「着たい服がない」という悩みからファッションデザイナーに!アラフォー漫画家の挑戦を描いた漫画が話題

年齢とともに体型が変化し、「今まで着ていた服が似合わない」「着たい服が見つからない」といった悩みが出てくる人は少なくないのではないだろうか。

漫画家の小柳かおり(@kaokaokaoriri)さんは、自身も抱えるそんな悩みを解決しようと、アラフォーにして服飾学校へ入学。なんとファッションブランドを立ち上げるまでに。その様子を描いた漫画「アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話」がTwitter上で反響を呼んでいる。小柳さんにブランドを立ち上げようと思ったきっかけや、服作りへのこだわりについて聞いてみた。

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第1話 1

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第1話 2


ブランドは誰でも立ち上げられる時代!自分以外の悩める人にも「かわいい」を提供したい

現在、小柳さんはアパレルブランド「Antique Carrie(アンティーク キャリー)」で、体型やコンプレックスなどの悩みをカバーしつつも、「クラシカルテイストで大人のかわいい」を目指した洋服の製造・販売を行っている。しかし、服飾を学び始めた当初は、ブランドを立ち上げようとは思っていなかったという。

「フリルやリボンなど、かわいいテイストの服はいくつになっても好きだけれど、体型やライフスタイル、年齢の変化で『思うように似合わない』という悩みを抱えていました。それならば自分で作ろうと思ったのが、服飾学校に通い始めたきっかけです。しかし、授業を受けるうち、ブランドは誰でも立ち上げられる時代であることを知り、次第に自分以外の悩める人にもかわいいを提供したいという思いが芽生え、入学から数カ月で活動を開始しました」

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第9話「着るものが無くなったアラフォーが辿り着いた答え」4

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第9話「着るものが無くなったアラフォーが辿り着いた答え」5

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第9話「着るものが無くなったアラフォーが辿り着いた答え」6

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第9話「着るものが無くなったアラフォーが辿り着いた答え」7


小柳さんが服飾学校へ入学したのは2021年4月。なんと半年後の10月には、応援購入サービスのMakuakeでブランドを正式に立ち上げた。ブランドの服はOEMを利用し、パタンナーや国内縫製工場の力も借りて製作している。

「服作りは中学生のときに1度だけチャレンジして、挫折した思い出があります」との経験しかなかった小柳さん。服飾を学びながらのブランド立ち上げは苦労もあるが、成長を実感できると話す。

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第12話「ワンピース製作『(1)はじまりは前途多難』」1

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第12話「ワンピース製作『(1)はじまりは前途多難』」2

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第13話「ワンピース製作『(2)デザイン画が決定!!そして......ッッ』」7

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第13話「ワンピース製作『(2)デザイン画が決定!!そして......ッッ』」8


「服作りで一番好きなのは、デザイン画をパタンナーさんに渡した後に、仮縫いで出来上がる『トワル』を確認する作業です。この段階で洋服の細かい仕様を決めていくのですが、『実際の生地になったときに問題ないか』『人が着たらどんなイメージになるのか』など想像力を使ううえ、専門用語も飛び交います。白熱して楽しい一方で、私にはプロの数倍の時間が必要なため、最も苦労しているところでもありますね。服飾を学ぶにつれて専門的な話がスムーズに進むと、自分の進歩に嬉しくなります」

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第18話「ワンピース製作『(7)ついにサンプル製作、そして...ッ』」4

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第18話「ワンピース製作『(7)ついにサンプル製作、そして...ッ』」5


サイズと素材にこだわり、年齢や体型が変わっても着られる洋服を

小柳さんは、年齢やライフスタイルとともに変化する体の悩みに対応しながら、実際にどんな洋服を制作しているのだろうか。こだわりのポイントを聞いてみた。

「デザインはもちろんですが、全体の服作りを通してサイズ感や上質な素材を使うことにこだわっています。サイズについては、ブランドとしてサイズ展開の余力がない中でも、多くの人に着ていただくためにはどうすればいいのかをパタンナーさんと模索しました。例えば、ウエストサイズを68センチから76センチまでベルトで調整できるようにするなど、細かい点も工夫しています」

実際に製作されたワンピース。ふんわりとしたフォルムがかわいらしく、同時に二の腕や体型のカバーもしてくれる

かわいさの中にある上品さが素敵!大人かわいいワンピース


「また、素材を上質な物に変えることで、年齢を重ねても違和感なく着ることができると思っています。英国老舗メーカーの上質な生地を採用したストライプのワンピースは、即時完売となりました。輸入生地は在庫も限られるため追加製作もできず、まさに『世界に数着限定』の洋服になっています」

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第17話「ワンピース製作『(6)はじめての繊維街』」6

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第17話「ワンピース製作『(6)はじめての繊維街』」7

英国老舗メーカー、MOON社製の生地を使ったワンピース。高級感があり、まさにクラシカルな雰囲気


さらに小柳さんは「国産」で服をつくることも、ブランドの柱と考えている。服飾を学びアパレル業界を知るうちに、縫製業界にも目を向けるようになったといい、「国産の高品質なモノづくりは、同時に国内での技術伝承にも繋がります。まだ小さな力ですが、当ブランドも貢献できたらと考えています」と話している。

Twitterではアンケートも!読者の声を反映させた洋服も制作

数年前にTwitterを始めて以来、SNSに軸足を置いて漫画作品を発表していた小柳さん。服飾を始めたことをきっかけに「漫画家×ファッションデザイナー」という今までにない組み合わせを題材にしようと今回の連載を始めた。読者からは、「最高の挑戦!」「勇気もらいました」といった応援の声に加え、「Mサイズがブランドごとに違うなんて...」など、身近な洋服の知られざる常識に驚く声も寄せられている。

さらに小柳さんは作品やブランドを発信するだけにとどまらず、Twitterでファッションの悩みについてのアンケートを取って制作に反映させるなど、読者の声も積極的に取り入れている。

「現在販売しているワンピースは『フィット&フレア』のラインで、ウエストを強調して下半身をカバーするスタイルですが、二の腕を気にする方はノースリーブが難しいなどの声もあったため、袖をフレアにするなどして工夫しています」

アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話 第9話「着るものが無くなったアラフォーが辿り着いた答え」8


最後に今後の活動についての抱負を聞いた。

「年齢に縛られない『大人かわいい』を提供するクラシカルテイストのお洋服と、国内縫製工場にこだわった高品質でヘルシーなモノづくりの2本の柱で、ブランドの洋服作りを展開していきたいと思っています。現在は月一で展示・試着会も開催しており、今後はポップアップやPRなどにも力を入れていく予定です。SNSでいただく声援も糧に、『Antique Carrie』を多くの方に知っていただけるよう活動していきたいです」

これからどんな洋服ができるのか、漫画とともに楽しみにしたい。

取材・文=松原明子

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