【漫画】シャツのタグで気付く親からの愛情…「いい話」「うるってきた」と感動呼ぶ短編にこめられた“純粋な感謝”
「親の心子知らず」。親の愛情や思いは子供にはなかなか伝わらないというのは昔も今も変わらず、当の子供が大人になった後、やっと気づいたりするもの。シャツのかゆみで親を思い出すシチュエーションを描いた創作漫画に
「予想以上にいい話」
という反響とともに、Twitter上で8600件を超えるいいねが集まっている。

話題を呼んだのは、「淡々カップル漫画」をはじめオリジナル作品を数多く制作している御崎そら(
@Sora_Misaki_
)さんが1月に投稿した
『親の心子知らず』
。本作のアイデアや描いた思いを取材した。
突然の荷物、首のかゆみ…小さなきっかけで気づく親の愛
ある日、「首のとこどうかしたんですか?」と、後輩の女性社員に訊かれた、サラリーマンの青年。先輩の彼はワイシャツの首裏をしきりにさすりながらも「なんでもない」と答え、「それよりどした?そのダンボール」と話題を変える。

後輩が抱えていた大きな段ボールは、実家から会社宛てに送られてきた荷物だった。就職を機に、厳格な家庭から半ば逃げるように家を出た彼女は、両親に自宅の住所も教えていなかったのだ。

話を聞いた先輩は、家庭の事情には踏み込むことなく、ただ「お前のことが嫌いじゃないのは確かだろ」と、段ボールを小突く。荷物には親からの手紙が添えられていて、その内容に思わず感極まる後輩。
涙をぬぐい、後輩は「話に付き合ってくださいよ」と笑顔で昼食に誘う。が、支度を急ごうとした拍子につまづき、箱の中身を床にぶちまけてしまう。

拾うのを手伝う先輩がふと目に留めたのは、ブラウスの襟元についたタグ。それを見た彼は、服のタグで無数のかき傷が出来た子供時代を思い出す。

実はその日、青年が首を気にしていたのは、ワイシャツにタグがついたままだったから。今までタグを気にしていなかったのは、実家を出るまでの間、母がタグを一つ残らず丁寧に切り取ってくれたからだった。そんな親心に気付いた彼は、「たまには実家帰るか…」とつぶやくのだった。
「親と話し合って」実体験から生まれたアイデア
子供の服のタグを一つ一つ、欠かさず取り去るのは愛情のなせる業。小さい頃から当たり前で気づけなかった親心を知る、ふとしたきっかけを描いたエピソードだ。
ユーザーからは「素直にいい話」「うるってきた」と感動のコメントをはじめ、「タグの話に共感の嵐」「タグ地味に痒いの地味に共感」と、痛痒いタグに実体験を重ねる声もみられた。

そうした着眼点がにくい本作。作者の御崎さんは、「シャツのタグについてのアイデアは、実体験から得た発想です。親子愛を題材に漫画を1本描いてみたかったので、実際に親と話し合ってこのアイデアが出ました」と、作品に現実での出来事が反映されていると明かす。
また、後輩には的確に助言しながら、自分のことには気付いていなかった先輩の姿もどこか「親の心子知らず」の言葉に通じるものが感じられる本作。
「もともと、後半4ページの『シャツのタグの話』だけの予定だったので、後輩の『親の荷物の話』と自然につなげるために1ページ目に伏線を張ったりと、2つの親子エピソードを自然につなげられるよう意識しました」と、8ページの中での構成への意識を教えてくれた。
前述の「淡々カップル漫画」など、恋愛を描く作品も多い御崎さんは、「恋愛とはまた違った『愛の形』を描くのも良いものだなと思いました」と振り返る。
読者からの反響には「ここ最近、『毒親だ』『親ガチャだ』と、親に関して耳の痛いニュースが多いように感じるので、純粋に『親への感謝』といった題材に良い反響を得られたのはとても嬉しいです」と語った。
取材協力:御崎そら(@Sora_Misaki_)