【漫画】非常ボタンではじまる運命の出会い…シュールな恋のはじまりに「出会ってはいけない二人」の声
偶然触れ合う指と指といえば、ラブストーリーの王道とも言える出会いの場面。なのに重なり合った場所はよりによって火災警報ベルの非常ボタンで……。ゐわなさん(
@iwana_iyo
)がTwitterに投稿した1ページマンガ「非常ボタンから始まる恋」が2.2万いいねを超える反響を呼び、読者からは「そうはならんやろ」「お似合いカップル」「出会ってはいけない二人が出会ってしまった」といったコメントが寄せられている。

同作の他にも1.3万いいねが寄せられた「こらこら、重傷じゃないか」など、1ページで完結する漫画を中心に作品を発表し、人気を博す作者のゐわなさん。話を聞くと、実は漫画を描き始めたのはつい最近のことだという。描き始めたきっかけや、意外性あふれる作風について話を聞いた。
知名度がないと最後まで読まれない…短いページ数で勝負
――ゐわなさんが漫画を描き始めたきっかけを教えてください。
「以前は、今描いている漫画のようなジャンルの動画を作って投稿していました。ただ、編集の技術もお金もなく、表現の幅に限界を感じていて。絵が少しだけ得意だったのと、漫画なら表現の幅に制限がないと思ったので漫画に移行しました。本格的に描き始めてからは二カ月も経っていないです」
――1ページで完結する作品が多いですが、このスタイルの理由は?
「元々動画でそうしたジャンルを作っていたのもあるのですが、僕のような人気も知名度も信頼もない人間の漫画は、ページ数が多いと最後まで読んでもらえないことが多くて。長いもので20ページ描いたものあるのですが、やはりいまいち伸びてくれなくて。なので1ページに収めようという結論に至りました。ギャグならアイデア一つで落とすことができるので1ページ漫画と相性がいいです」

――確かに短いからこそ、シュールなギャグが冴えますね。
「シュールに関しては自覚はないというか、特に意識もしていないです。たった今『シュール 意味』で検索したぐらいです(笑)」
――それは意外でした。かなりユニークな発想が多いなと思いますが、アイデアはどう生まれるのでしょうか。
「本当にしょうもない人間なので、何を見ても素直に面白いと感じることが少なく、普段から『もっとこうだったらいいのにな』『こうなったら面白いのにな』と考えることが多くて。そこで思いついたものをすべてメモして、後で見返したときにそれらをストーリーにどう組み込んでいくかを考えていく感じです。だいたい授業中かバイト中に考えていますね。逆に、『何か思いつけ』と思っているときに何か思いつくことはほとんどないです」
「読み手を裏切れるように」ベタな話は徹底的に避ける
――今回話題となった「非常ボタンから始まる恋」もそうしたところから作られたんですね。
「僕の漫画の構成の1つとして、みんなが共通で認識しているいわゆる“あるある”から、1つだけ何かをズラすというやり方があるんです。これもその1つで『図書館で同じ本を取ろうとしたら手が触れ合い恋が始まる』という、誰もが一度は見たことがある状況も、それを本から非常ボタンに変えるだけで一気に異常さが増してきます。なので僕が考えたのは『非常ボタンを押す』ということだけです。楽でいいですね(笑)」

――作品を作る上でこだわっているところはありますか。
「個人的に“ベタ”な話や展開があまり好きではないんです。もちろんベタでウケている人たちのことは尊敬していますが、自分の作るものはなるべく、ベタは避けたいと思っていて。最後の1コマまでオチを予測させない、もしくはオチなしで終わるなどして、読み手を裏切れるように考えています」

――漫画を描き始めて二カ月弱とのことですが、これからの目標はありますか。
「しばらくはTwitterに漫画を投稿していこうと思っています。今回もたくさんの方に読んでもらえて、たくさんの評価をもらえたり、フォロワーさんが増えていくのがとてもうれしかったです。それと同時に、他のメディアに進出できるチャンスもずっとうかがっています。SNS以外にも出せるのも漫画というジャンルを選んだ理由の一つなので。
今後はページ数の多い漫画ももっと描いていきたいですね。そのためにまず、最後まで読もうという気になれる作者としての信頼を獲得していきたいと思っています。まだまだ駆け出しですがこれからも応援よろしくお願いします!」
毎日更新を掲げて新作を発表し続けるゐわなさん。いずれも意外性あふれる作品だけに、これからも目が離せない。
取材協力:ゐわな(@iwana_iyo)