どっちも“最高オブ最高” オラザク金賞受賞者が語る「実物大ガンダム」と「1/60 “安彦顔”ガンダム」の魅力
「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト」の一環として横浜市と連携した期間限定施設「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」が、本日12月19日より一般公開される。12月18日には、ガンダムの生みの親・富野由悠季監督らが見守るなかオープニングセレモニーが実施され話題となった。40周年もの長きにわたって愛され続けるガンダムの“キャラクター性”について、月刊ホビージャパンのガンプラコンテスト「第23回全日本オラザク選手権」金賞のヲパさん(@GunGunpla)に話を聞いた。

誰もが「俺の好きなガンダム」をもっていて、それを許容する懐の深さがある
――本日から実物大ガンダムが一般公開されます。「劇場版機動戦士ガンダム」3部作の“安彦顔”とはまた違った魅力があります。


「40年という歳月を経て、もはや『RX-78ガンダム』は“記号(アイコン)”だと思うんです。僕のようにテレビや映画で放送を見た世代から、ゲームやCG、または解像度の上がったプラモデルが入り口の世代も多いわけで、懐古趣味に留まらず絶えず新しい解釈を提案する送り手の苦労も感じます」
――横浜にできた新しい“ガンダムの聖地”です。気になりますか?
「もちろん!ぜひ家族を連れて下から見上げてみたいですね!『動くモビルスーツのスケール感』を、模型の表現にフィードバックできる気がしていて楽しみです!」
――誰もが「俺の好きなガンダム」をもっていて、それを許容する懐の深さが「ガンダム」にはあると思います。ヲパさんは表現者としてどう思われますか?
「重複しますが、もはや『ガンダム』は記号化していると思うんです。これはガンダムじゃない、これこそがガンダムだ、という意見をよく見かけますが、公式で映像化・作品化している以上はどれもガンダムだと思うし、人それぞれに好きなガンダムがあって当然だと思います。ラーメンや飲み物のように好みが分かれて当然なのだから、食わず嫌いは損ですよね!いろんなガンダムを楽しんだもの勝ちです!僕自身、他のガンダムも大好きです!」
――実物大のガンダムが動くまでになりました。次はどうなってほしいですか?

「もう僕のようなおじさんには想像以上の展開ですから、お腹いっぱいではあります(笑)。強いて言えば、近くで歩くモビルスーツの『ドスン・ドスン』と地響きを立てる巨大感を感じてみたいです!」
40周年を迎え、新しくさえ感じた「原点回帰」
――ヲパさんは、機動戦士ガンダムの劇場版に登場する“安彦顔”ガンダムを忠実に再現し、金賞を受賞しました。 オラザク選手権とは、モデラーの方にとってどんな賞ですか?
「そうですね、日本最大級のガンプラコンテストで、“プロへの登竜門”と聞きます」
――オラザクへの参加は何回目ですか?<br />
「見てばかりでしたので、一昨年に続いて2度目の参加です」
――本作「原点回帰」の製作期間を教えてください。
「昨年12月から製作をはじめ、今年3月で完成させていますので約4カ月です」
――今大会への意気込みはどんなものでしたか?
「実は『オラザク』を意識して作っていた訳ではなかったんです。SNSでも製作の進捗を紹介していましたし。ただ思いの外評判がよくて、記念に応募してみようと思ったんです」
――金賞の感想は?
「驚きました!超絶作品がひしめくなか、カタチや塗装こそ拘りましたが、劇中(劇場版「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」)のイメージを追求した結果、デカールも筋彫りも追加ディテールも一切入れなかったからです。仲のよい友人達は褒めてくれていましたが、まさか金賞を獲れるなんて考えもしていませんでしたから」

――ガンプラが今年40周年を迎え、さまざまな意味で変貌を遂げるなか、「原点回帰」が新しく感じられました。
「いつか対峙したいと思い続けた『劇中の“安彦ガンダム”』というモチーフ。応募前に、今ひとつ気に入ってなかった頭部を新たに作り直し、僕自身も満足したものになりました。そうした部分も評価されたのかな、とも思っています」
――金賞獲得後の反響は?
「Twitterのフォロワーさんが一気に500人は増えました!祝福の返信に数日追われ、うれしい悲鳴をあげていました」


外国人モデラーの勉強熱心さと、撮影に対する並々ならぬこだわり
――今回の大賞作「NZ-666 クシャトリヤ」の感想は?
「確実にてっぺんに狙いを定めて応募された素晴らしい作品だなと思いました。流石です」
――今回の大賞作に代表されるように、昨今の外国人モデラーの実力をどうご覧になっていますか?
「中国人モデラーの方に限らず、アジア圏のモデラーさんは勉強熱心ですし、撮影にも並々ならぬこだわりを感じます」
――具体的に外国人モデラーの特徴は?
「ストーリーを熟考させて再現したと感じ取れる作品が多いような気がします。単品だけにとどまらず、ジオラマ仕立てなど、AFV(装甲戦闘車両)の要素も上手に取り込んでいる印象ですね」
――今後もオラザク選手権に挑戦しますか?
「タイミングが合えばですが、フィギュアなど新しいジャンルにも興味があります。来年は色んな挑戦をしてみたいと考えています。必ず、ガンプラにもフィードバック出来る確信があります。模型趣味というものは奥深く、楽しいものです」
取材協力:ヲパ(@GunGunpla)