寿命をゆずる?削った命でおばあちゃんみたいな指先に!!あなたの命は「誰のためのもの?」を問いかける話題作

死にかけの猫を助けたり、病で困っている人の寿命を伸ばすことができたらあなたはどうする?命を分けてあげることで人を助けたいヒカリと自分の命を大切にして欲しいみゆき。2人の「命」に対する価値観の違いを描いたマトマ(
@y_har3
)さんの「寿命をゆずる友だちの話」が、2022年9月9日現在7.1万のいいねを集め、話題になっている。
自分の寿命をゆずる。私の命は誰かの寿命のストックなのか?

人の寿命が見えるヒカリ。しかも、自分の命をゆずることができる不思議な能力を持っている。寿命が欲しいと言われれば、バーゲンセールのようにホイホイと渡してしまうヒカリ。

そんなヒカリが心配でならないのが、幼馴染みのみゆきだ。小学生の頃、下校中に死にかけの猫をヒカリの能力で生かしたことがある。

猫に自分の命を分けてあげたヒカリは、みゆきの喜ぶ姿が嬉しかった。しかし、自分の命を削ってまで人を助けようとするヒカリの生き方に納得が行かないみゆき。

他人を大事にするヒカリと自分自身を大事にして欲しいみゆき。どちらも相手を思いやる「優しさ」を描いている。命の比重という複雑なテーマを軽快なタッチで描いたマトマさんに話を伺った。
一体、誰のために生きているのか?を問いかけられる作品

――Twitterで「感動した!」と反響がすごいですが、どのように受け止めていますか?
純粋に嬉しいのと、今までこんなに見てもらうことがなかったので腰抜かしました。

――本作が生まれたきっかけがあれば教えてください。
高校からずっと仲のいい口の悪い女友達がいて「お前が先に死んだら墓前でタップダンス踊る」「それは、マジで嫌」と笑い合ってて、「こいつより先に死にたくね〜な」って思ったのがきっかけです。その子の他にもお世話になった女友達がたくさんいて、いつか女と女の友情の話を描きたいとずっと思ってました。

――ヒカリは自分の寿命がわかっていて、どうして簡単に命を譲ってしまうのでしょうか?
単純に損得を考えないお馬鹿なのもありますが、ヒカリが寿命を他人にあげると感謝されることはあっても、誰かに本気で怒られたことがなかったからです。

――みゆきはヒカリの寿命が少なくなっているのを実感しているんですよね?
ずっと隣にいたので実感しています。最後のコマで少し泣いてるのも、ヒカリの寿命がそんなにたくさん残ってるわけでもないのを知ってることからきてる涙でもあります。みゆきはヒカリ大好きなので。

――お互い過去の裏付けがあって、みゆきのセリフにすごく説得力がありました。読んでいてとてもスカッとしました。
わーーーありがとうございます!誰かのためや自分のためにちゃんと怒れる人間が好きで…みゆきにもちょっと言わせすぎたかなとも思ったんですが、スカッとしてもらえたならよかったなと思います。

――本作のテーマがあれば教えてください。
女同士のロマンシス。女と女の百合と簡単に言い切れない信頼関係が好きです。
――その他には、どのような漫画を描いていますか?
LINEマンガインディーズ
や
ジャンプルーキー
にて「あいのばけもの」を連載中です。家族を亡くした少女と愛を知らないイケメン人外のほんわかラブコメなので、お暇な時にでも見てもらえると嬉しいです。
ヒカリの命を誰よりも大切に思うみゆき。自分が生きるために、必要な寿命を誰かにあげないでと訴えるシーンは、胸がギュッと熱くなる。非常に深いテーマながらも、心にスッと入ってくる勢いのある話題作である。
取材協力:マトマ(@y_har3)