ゴミ屋敷で遺体を発見!悲惨な末路を辿った男には見覚えが!?シャッターアイで遺族を救う?【作者に聞く】

特殊清掃の仕事中にゴミの中から遺体が発見された!?画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

目で見た光景を一瞬で記憶し、二度と忘れない瞬間記憶能力を「シャッターアイ」という。特殊な能力を持つおかげで彼の頭の中は、いつもゴミ処理場のように不用品が遺留している。そんな彼が見つけた遺体の男はどこかで見たことがあって…?第87回ちばてつや賞にて期待賞を受賞した可惜夜季央(@atarayokio)さんの「記憶遺棄」を紹介する。

「シャッターアイ」という特殊能力を持つ男が遺族を救う

記憶遺棄5画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

間も無く取り壊しになるというアパートに特殊清掃へ向かう。人が住んでいないアパートで誰かが隠れて生活していた痕跡を清掃して欲しいという依頼が入ったのだ。部屋はゴミ溜め状態で、食べ物の腐敗臭やプラスチックの残骸、糞尿が混じった異臭にしては強烈だった。

記憶遺棄9画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

隠れて生活していた一室を清掃する中、主人公の憲はゴミの山に埋もれる中から1人の遺体を発見した。すぐに警察に連絡。遺体発見者として聞き込みにも協力した。

記憶遺棄16画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

男の身元は不明。しかし、憲は男とどこかで会ったことがあると思い出す。ゴミ溜めのような消えない記憶を蘇らせ、彼らは男の死を伝えるために遺族のもとへ向かった。

記憶遺棄29画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

しかし、出てきた娘に父親が亡くなったことを告げると「私は母と2人で暮らしている」「父親なんて知らない」と、冷たい態度。ずいぶんと失礼な態度だったが、憲はその理由をうっすらと気づいていた――。

YouTubeをきっかけに“記憶”と“残置物”の組み合わせを思いついた

視覚優位のシャッターアイの特性は、見たものを覚えられて羨ましいと思われがちだが、実はフラッシュバックも強く、主人公は常に頭痛に苛まれている。そんな特殊能力を題材にした本作について、可惜夜季央(あたらよきお)さんに話を伺った。

記憶遺棄31画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)


――まずは、この作品を描いたきっかけを教えてください。

最初はゴミとかごちゃごちゃしたものを描きたくて、いつか遺品整理や特殊清掃とかのお話を描きたいなって思ってはいました。瞬間記憶能力の話は全く別の設定で描こうとしていたんですが、なかなかまとまりそうもないなーと思っていたところに、母がYouTubeで遺品整理のチャンネルを観ていて、“記憶”と“残置物”の組み合わせは結構良さそうだなと思って描いてみたのがきっかけです。

記憶遺棄32画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

――第87回ちばてつや賞期待賞を受賞しましたが、感想はいかがですか?

すごく嬉しいです。自分は変わらず自分の好きなものを描き続けていてよかったんだなと思えました。

記憶遺棄33画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

――審査員の方にどのような感想をもらいましたか?または、どの言葉が嬉しかったなどありますか?

キャラクターが魅力的に描けていて、設定やアイデアが秀逸、興味をそそられる演出ができている、と言っていただけました。キャラクターを考える時間が一番好きで、そこを褒めていただけて、キャラたちの会話が飽きないという言葉もいただけました。自分のしたかったことでちゃんと楽しんでもらえているんだということがわかってとても嬉しかったです。

記憶遺棄34画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

――漫画を描くにあたり、テーマにしていたことがあれば教えてください。

いつも漫画を描くときに自分が一番楽しいと思う部分の一つではありますが、人の多面性というか、はたから見てごく普通の人が、実は変な人だったり、すごい能力がある人だったり、物凄い経験をしてる人だったり、サイコパスだったり、そういった外面からは想像もつかない“ある一面”をどんな風に見つけて、見せていこうかな、みたいなことはいつもテーマというか楽しみたいし楽しんでほしいと思っているところです。

記憶遺棄35画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

――見たものを画像のように記憶する能力をシャッターアイと言うそうですね。勉強せずとも教科書丸暗記で便利な気がしますが、主人公はどちらかというと今まで辛い思いを多くしてきたということですか?

彼の空気の読めない性格が起因している部分も大いにあるのですが、そうですね。彼の保守的な性格から、自分を守るためにもネガティブな思い出の方が優先度が高く思い起こされてしまうのかもしれません。勉強に関しては彼は何の障害もなくイージーモードだったはずです(笑)。

記憶遺棄36画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

――彼は常に頭痛に苛まれていますが、膨大な記憶を脳が処理しきれなくて高速回転し続けてるような状態なのでしょうか?

そうですね、常に脳内フル回転だから日常生活ではぼんやりしがちで、気遣いまで頭がいかないんですね。

記憶遺棄37画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)

――その他にどのような漫画を描いていますか?

ヤンマガの担当編集さんとはオカルトや怖い話など好きなものの趣味が合うので、それに近しいお話を描いています。KADOKAWAさんのアンソロジー『わたし、なんで好きだったんだろ』に寄稿させていただいた時は、スカッと系の男女のお話も描かせていただきました!

個人ではpixivでラブコメも描いたりしていて、ジャンプルーキー!に載せているのではスケートボードの漫画とかファンタジーもあります。とにかくいろいろなキャラクターを描くのが楽しく、ジャンルがごっちゃなのが申し訳ないです…(笑)。

瞬間記憶能力と遺留品から遺族へ繋がった。しかし、死んだ男は人には言えない罪を犯していた。父親との記憶を消したい娘。その気持ちが痛いほどわかる憲は、消したい記憶(トラウマ)を消せるようにと動いていく。

取材協力:可惜夜季央(@atarayokio)

この記事の画像一覧(全51枚)

Fandomplus特集

マンガ特集

マンガを読んで「推し」を見つけよう

ゲーム特集

eスポーツを「もっと知る」「体験する」

ホビー特集

「ホビー」のトレンドをチェック

注目情報