【漫画】“ヴァンパイア”のイメージを覆す、真面目一本の「おじさん吸血鬼」。予測不能の展開続くWEB漫画に注目集まる

「吸血鬼」と聞いて思い浮かぶのはどんなイメージだろうか。紳士姿の「ドラキュラ」を想像する人もいれば、近年のフィクションで描かれる優雅で妖しい雰囲気を思い描く人もいるはず。でも、そんなイメージからかけ離れた人が吸血鬼になってしまったら?交通誘導員として真面目に働くおじさんがある日吸血鬼にされてしまう漫画にTwitter上で注目が集まっている。

吸血鬼のイメージからかけ離れたおじさんがヴァンパイアに。吸血鬼の能力を持て余す彼の行く末に注目集まる画像提供:てぃーろんたろん(@tearontaron)


卑屈で平凡なおじさんが吸血鬼に…闇の世界で彼を支えるたった一つの「才能」

漫画家のてぃーろんたろん( @tearontaron )さんは、2022年10月28日(金)にコミックス第1巻が発売予定の『学校でいちばん地味な2人が付き合う話』や『この子知りませんか?』(いずれも日本文芸社)を連載するかたわら、個人制作でも数々の漫画を執筆している。今回話題を呼んだのが、9月にTwitterに投稿された「人の血を吸いたいおじさんの話」だ。

「人の血を吸いたいおじさんの話」第1話-2画像提供:てぃーろんたろん(@tearontaron)


学力、芸術、運動神経、どれをとっても才能とは無縁で、交通整備員の職場でもうだつの上がらない中年男性の「中川」。一見どこにでもいる平凡な男だったが、実は彼は吸血鬼だった。手違いから中川に大怪我を負わせた吸血鬼の青年に、吸血鬼として蘇らされたのだ。

「人の血を吸いたいおじさんの話」第1話-13画像提供:てぃーろんたろん(@tearontaron)


罪滅ぼしとして食事である「血」の差し入れをしているという青年は、中川に「吸血鬼の仲間」として人間の良心を捨て去るようにそそのかす。だが、中川は激昂。いかにも吸血鬼らしい見た目と立ち居振る舞いの青年と違い、自分のようにとりえのない冴えない男では吸血鬼になったところで力を持て余し、「ただ生きる幅が狭くなったおじさん」になったと言うのだ。

「人の血を吸いたいおじさんの話」第1話-25画像提供:てぃーろんたろん(@tearontaron)


そんな中川の主張に辟易した青年は、口直しに通りがかった女性の血を吸おうとするが、中川に制止される。その女性は毎夜働く中川に挨拶をしてくれる人で、卑屈ながらも真面目に生きてきた中川にとっては、名前も知らないその女性こそが「俺の人生に咲いた一輪の花」。青年が女性に手出しをしようとするなら「俺はお前を殺す!!」と言い放った中川に、青年はある「ゲーム」を持ちかける。青年が十日後に女性を食うと宣言し、止めたければ自分を殺せという内容だった。

「人の血を吸いたいおじさんの話」第1話-39画像提供:てぃーろんたろん(@tearontaron)


中川が青年を殺すためには、自ら血を吸って吸血鬼としての力を蓄えなければならない。守りたい人のために吸血鬼として血を吸わなければならないジレンマを課せられた中川だったが、吸血衝動を理性でねじ伏せる。

他にとりえがなくとも、人の道を踏み外さない真面目さこそが自分の才能。そう自覚した中川は、絶食し飢餓状態の中、女性を守るために前を向くのだった。

「おじさん愛」で生まれた波乱含みのサスペンス

「人の血を吸いたいおじさんの話」第1話-51画像提供:てぃーろんたろん(@tearontaron)

イメージ通りの吸血鬼が跋扈する世界で、本来縁遠いはずのおじさんが“人間”として奮闘しようとするストーリー。第1話には3000件以上のいいねとともに、ユーザーから「ぞくぞくする…もっと読みたい…」「続きがどうなるのか今からワクワク」「頑張れおっさん」と反響が集まっている。

現在、6話までを収録した無料のKindle電子書籍が刊行され、おじさんのひたむきさと予測不能のストーリー展開から高評価を集めている同作。作者のてぃーろんたろんさんによると、本作のアイデアは「吸血鬼」のイメージと「おじさん」のイメージのギャップだけでなく、おじさんらしい中川のキャラクターそのものが大きな出発点になっているという。

「キャラを立てる為にギャップを作るのはもちろん意識してますが、個人的におじさんのキャラクターが好きなんです。おじさんから感じる悲哀だったり、頑張る姿を見ると描き手の僕自身が楽しいので、そういった感情からアイデアが生まれたりしています」

中川自身の行く末はもちろん、彼を取り巻く吸血鬼の世界の思惑も合わせ、波乱続きのストーリーが魅力の一つである本作。結末の構想はまだ固まっていないものの続編は鋭意制作中とのこと。

「人の血を吸いたいおじさんの話」第1話-49画像提供:てぃーろんたろん(@tearontaron)


「今後は先に『pixivFANBOX』や『Fantia』で数話ほど先行公開して、ある程度話数がたまればKindleで発表する、という流れを取れればと思っています。続きが気になる方は待っていただければいずれ無料で読めるかと思います!」と、今後の更新スタイルを教えてくれた。

取材協力:てぃーろんたろん(@tearontaron)

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