【漫画】生涯の縮毛矯正代は車1台分⁉天パの壮絶な苦しみを描いた漫画のクセが強すぎる
時間もお金もかかる縮毛矯正。にもかかわらず、「根元が変に折れ曲がってまるでカッパ」「もみあげは薬剤でチリチリ」と失敗の連続。サラッサラのストレートヘアに憧れて四苦八苦するクセ毛の人生を描いた漫画が、Instagramで共感を呼んでいる。実話をもとにしたフィクションだというこの漫画の裏話や周囲の反響などを、作者の新庄アキラさん(@shinjo_akira)に聞いた。
髪の毛だけでなく視力や歯並びも…。もとから整っていたら払わなくて済んだお金

物語の始まりは縮毛矯正中の美容院から。ふと、これまでかかった&これからかかる縮毛矯正代を計算してしまう彼女。その額なんと225万円、ヘタしたら車が買える…!これには「わかります!必要経費だから仕方ないけど…」「コンタクトも同じで、視力がいい人はコスパいいなって思いながら払ってる」「歯列矯正も、歯並びがいい人はかからないお金なのにって思っちゃう」と、悩める人々の声が集まった。



中高生のころ、髪を真っ直ぐにするためにしたことを紹介する場面も衝撃的。クセの強い生え際を剃ってしまうなど、ストレートヘアの人からしたら「なんて突拍子もないアイデア…」と思うかもしれないが、本人は必死なのだ。髪のうねりを抑えるためならどんなことでも試してやる…という強い意志が空回りしている様子が印象的だ。






なかでも強烈なインパクトを与えるのが、お母さんの天パ物語。このエピソードも実話なのか?と聞くと「母の天パ話は実話です(笑)」と新庄アキラさん。







「漁師町に住んでいた私の祖母はもう亡くなりましたが、いつも網(=ヘアネット)を被っていて、被っていないところを見たことがありません。なので、遺影も網を被っています。母もそろそろ網を被り始めるかもしれません。私も祖母の歳になったらあの網を被っている可能性大です(笑)」
ストレートヘア彼氏のイメチェン事件、腕のいい美容師を探す旅、矯正失敗集などおもしろエピソードがてんこ盛りのこの漫画。くせ毛で悩むフォロワーからは、毎話毎話自分のことを描いているみたい…と共感の嵐だった。








「何十年後かに『クセ毛でよかった』と思いながら永遠の眠りにつく日を夢見て、今はまずハゲないようにシャンプーを2度洗いで優しくすることと、いいクシで頭皮の血流促進を行うことは毎日欠かさず意識してやっています。おばあちゃんの大仏ヘアーはボリュームが命ですからね…」と、漫画では最終的に捻くれまくっていた心も少し前向きになった様子。共にクセ毛で悩んでいる人に向けて、メッセージをもらった。
「科学の進歩により、30年前よりは確実にいい商品やストパーが出てきています。お金がかかりますので、私は髪の毛のためにお金を稼ぐことにしました。皆さん、お金でストレートを買いましょう!働きましょう!クセ毛を消しましょう!!」
現在の本業は理学療法士。日常のモヤモヤを昇華させるために始めた漫画が次の仕事に…?
新庄アキラさんがInstagramを始めたのは今から約6年前。「現在は理学療法士として働いているのですが、ちょうど職場が変わった時期で。新しい職場にはキャラの濃い人があまりにも多く、日常のモヤモヤを昇華させるため、日記をつけるような感覚で大人の絵日記を投稿したのが始まりです」と話す。
「最初は恥ずかしくて夫には隠していましたが、どこからともなくバレたようで…。フォローこそしていないと思いますが、隠れて読んでいるようです(笑)。未だに恥ずかしい気持ちが強くて漫画の話は一切しませんが、夫は誰よりも応援してくれている(はず)と思っています」


2人の息子を持つ母でもある新庄アキラさん。漫画を描き始めるのは大体家事が全て片付き、子どもが寝た後の22時ぐらい。仕事で疲れて寝てしまい、予定通りに描けない日もあるという。仕事と育児の両立は簡単なことではないが、それでも漫画を発信し続けている理由はなんなのだろうか。
「時間的・体力的にはしんどいですが、描いた漫画をSNSでアップするとたくさんのコメントがいただけて、こちらが笑いと元気をもらっています。漫画に関わっている時間はいろいろな事を忘れて違う世界にいる感覚で、現実逃避のような時間になっているのかもしれません。楽しい時間だからこそ続けられているのだと思います」
今回紹介した「私の天パ物語」の前には、銀行を辞めて理学療法士になったきっかけを描いた「仕事辞めマンガ」という人気連載も。そして、2021年7月からは、理学療法士の「仕事やめマンガ」の連載がスタートした。

「前々から40歳になったら何かほかの仕事をしてみたいと思っていました。安室ちゃんは40歳で引退、嵐の大野くんも40歳でお休みに入りました。次元が全然違う方々なのですが、そんな偉大な方々に憧れていたら、ちょうどいい時期に漫画やイラストの方のお仕事が形になり、ついに個人事業主になったため、理学療法士を辞める決意をしました」




今年12月に理学療法士を辞めるという新庄アキラさん。これから好きなことを仕事にできる生活が待っているが、今の率直な気持ちは?と聞くと「不安と期待が半々です」との答えが。
「これからは日々の時間の使い方が自由になる一方、全部自分の責任で、結果も直結してきます。今までのように職場のヤベー奴と関わらなくてよくなるのはノンストレスでうれしいですが、気軽に相談できる人も助けてくれる人も減って今のようにはいかなくなる。自由な分、大変なことが増えると思いますが、今までと全く違う生活をとにかく楽しんでいけたらと思ってワクワクしています」
新シリーズの「仕事辞めマンガ」は、Instagramやブログでこれからも更新予定。彼女の決断を描いた漫画を読みながら、自分の心に向き合って、これからの生き方を考えてみるのもいいかもしれない。
取材・文=江口琴音(glass)