【ホラー】不気味な「地獄坂」の先にある民家での肝試し→慈悲の言葉と狂気が交錯する老婆の正体

地獄から無事に戻れるのだろうか?羊遊(@bii_ttt5)

人はそこを「地獄坂」と呼ぶ――そんな見出しから始まるこの物語は、作者の少年時代をモチーフにしている。長く急な坂を下った先には“立ち入り禁止”とされている民家があり、その周辺では猫の死骸が見つかっていた。いつしか周辺の人々は、その民家へつながる道を「地獄坂」と呼ぶようになった。

地獄坂の思い出P02羊遊(@bii_ttt5)

地獄坂の思い出P04羊遊(@bii_ttt5)

地獄坂の思い出P05羊遊(@bii_ttt5)


ゴミ屋敷としか思えない異臭漂う家


地獄坂の下にあるボロボロの民家には「人殺しが住んでいる」と噂されていた。ある日、子どもたちは肝試しを思い立ち、グループのなかで“いびられ役”だった少年がひとりでその家へ行かされることとなる。少年は嫌がったが、結局は仲間内の圧に拒みきれず、地獄坂を歩いて下っていった。

民家の軒先に立ち、おそるおそる声をかける少年。すると中からボサボサに髪を乱したおそろしい形相の老婆が出てきた。なりゆきで家の中へ招き入れられた少年は、ゴミ屋敷としか思えない異臭漂う家の中を老婆のあとに続いて歩く。そして、天井から吊るされているおそろしい“モノ”を目にしてしまう。

地元に実在した坂と「冥界行き」の記憶


本作で描かれている老婆は「この世が地獄よ」というセリフを吐く。目からは温かい涙が流れ、口からは慈悲の言葉が吐き出される。老婆にまつわる噂は間違っていたのかと思いきや、態度は突如として豹変し、狂気むき出しで少年に襲いかかる。

本作『地獄坂』を描いたのは、『悪食の食卓』で「第2回くらげバンチ同人誌大賞」(新潮社)の佳作を受賞し、「カチCOMI」(秋田書店)で『太陽への恋文』を連載していた漫画家の羊遊(@bii_ttt5)さんだ。

物語のきっかけについて、羊遊さんは「本作は地元がテーマの漫画で、地獄坂は実際に存在します。住宅地にある急な坂で、私の親世代に地獄坂と呼ばれていたそうです。そこから地獄、根の国、黄泉比良坂…とアイデアを広げて、このような物語になりました」と語る。

印象的なタイトルについては、「『地獄』という名のとおり冥界行きを象徴しています。坂を下り、地獄へ行き、あの世の食べ物を出されるも、口をつけなかったことで現世に戻ってこられた…。そんな思い出を振り返る少し不思議な話です」と明かした。

読者から「こういうおばあさん、いたなぁ」との声も寄せられた老婆のキャラクターについて、「感情の振れ幅の間に、慈悲や祈りが垣間見える点です。あえて相反する要素があることで人物像に厚みを持たせて、読者の記憶に呼びかけるようなキャラにしました」と、そのこだわりを語った。


取材協力:羊遊(@bii_ttt5)
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