16万人が感動!!耳の代わりに目で聞く「エキマトペ」とは?画期的な技術躍進に「希望を感じる!」と作者のメッセージに賛同の声!!

「聞こえなくても、全ての音をその場で知ることができる日がいつかやってくるかもしれない…」と、語るうさささん(
@usasa21
)は、耳に障害を持ち、全ての音を把握することができない。そんなうさささんが体験したエッセイ「正解の音」がTwitterで16万を超えるいいねを集め、話題になっている(2022年9月12日時点)。

体験した「エキマトペ」は、駅のアナウンスだけでなく、電車の音などの環境音を視覚化した装置。電車がホームに入ってくる「ヒューン」、停車音「キュー」、ホームドアが開く音、発車音やレールの継ぎ目を通る「ガタンゴトン」など、聞こえない音を文字で表している。

「駅+オノマトペ(擬音を表す言葉)」を組み合わせた「エキマトペ」という名称で呼ばれており、2022年12月14日(水)まで、上野駅の1・2番線(京浜東北線と山手線)ホームで実証実験中である。
漫画で知った「正解の音」は、実際にわからない

作者のうさささんは、普段から補聴器をつけている。しかし、ものの音の出どころや方向、内容をはっきり理解することはできないという。環境音は、漫画で存在を知ってはいるものの、実際ホームに立っても音が聞こえるわけではない。
また、相手の唇の動きから会話内容を推測する「口話」が通用しないため、電車情報は電光掲示板やSNSから最低限の情報をキャッチしているそうだ。そんな環境音を補うエキマトペの存在についてTwitterに投稿したところ、初めてエキマトペの存在を知った人も多く、現在はメディアの取材も後を絶たないという。そんなうさささんにウォーカープラスでも話を伺った。
聞こえない私が全ての音を知るなんて、夢物語のよう――

環境音を視覚化したエキマトペは、聞こえない音の部分を文字で表しているだけでなく、「2番線ドアが閉まります」「ご乗車ありがとうございます」などの言葉は、文字と手話で表示され、視覚化される。

――今まで環境音は、どのように感じていたのでしょうか?
なんとなく聞こえてくる音を「漫画で見た音を当てはめるならこの音だろう」と予測しながら聞いていました。ある朝、耳が聞こえる娘がトースターを指差して「音がなった」と教えてくれたのですが、何しろトースターが鳴るなんて漫画では見たことがない。「トースターは音を出さないもの」と思い込んでいたので、娘の言葉にとても驚いてしまいました。日常に溢れるさまざまな音。きっと私が知らない音で溢れているのでしょう。なので「正解の音を知る」ってとても意味があることなんです。
今回開発された「エキマトペ」は、発車音やレールの継ぎ目を通る“ガタンゴトン“の音などもフォントを変えて、よりわかりやすく視覚化しているのが特徴だ。

――うさささんは、元々エキマトペをご存知でしたか?
エキマトペをデザインされた方の設置ツイートが流れてきて、そこで知りました。これはぜひとも行かねば!と胸が躍る思いでした。

――エキマトペの実証実験がたくさんの人に周知される投稿になりましたね。どのようなお気持ちですか?これからの技術の進化について、どう感じていますか?
エキマトペは聴者にとって、あまり必要のない装置かもしれません。なので批判も少なからず起こるのでは、と不安だったんです。でも「もっと広まるべき」「全ての駅に」といった声が非常に多く、とても優しい言葉で溢れており、涙ぐんでしまいました。今はまだ実証実験中ですが、いずれは主要駅に設置され、全国に設置され聴覚障害者が全ての音を知ることができる――そんな日がやってくるのではないか、と期待しています。
――普段はどのような漫画を描いていますか?
現在、kodomoeにて「
耳がきこえないママときこえるムスメのおはなし。
」を連載しています。こちらも合わせて読んでみてください。

普段は耳にすることがない「ご乗車ありがとうございました」のアナウンス。エキマトペの画面上では、乗客に一礼する駅員を見ることができる。視覚化され「伝わる」ということに感謝しつつ、帰路につくうさささん。今回のうさささんの作品を読み、知らないことを知るきっかけになった人も多い。
取材協力:うささ(@usasa21)