『人生が一度めちゃめちゃになったアルコール依存症OLの話』生活も、職も、お金も、友達も…お酒のせいで全てを失いかけた私。かどなしまるさんインタビュー(2)

社会人になったばかりの新人OLがひょんなきっかけからアルコール依存症になってしまうという衝撃の実体験をつづったコミックエッセイ『人生が一度めちゃめちゃになったアルコール依存症OLの話』。ブログが話題になり、ウォーカープラスでの連載も反響を呼んだ本作が10月29日に書籍として発売された。今回、著者のかどなしまるさん(「 お酒がないと××できません 」/ @marukadonashi )に当時の心境を振り返っていただきました。

ーー双子の妹・もるさんとはどのような関係なのでしょうか?

妹は子供の頃から何をするにもずっと一緒で、言葉を交わさずともお互いわかり合えるような関係でした。私の全てを受け入れてくれるべき存在だと思っていたので、妹にお酒を飲むことを否定されて腹が立って仕方ありませんでした。「私の苦しみはお酒を飲むことで楽になるのになんでわかってくれないの?」って、お酒のせいで初めて2人の間に埋めがたい溝が生じてしまったんですね。何をすれば相手が傷つくかよくわかっていたので、同居しているのにお互いに無視するようになり、関係が悪化していきました。

ーー次第にお酒がないと泣いて暴れまわるというように自分をコントロールできなくなっていく様子が描かれていますね。

一番酷かった時期は飲まないと常にイライラしていました。妹は私のことを心配して止めてくれているのに、「飲めば平気になるのにそれを奪う妹が悪い」という思考になって、飲ませてくれるまで我を失ったように暴れてしまうんです。自分の気持ちをコントロールする力は完全に失っていました。妹よりもお酒のほうが頼りになるし自分を楽にしてくれる。辛い仕事だってお酒が乗り越えさせてくれたので、完全にお酒だけを信頼していました。

ーーそしてお酒のせいで全てを失いかけたのですね。

はい。気づいた頃には、普通の生活も、職も、お金も、友達も、妹も、失いかけていて、もう本当にどん底でした。お酒がないと、何もできないし何もしたくない日々。そんな自分は最低だし間違っているとわかっていて、頭の中では警告音が常に鳴り続けているのに、その警告音もお酒でしか消す方法がわからないんです。

ーーしかしここで、そのまま潰れてしまわずに自ら妹に助けを求めるという行動に踏み出します。立ち直るきっかけは何だったのでしょうか?

もうこのまま消えてしまいたいと思うほどどん底まで落ちたのですが、誕生日に妹が2人の関係をやり直そうとしてくれていることを知って、私も変わった自分で妹と向き合いたいと決意しました。どん底まで落ちるともう上がるしかなかったので、一度どん底まで落ちてよかったんだと思います。

友達に話を聞いてもらったり、見た目を変えてみたり、いろいろなことを実践しました。そして、「アルコールに依存していた頃の私と今の私は違う」と実感するためにも、些細なことでも「私は変わった!」と思える行動をとるようにしていきました。例えば、トイレの蓋を閉める習慣をつけたり、箸の持ち方を矯正したり。お酒とは直接関係ないようなことでも、ひとつひとつの小さな行動が、少しずつ私を変えていきました。


取材・文=宇都宮薫

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