「ぼくはここにいるよ」まるで“透明人間!?”クラス中から無視された過去から「人間に戻れた!」実体験を通して伝えたかったこと

ある日、教室に入るといつも「おはよう」と挨拶を交わしていた友達から無視された。何かが違うと感じつつ、気づけば自分はクラスにいないもの扱い。きっかけは本当に些細なことでも、元のように戻るのは難しいのがイジメ問題だ。過去にクラスメイトから無視された経験を描いたほいど(
@mogumoguhoido
)さんの「透明人間になったぼくが人間に戻るまでの話」に「読んでて辛かったけど、前向きな終わりでホッとした」との声が届いている。
※本作はセンシティブな内容を含む為、閲覧にはご注意ください。
目に見えない苦しさは口にしなければ理解してもらえない

イジメのきっかけは、本人にはわからないものだ。きっといくつもの布石が集まり、何かちょっとした出来事で友達という枠組みが崩壊したに違いない。そして突然、クラスの誰もが話してくれなくなる。存在を無視される。悲しくて苦しい小学生時代を過ごしたほいどさんに、その頃についての出来事をインタビューした。
――無視が始まったきっかけはほんの些細なことでしたね。あの時どうしていれば、など考えたりしましたか?

始めは、何が悪かったのかがわかりませんでした。朝いつものように登校し、友達と楽しく話せると思っていたので…。けれど、実際僕の認識と友達の認識は大きく異なっていて、時間が経ってようやく「自分の非」と「何をされているのか(無視・陰口)」を理解しました。

きっかけと現状を理解した時、「時間を戻したい」と思ったのが一番でしたね。子供なので、具体的に振り返れなかったんだと思います。「あの時の何かがダメだったんだ、いや、もしかしたら、もっと前から同じようなことをしていたのかも?」と考え続けていましたね。後悔する気持ちはあったけれど、どこをどうしていれば良かったのかまで、頭は回らなかったです。
――先生も知っていて知らないフリをしていたのは衝撃でした。

年配の教師だったので、子供同士の喧嘩くらいに思っていたのかもしれません。実際、僕は教師に直接相談しなかったので「余程のことなら自分から言うだろう」と、教師は考えていたと思いますよ。声に出さない限り、本人がどのくらい辛い気持ちで過ごしているかというのは目で見ても理解できないのだと知りました。

逆もまた然りで、声に出しても目に見えない苦しさは、理解してもらえないのですが…。目立った怪我などがない限り、とくに気に留めないことは珍しくないのかもしれません。たとえ怪我をしていても、見て見ぬ振りされている子がいると思うと、胸が痛いです。
――この話を漫画にしようと思ったのはなぜですか?

普段エッセイ漫画という形で自分の実話を描くにあたり、避けて通れない部分だったからです。この出来事を機に変化した価値観がいくつもありましたし、失ったものもありました。時代が今とは少し違いますので、現在の子供たちにはわからない部分も多いと思います。

でも「自分の意見ばかり押し通すと友達を失うこともある」と、伝えたかったんです。他にも「理不尽を無理に許す必要はない、許せるわけがない」「人間関係の構築・修復には時間がかかる」とも伝えたかったですね。
――ほいどさんは前向きに行動した結果、もう一度友達と仲良くなれましたよね。何が良かったんだと思いますか?

前向きと言うとかなり強心臓に聞こえますが、内心はビクビクでしたよ(笑)。これ以上悪化させないためにはどうすればいいか、ということを考えるので必死でしたし、実際頭は回ってなかったと思います。良かったと思うのは、仲直りしたいと思ったことですね。

僕は人の立場になって物事を考えるのが苦手なので、空気を読まずに話しかけたのがたまたま功を奏しただけです。話せるようになったからといって、お互いに全てを許したわけではありませんでした。諦めなかった僕のことを友達が見捨てきれなかったという、ほぼ偶然のような仲直りだったのではないでしょうか。
――その他にどのような漫画を描いていますか?
毎日更新を目標に、エッセイ漫画をTwitterで投稿しています。普段は今回のようなテーマ性のあるものというより、誰にでもあるような日常を切り取ったショートストーリーばかりです。
ある程度まとまると、Kindleで
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できるよう出版させていただいています。エッセイの他にも、創作漫画の制作へ向けてプロットを作ったりネームを描いたりと、いろいろと模索しながら楽しんでいます。どのような形・テーマであれ、どこかの誰かに「わかる!」と思ってもらえるように、少しずつ描くだけです。
小さなコミュニティだからこそ、些細なことがきっかけになる。作者が伝えたかったのは、人間関係の構築と修復には時間がかかるということ。今回は、相手も反省したことや再び友達としてうまくやっていくことができたから、人間関係の大切さを伝えるメッセージを制作することができた。
取材協力:ほいど(@mogumoguhoido)