同性愛をテーマにした漫画に共感!恋愛にトキメキや切なさはつきもの

友達を集めてバーベキューをしようと思ったら、あの人とあの人は喧嘩中、あの人とあの人は別れた、と因縁のある人ばかりで集められなかった!という“ゲイ(同性愛者)あるある”。クスッと笑えるものから、恋愛の切なさを描いた4コマ漫画が、ゲイもヘテロ(異性愛者)も関係なく刺さると共感を呼んでいる。

大学のサークルなどコミュニティが狭いとありがちな「しがらみルンルン」


自分の経験をやわらかく、広く伝えて共有したい

ゲイがテーマの4コマ漫画をTwitterで発表しているのは飯塚モスオさん(@moscowmule_)。自身もゲイである飯塚さんは、周囲へカミングアウトをしようと思ったことから漫画を描き始めたのだそう。

「カミングアウトをしても、周りの人に受け入れてもらえなかったらどうしようとか、そのことで大きなダメージを受けるのではないかと悩みました。(カミングアウトを)した後も、これでよかったのかと考えたり、孤独を感じたり…。そこで、自分の経験をやわらかく広く伝えて、共有できる人が増えたらという思いから描き始めました」

生きている証はどこにあるのか考えさせられる「是が非でも僕はタヌキ」

漫画の案を考えるのは、入浴中やベッドに横になっているときが多いのだそう。恋愛ネタだけではなく、ゲイに対しての偏見や、言われたことに対しての思いを率直に描いた作品もある。

「今日一日こんなことがあった…と“ひとり反省会”をするのですが、その時に『この話は漫画にしよう』と思って、日記みたいに書き留めています。それもあってか漫画を描きはじめた頃は悩んだり、意固地になっていたりと内省的な内容が多かったかもしれません。特に昔の作品は読み返すと恥ずかしく思うこともありますが、当時の自分の一生懸命さだったり、リアルな感情の表れなので、大切な漫画になっています」

「クローゼット・レターズ」は漫画を描き始めた頃から大事にしているネタなんだそう


自身の体験だけではなく、友人の体験談を漫画にすることも好きなんだとか。

「友達と話していると、漫画にしたいなって思うことがたくさんあるので、お願いして描かせてもらっています。僕が漫画を描いていることを知っている人からは、『こういう話を描いて』とリクエストいただくことも。一人で考えて描いていると、何を伝えたいのか、見せ所がわからなくなることもあるので、友達にアドバイスをもらいつつ、自分の解釈も混ぜながら描いています」

恋愛の切なさは異性愛・同性愛関係なし!

飯塚さんに反響の大きかったネタについて聞いてみると、恋の切なさを描いた作品があがった。相手が好きだからこそ身を引いてしまったり、本当のことが言い出せなかったり、失恋した後もふとした拍子に相手のことを思い出したり…。ヘテロの人からすると、男性同士の恋愛というだけで特殊なものに見えるかもしれないが、心の動きに異性愛・同性愛の別はないもの。それゆえに、多くの人から共感を呼んだのだろう。ゲイの人とヘテロの人とで反響の差などはあるのだろうか?

彼との楽しかった思い出が呼び起こされて切なくなる「冬の残り香」

「自分の漫画をゲイとヘテロの人がどういう割合で読んでくださっているのかわからないのですが、切ない系の話はゲイの人が好きなのかな?という印象はあります。友達から『切ない系を描いて』とリクエストをもらうことも。逆に、ヘテロの人からは台湾での俗語について描いた作品が注目されたと思います。ゲイの人の間で使われる表現が目新しくて、インパクトがあったのかもしれませんね」

「ゲイあるある」=ゲイの絶対ではない

ゲイならではの漫画を描いている飯塚さんだが、自分の漫画を“ゲイあるある”と評価されることには思うところがあるそう。

「自分の作品が“ゲイあるある”だと評価されるのは大変光栄なのですが、一方でそれはあくまでも“あるある”であって、絶対にそうなんだと思われないように作品を発信できたらと思っています。僕が描いていることは、僕や友達が体験したことであって、『ゲイの人はみんなこうです』と描いているものではないからです。ゲイの人だって色々な立場の方がいるし、それはヘテロの人でも同じだと思います。特に、ヘテロの方からはゲイだと言えば、イメージで”こういう人”と思われがちなことがあるので、一般化するのではなく、こんな人もいるんだな、あの人はどうなんだろうと、『人』に関心を持ってもらえたらうれしいです」と語ってくれた。

「実際、ゲイの人からも自分の作品に対して『僕ならこうする』『こういった場合もある』というようなコメントをいただくこともあって、勉強になっています。断定や言い切りの表現を多用せず、解釈の幅を持たせたいと思っているのですが、4コマ漫画の性質上描けることも限られているので、そのバランスが難しいですね」

人をあるひとつの属性だけで判断してはいけない、というのは誰に対しても同じこと。その前提を忘れないようにしつつ、「この現象あるある!」「共感できる」と楽しんでいきたい。

「台湾での俗語 -エビ-」1


取材・文=西連寺くらら

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