【漫画】無人島で考えるのは、想い人の「見とうもない」結婚…「報われてほしい」と反響呼んだ方言男子の恋模様

無人島に一人流れ着いた男。話す相手の誰もいない孤独な場所、誰にはばかることなく方言でひとりごちるのは、結婚の決まった想い人への偽りなき愛情だった――。上機しほ( @kamihatashiho) さんがSNS上に発表している漫画「好きな人が結婚する日に、無人島に漂着しちゃった方言男子」は、第一作が2022年5月にTwitterに投稿され、たちまち6万件以上のいいねを集めた作品だ。

広島は備後弁で思いを馳せるのは、恋するあの人のこと。方言男子の無人島漂流にキュンとする画像提供:上機しほ(@kamihatashiho)

無人島でひとりぼっち。男の一途な本心にぐっとする

「絶対死ぬじゃろこれ」と、西日本のそれと思しき方言でつぶやく男性「鷹木」。彼がいたのは、水平線まで海と雲しか見えない絶海の孤島だった。出張のため乗船していた船から、ひょんなことから転落してしまった彼は、名前も分からない遠い島に1人流されてしまったのだ。

「好きな人が結婚する日に、無人島に漂着しちゃった方言男子」(1)画像提供:上機しほ(@kamihatashiho)


思い出すのは、出張の前、自身の勤める企業の社長との会話。「あなた笑っちゃうくらい不運だから」と気安い様子を見せる社長は、結婚を間近に控えた花嫁でもあった。鷹木は「ご自分の心配をなさってください」と方言をおくびにも出さない標準語でそっけなく応対するが、内心では「見とうもない」と、社長の結婚に複雑な心境だった。

「好きな人が結婚する日に、無人島に漂着しちゃった方言男子」(2)画像提供:上機しほ(@kamihatashiho)


孤立無援の無人島で、このまま朽ちれば「あなたの心は俺への罪悪感でいっぱいになるんじゃろうか」という思いがよぎりながらも、「俺の不運は笑ってもらうためにあるんじゃろーが!」と、社長の笑顔を信じて懸命に立ち向かう鷹木。たとえ助かっても想いは報われないとしても、一人の女性のためにひたむきな彼の心情が描かれた短編シリーズだ。

「好きな人が結婚する日に、無人島に漂着しちゃった方言男子」(3)画像提供:上機しほ(@kamihatashiho)


「自分の萌えを詰め合わせた」読者の心をくすぐった短編の舞台裏

鷹木の話す方言がツボにはまったというコメントや、「報われてほしい」「続きをめっちゃ読みたい」と、鷹木への応援や行く末が気になるという声が数多く寄せられている本作。

「好きな人が結婚する日に、無人島に漂着しちゃった方言男子」(4)画像提供:上機しほ(@kamihatashiho)


オムニバスSFファンタジー漫画『超能力者と恋におちる』(講談社)を手掛けた漫画家の上機しほさんが自身のSNS上で断続的に発表している作品で、9月に公開された第3話では無人島から救出された男性のその後が描かれ、現在も続編を制作中だという。

上機さんによると、本作が生まれたのは漫画のオンライン講座での課題がきっかけだったとのこと。

「2021年にコルクラボマンガ専科を受講し、その中の課題で描きました。その課題が『自分の萌えるキャラを無人島に行かせる』というものだったので、自分の萌えを詰め合わせたものが方言男子になりました」

本作の核とも呼ぶべき鷹木の話す方言は、広島県東部の備後弁。「自分も使っている方言なので」と描きやすいと思い選んだとのことで、馴染みの深さが鷹木の話す言葉に一種のリアリティを感じさせる理由にもなっているようだ。

無人島で誰も話す相手がいないから「方言」という素の表情が際立つようにも感じる本作。上機さんは「意識はしていませんでした」としながらも「そう言われて、自分が方言に萌える理由は、そこなのかもしれないと思いました」と、作品に投影された無意識の部分を振り返った。

「好きな人が結婚する日に無人島に漂着した方言男子」入院編(1)画像提供:上機しほ(@kamihatashiho)


9月に公開された3話では病室での鷹木と社長のやり取りが描かれ、読者をやきもきさせる内容となっている。上機さんは、「ありがたいことに、たくさんの方から、続きを読みたい、ハッピーエンドにしてほしいと、感想をいただいたので、二人がハッピーエンドになるまでを描きたいと思っています」と、今後の構想を教えてくれた。

取材協力:上機しほ(@kamihatashiho)

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