【漫画】自我なきロボットを選んだはずが、下心アリアリ!?お嬢様と護衛ロボの掛け合い冴える漫画に笑いと胸キュン
どれだけ人と精緻なコミュニケーションを取る能力があっても、「心」は持たないはずのロボット。裏切りの果てに人間不信に陥ったお嬢様が選んだ自我なき護衛ロボットは、何故か過保護になっていて…。藤滝莉多(
@RitaFujitaki
)さんが自身のTwitterに投稿する「過保護衛ロボット」は、お嬢さまと護衛ロボットが織りなす、笑えて胸がキュンキュンする短編漫画シリーズだ。

人間臭い護衛ロボの奇行に振り回されるお嬢様、短編連作で描く二人の関係性
その身分の高さゆえ、幾度も裏切りに遭い続けているお嬢様の“トレンチカ”。疲れ切った彼女は、新たな護衛として男性ロボットと仮契約を結ぶことにする。

だがその護衛ロボット“レイリック”は、「自我は無いのでご安心を」とうそぶきつつ、主人をお姫様だっこで抱えたり、風呂で背中を流そうとするなど下心まんまん。護衛として敵の排除は難なくこなしながら、主人の怒りには土下座で謝罪と、自我丸出しなレイリックの奇行に振り回され、心が疲れ果てていたはずのトレンチカも怒り心頭でツッコミを炸裂させていく…というストーリーだ。

各話2ページ前後というごく短い作品ながら、人間臭いコミカルな護衛ロボットとお嬢様のキレある返し、そしてその影で着実に信頼関係が育まれる様子が描かれ、笑いと感動を兼ね揃えた本作。漫画家を目指しているという作者の藤滝莉多さんに、本作が生まれた舞台裏を訊いた。
『自我あるじゃん』友人との会話から膨らんだ二人の物語
――二人のコミカルな掛け合いがツボにはまる作品です。本作のアイデアが生まれたきっかけを教えてください。
「アイデアの始まりは友人との電話での会話でした。経緯は忘れてしまったのですが、私が自我のないロボットになりきり、友人を主人に見立てるという遊びをしたんです。そしてその時『私はロボット、自我はありません。ご主人傷つけるやつ、殺す』と私が言い出したのが始まりでした。友人が『自我あるじゃん』と突っ込んでくれたので、『アリマセン。下心、ナイ』とさらに私も返して。完全に1話目のやり取りがこの時できてました」
――その時のやり取りを作品として描き始めたのですね。
「その時は、『なんかのネタに使えないかな』とメモをしておいたんです。その後、SNSは投稿頻度が高い方が注目されると思い『Twitterで一週間くらい毎日作品投稿したいな』と考えたことがありました。その際、当時のメモが出てきて“自我が明らかにあるロボット”をネタに描き始めました」

――各話2ページでメリハリのあるオチが効いているのが印象的です。この構成で描いた狙いはありますか?
「構成は狙いというほど立派なものではなく、上記したように7話までは『一週間毎日投稿しよう!』という目的のもと描いていたので、毎日投稿できるページ数に抑えていたというだけなんです(笑)」
――二人の魅力あふれる内面と、キャラクターデザインや表情の調和も印象的です。二人を描く上で特に意識されているところはどんなところですか?
「トレンチカに対して意識しているのは、対応の甘辛コーデですね。照れてる時は甘辛……いわゆるツンデレ状態なんですが、親しくなってからのトレンチカは、レイリックに普段接する時、微糖くらいの甘さなんです。レイリックがおかしなことさえしなければ、ちゃんと普段は普通にトレンチカも接してくれる(笑)。
そういった場面では不必要にツンケンさせない、辛味を出していないところも意識しているポイントです。ただレイリックがおかしなことをすれば鋭く突っ込ませて、一気に辛さを投入です。そんな甘さと辛さをなるべくバランス良く配置して、彼女なりの甘辛コーデをさせているつもりです」

――トレンチカを振り回すようで、頭の上がらないレイリックのギャップを引き出すことにも繋がる部分ですね。
「レイリックは、まず前提として、とにかく彼をできる限り美形に描き、その美形ではカバーできないような奇行に走らせることを意識しています。しかし、彼の愛ゆえの奇行をあんまり気持ち悪く描きすぎると、見てくれた人がきっと離れていってしまうじゃないですか。なので、彼の奇行をギリギリ許される範囲に留めながら、しかし面白くするためにギリギリまで突く…そんな繊細な奇行のラインを守り続けることこそ、私が一番意識しているポイントです」
――これまででご自身が特に気に入っている話やカットはありますか?
「レイリックの土下座ですね。己の目的のためなら這いつくばることすら厭わない、何より顔の良さで許してもらおうとする厚かましい姿。お気に入りです」

――今後の創作活動の目標や展望を教えてください。
「目標はやはり、漫画家になることですね!まだまだ遠い目標だとは自覚しておりますが、堂々と漫画にだけ時間が割ける生活にするためにも邁進していきます。
また、『過保護衛ロボット』については、しっかりとした読み切り漫画にするつもりで進めています。ページ数としては約50ページになりました。タイトルも『過保護衛ロボット』から『狂恋アンドロイド』に変えるつもりです。もしその漫画が好評だったら、その『狂恋アンドロイド』の続きも典型的な漫画の形で続けていこうと考えています。精一杯描きますので、そちらが完成した時皆さんにも見ていただけたら本当に嬉しいです!」
取材協力:藤滝莉多(@RitaFujitaki)