【漫画】陸上選手の幼なじみが音速を超えた……『カナコの最果て』の息もつかせぬ展開に引き込まれる

数年ぶりに再会した幼なじみは、音速の世界、時速2000キロで走っていた――。漫画『カナコの最果て』は、青年の目を通して、人間の限界を超えてしまった幼なじみが迎える運命を描いた読み切り作品だ。

幼なじみが、人間の速さの限界を超えた。息もつかせぬ展開に反響画像提供:芥田ぺきみ(@Pekimi_act)


速さの限界を超えた幼なじみ。笑顔で語るその真意とは

ある日、スマートフォンのニュースで幼なじみの「安達カナコ」が陸上選手を引退すると知った青年「ハジメ」。その時、居眠り運転のトラックが彼の元に迫る。死を覚悟したハジメを救ったのは、ニュースに取り上げられていたカナコその人。5年ぶりの再会は、まさに衝撃的なものだった。なぜなら、カナコは2本の足で、音速を超えて走り込んできたのだから。

「カナコの最果て」5画像提供:芥田ぺきみ(@Pekimi_act)

当初は事態を飲み込めていなかったハジメだが、後日、マスクをしながら、あらためて非現実的な速さで駆け抜けるカナコを目の当たりにし、彼女の身に大きな異変が起きていることを知る。

案の定、「正義のヒーロー」を名乗りカナコの身柄を追う謎の組織が登場し、カナコの身に危機が迫ることを知ったハジメ。中学時代、カナコが「一番になりたい」と泣いていた時「カナコならなれる!」と伝えたこと、その後「化け物」のように練習に打ち込んだこと、そのうちに好きだったカナコが怖くなっていったことを振り返る。

「カナコの最果て」13画像提供:芥田ぺきみ(@Pekimi_act)

その夜、ハジメの部屋に現れたカナコ。かつて背中を押してくれたハジメに対し、自分がなぜ音速を超えるに至ったかを語り始めるのだが――、という物語。

起承転結の「転」を突き詰めた、読者の心を掴むストーリー

本作は2021年、『ゲッサン』に読み切り作品として掲載され、今年5月に作者の芥田ぺきみ (@Pekimi_act)さんが自身のTwitterに再掲した作品。速さの限界を超えたカナコの登場からめくるめく怒涛のストーリー展開と、幼なじみ2人のどこか切ない心情と結末が、SNS上で反響を集めた。今回、ウォーカープラスでは芥田さんに本作が生まれたきっかけや、制作の舞台裏についてインタビューした。

「カナコの最果て」28画像提供:芥田ぺきみ(@Pekimi_act)


――「カナコの最果て」制作のきっかけを教えてください。

「カナコの最果ては2020年の秋冬に制作しました。同年の夏、ゲッサンに持ち込みをして今の担当さんがつき、新人賞を目的とした漫画を制作していくことになりました。カナコはそれの第一作目です」

――限界を超えて音速で駆け抜けるカナコというアイデアがまず心を掴みました。本作のアイデアはどんなところから着想を得たのでしょうか?

「漫画『岸辺露伴は動かない』内の『ザ・ラン』というエピソードから影響を受けたと思います。ザ・ランには橋本陽馬というキャラクターが登場するのですが、その姿が不気味で印象に残りました。カナコが走ることに執着して人間を超える設定はそこから影響を受けたんじゃないかなと思います。音速で走る設定にしたのは、音速という響きがかっこよくてわかりやすいからです」

――次はどうなるんだろうとワクワクさせる展開も魅力的です。物語の構成で意識した点はどんなところですか?

「物語の起承転結を、“起承転転転転転転転結”になるようにしていたと思います。物語の中身をほぼ“転”にして、次のページをめくるたびに読者をびっくりさせようとしてました。また、冒頭数ページはなるべく印象的で大きい絵を配置するようにしていました」

「カナコの最果て」43画像提供:芥田ぺきみ(@Pekimi_act)


その中でも芥田さんが特に思いをこめたシーンはありますか?

「最後に、ハジメがカナコに起きろと叫ぶシーンです。人ならざるものになったカナコを復活させるのは、恐らく人類にとってよくないことだと思うんですけど、『それでもカナコが死んでしまうのは嫌だ』というハジメの自分勝手な気持ちが出てると思うので好きです」

――本作のほか、昨年ゲッサンに掲載された『アンノウンサマーソング』でも、登場人物の力強い表情が印象的でした。

「表情は、特に見せ場の場合は整いすぎにならないように、気持ち悪いに片足突っ込む感じで描いているつもりです。また、アンノウンサマーソングでは、自分の本音を隠して建前ばかり言うキャラが何人かいるので、そのキャラたちの本音が現れているシーンの表情は描き分けに気をつけました。自分の強みは人物の目力が強めなところだと思っています」

――今後の作品も気になります。漫画家としてのこれからの展望を教えてください。

「とりあえず、作品数を増やしていきたいと思っています」


取材協力:芥田ぺきみ(@Pekimi_act)

この記事の画像一覧(全51枚)

Fandomplus特集

マンガ特集

マンガを読んで「推し」を見つけよう

ゲーム特集

eスポーツを「もっと知る」「体験する」

ホビー特集

「ホビー」のトレンドをチェック

注目情報