“免許”も“漫画”も初挑戦!?アラフォーの「運転免許合宿」描いた作品が“中年の青春”すぎる【作者に聞いた】
運転免許を取るため、泊まり込みの短期集中で教習を受けられる免許合宿。長期休みのある学生が参加するイメージもある免許合宿に、39歳が飛び込んだら――。免許合宿を舞台に描かれた漫画『
39歳の免許合宿~ストーリーは自分(てめぇ)で創れ~
』(ワニブックス)は、SNS発で反響を呼び、書籍化に至った作品だ。作者の「ごめたん」こと、お笑いトリオ「グランジ」の五明拓弥さんに、同作が生まれた舞台裏を訊いた。

飲み会のノリで運転免許を取ることに。そこで待ち受けるのは“異世界”の冒険だった
同作は、五明さんが、ミュージシャンの「group_inou」のimaiさん、そして漫画家の山本さほさんと三人で飲んでいる時の何気ない会話からはじまる。

五明さんとimaiさんは当時ともに39歳で、お互いに普通自動車免許を持っていない同士だった。それを聞いた山本さんは「合宿免許とかどうですか!?」と提案。コロナ禍でスケジュールの都合がつきやすかったことが幸いし、二人は飲み会のノリで免許合宿に身を投じることを決める。

五明さんたちが選んだのは、合宿中に一時帰宅が可能な、とある地方都市の自動車教習所。だが、その船出は決して順風満帆ではなかった。
五明さんは初日から教本などが入ったファイルを紛失、imaiさんは教習所名物の厳しい教官に当たり意気消沈。お笑い芸人、ミュージシャンとしてそれぞれ半生を過ごしてきた二人にとって、そうしたキャリアから切り離され「運転がすべて」の教習所は初体験の連続だった。

2日目、ファイルは見つかったものの、技能教習で教官に翻弄される五明さん。優しそうな第一印象とは裏腹に、ボタン操作のミスを皮切りに怒涛のダメ出しを繰り出す教官に「確かにこれはメンタルやられますね」と面食らう五明さん。それでも臆せず、エンジンをかける前の点検の流れについて「この順番って決まってるんですか?」と質問する。
だが、教官の答えは理路整然とした説明ではなく「そこはさぁ、自分でストーリーを創るんだよ…」と意味深な一言。こうして、40代を目前に控えた二人が「免許合宿」という異世界で悪戦苦闘していくという経験を基にした物語だ。

“おもしろに走らない”濃密な2週間をそのまま漫画に
「このストーリーはフィクションです」と但し書きがあるものの、五明さんが免許合宿に赴いたのは実話。作中では教習の流れを追うように合宿免許ならではのエピソードを丁寧に描きながら、二人の“アラフォーの青春”とも呼ぶべき人間模様を写し取っている。
五明さんにとって本作がはじめて発表した漫画だったが、Twitterでの連載で徐々に反響を呼び、同人誌即売会「コミティア」では連載をまとめた同人誌が完売。2022年8月には、ワニブックスより単行本が刊行されるまでとなった。ウォーカープラスでは五明さんに、漫画制作のきっかけを訊いた。
――免許合宿での体験を漫画にしようと思ったきっかけを教えてください。
「2021年1月にiPad購入して、ソフトを入れたら漫画を描けると知り漫画を描くようになりました。免許合宿を題材にしたのは、『友人と過ごした異様な2週間をモノに残したい』という純粋な気持ちからでした」

――漫画制作はほとんど初めてだったとうかがいました。作画やストーリー構成は手探りで始めていったのでしょうか。
「ストーリーに関しては、体験したストーリーを読みやすく組んでいくだけなので苦労なく楽しめました。問題は作画です。ほぼ初めてだったのでページを増すごとに絵が変わっていき、プロローグと最終話の顔は別人でした。それが気になり約300ページ描き直したのもいい思い出です」
――そうして漫画を描いていく中で特に意識した点はありますか?
「『話を盛らない』『おもしろに走らない』の二つです」
――昨年8月には書籍化に至った本作ですが、描き始めた当時はそういった展開も考えていたのでしょうか?
「全くありませんでした。この作品を追ったドキュメントYouTubeチャンネル『
ごめたんの道
』に記録されているので、よかったら観てみてください」
――最後に、本作に興味を持った読者に向けてメッセージをいただければ幸いです。
「『新たな挑戦に年齢は関係ない』を身をもって体験しました。最近、何をするにも腰が重くなった中年のあなたへ向けた漫画です!」

(C)ごめたん/ WANIBOOKS