【怪奇漫画】「私キレイ?」の口裂け女や七不思議など、怪談話を題材にした漫画がゾッとしておもしろい!
さまざまな怪談話をテーマに、妖怪のメチャ子と無類の怖がりで天然な主人公が波乱な日常を繰り広げる「レッツゴー怪奇組」。Webメディア「オモコロ」で連載されている怪奇ギャグ漫画で、ホラーはもちろん、ジーンとくるちょっといい話や「いやいや、そうじゃない!」とツッコみたくなるおもしろ展開もあり、さらに「メチャ子かわいい」という声も多くキュン要素も備わっている。

今回は作者であるビュー(@orihazuma)さんに直撃し、特に反響があった作品や漫画を描く裏側、メチャ子のことなどを聞いてみた。
妖怪や幽霊にはとらわれたくない
2009年、知り合いに読んでもらうために描いた漫画を個人サイトに掲載し始めたビューさん。2012年に同人誌の販売を始めた際、告知用のTwitterアカウントを作成し、時々短い漫画を投稿するようになったそう。
「2018年にオモコロの編集長から連載のお話をもらいました。その時は漫画以外にやりたいことがあったのでWebでの創作活動は縮小していこうと思っていたのですが、もともとオモコロが好きだったのでご縁を感じて、連載を始めました」



「レッツゴー怪奇組」が誕生したきっかけを聞くと、「当初オモコロでは毎月読み切り漫画を描いていくつもりでした。ただ、1本描いたところで早々と読み切りのアイデアがなくなってしまったんです。そこで、苦し紛れに過去に発表していた漫画『関東怪奇組』の設定に手を加えてできたのが『レッツゴー怪奇組』です。最初は読み切りのつもりだったのですが、続き物にしたほうがよさそうと意見をもらったので続けてみました」。
インドア派だと言うビューさんは、「家の中の話を思いつくことが多いです。怪奇を題材にした作品は、おもしろいものがほかにたくさんあるので、最近はあまり妖怪や幽霊をメインに考えないようになりました」と話し、その柔軟な考え方が、予測不能でつい読み進めてしまう魅力的な作品を生み出しているのだ。


メチャ子の女の子らしい一面にキュン
特に反響が大きかった話は?という問いに「『口裂け女』はメチャ子がかわいいという感想をたくさんいただきました。容姿がテーマなので結構気を遣いました。あと、主人公が自発的に行動する話もあっていいのではと思って描いた『七不思議』は、作中で主人公が叫ぶ『ハーッ!』とコメントしてくれる読者が多かったです」と話す。






「口裂け女」はメチャ子が急に「私キレイ?」と主人公に問うところから始まり、「口が裂けても言いたくない!」と言う主人公にメチャ子が襲い掛かるのだが、最後の1ページのメチャ子の表情に多くの読者がキュンとさせられた。主人公が七不思議を調べるためにオカルト研究会を訪れる「七不思議」も人気が高い作品の一つだ。



そして一番反響があったのは「回る首」だそう。鏡の自分と目が合わない少女の話だが、「いろいろ感想をいただきましたが、鏡で自分の後頭部を見たら死ぬという作り話には一度も言及されませんでした。私が知らないだけでそういう話があるのでしょうか…」とビューさん自身の不思議体験も語ってくれた。
メチャ子は何者?
なんといっても、ヒロイン・メチャ子のインパクトが強い。人間を脅かす幽霊や妖怪の元締め「怪奇組」の組長を務める彼女は、主人公の部屋の押入れに住み着いている。丸くて大きな目とどこか影のある雰囲気が印象的だ。

「前身の『関東怪奇組』で初めて登場した時のメチャ子は、楳図かずお先生の『14歳』に出てくるミチというキャラクターとタレントの戸川純さんをイメージして描きました。メチャ子の髪の毛を緑で塗ることが多いのも『14歳』のキャラクターに影響を受けています。メチャ子の名前も当時好きだったドラマ『非婚同盟』の登場人物から取ったり…当時は続き物として考えていなかったので、適当に考えすぎたと反省しています」と、メチャ子の誕生エピソードも教えてくれた。
「メデューサを意識して描いている時もありました。『レッツゴー怪奇組』になってからは、長毛種のモルモットを意識しています」

そのほかのキャラクターについては「本編に登場している情報からいろいろと読み取って想像してほしい」とビューさん。「そのうち明かされることもあると思います」と含みのある言い方もしていて、気になって仕方がない。
最後に、今後の目標を尋ねると、「漫画に関しては特にありませんが、バク転の練習がしたいです」とひと言。もちろん、バク転ができるように応援はしたいが、メチャ子や主人公のさらなる怪奇な日常にも期待したい。
取材・文=重藤歩美(関西ウォーカー編集部)