最後には彼女自身の力で見事な仕返しを果たしたと聞き、心の底からスカッとしました。タイトルの『結婚したらゴミでした』は、この「ゴミ」が一体誰を指すのか、読み手によってどの人物にも当てはまるように考えました。


——物語序盤の「幸せそうな日常」から次第にズレが生じていく展開が非常にリアルでした。描写でこだわった点はありますか?

【ふくよか】『違和感の積み重ね』を丁寧に描くことです。最初からあからさまにひどい人間として描くのではなく、産後の職場復帰への言葉がけなど『一見正論だけど、冷たい』という絶妙な空気感を大切にしました。あえて幸せそうな日常の中に、ほんの少しの“毒”を混ぜる。その小さなズレが次第に大きな恐怖へと変わっていく過程を、読者の皆さんが『自分事』として感じられるよう、生活感のある描写にこだわりました。

——夫・コウキの、理想の大人から醜悪な本性への変貌は圧巻でした。描く際に意識した点はありますか?

【ふくよか】ビジュアル面では、大人の余裕を感じさせる『理想的な男性』を意識して描き始めました。そして、モラハラが露呈するシーンでは、その美貌が崩れるほどの『人間の醜悪な表情』を対比させています。実は、醜悪な方のコウキについては、私自身が過去に経験した嫌な出来事や、そのときに対峙した相手の憎たらしい表情も投影しています。感情を乗せすぎて、描いている最中は、私自身もコウキを心の底から憎んでいました!

——義母・フミエの、逃げ場を奪うような支配も恐ろしかったです。

【ふくよか】知人から話を聞いた当初は『家事をしてくれるなんて羨ましい』と思ったのですが、ナミさんの視点に立つと、それは親切という名の『完全な包囲網』でした。笑顔で他人の意見を寄せ付けず、逃げ場を奪う。そんな、無自覚な悪意が一番恐ろしいということを表現したかったんです。

——お向かいの宇野さんも、非常に印象的なキャラクターでした。

【ふくよか】私の身近にも宇野さんのような人がいました。『悩みを聞くよ』と優しく歩み寄ってくれたので信じて話したら、数日後にはご近所中に広まっていたという……。彼女たちは悪気があるのかネタ探しなのかはわかりませんが、距離感を間違えると非常に危険な存在です。本作では、孤独な主人公がすがりたくなるような『いい人』を装いながら人の不幸話をうれしそうに聞く、『人間の残酷さ』を象徴するキャラクターとして描きました。


(C) Marumi Fukuyoka 2026
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