記憶を消して置き去りに「近未来」を描く切なさに「語彙力を失う!」映画のような読後感【作者聞く】
物語のラストで余韻を持たせたり、展開がひっくり返る作品は読者の意表をつき、記憶に残る。大家さんの漫画は、ホラーやオカルトで恐怖感を煽るだけでなく、SF作品でも大きく発揮。今回は、読者が「語彙力を失う!」という声も届く、SF漫画『ソフィー』をお届けする。うかつに職場で読んでしまうと、涙してしまう人もいるので要注意だ。
舞台は近未来「アンドロイド」と暮らすことが当たり前の世界

エリーは、目が覚めると記憶を失っていた。記憶がないということだけはわかる。ここはどこだと思いながら、目の前にいた人に話しかける。彼女は赤の他人だといい、編集長に連絡を取るように言って去っていった。

なぜ、記憶を無くしてしまったのかわからないまま、エリーは編集長の元へ。すると、編集長はこれから旅に出るという。この世界では仕事の効率化のために、得意分野のアンドロイドと暮らしていた。

しかし、エリーの住む国では、隣国と戦争をしているため、アンドロイドが徴兵されることが増えてきた。人間ではないアンドロイドを兵隊として送り込むことは、人口を減らさず効果的であるという国の見解だった。

編集長は、アンドロイドを守るために戦争のない国へと逃亡。しばらく身を隠すことにした。エリーは、自分が作家であることを教えられ、物語を書く。過ぎゆく時の中で、自分が忘れている「モノ」についていつも考えていた。

戦争が終わった後、エリーの元に郵便物が届く。それは、エリーが忘れていた「モノ」からのレターだった。エリーが忘れていた記憶の理由とモノの正体が解き明かされる時、彼女の消えていた記憶も戻ってーー。
『ソフィー』を描いたきっかけや制作の裏側を聞く

――今までホラーやオカルト展開でゾッとさせる作品を多く紹介してきましたが、今回は切ない作品でした。随分前に描かれたと思いますが、本作のきっかけを教えてください。
もともとロボットと人間をテーマにした作品を描くのが好きで、百合要素のある物語が描きたいと思ったのがきっかけでした。

――アンドロイド側が人間を守るために命を捨ててしまう――とても切ないですが、おまけで救われる気がしました。おまけをつけたのは、どのような経緯からですか?
作中で登場しなかった両親を出したかったのと、ソフィーとエリーの繋がりの深さを描きたかったのでおまけを作成しました。

――まるで映画を見ているような読後感でした。本作で伝えたかったこと、詰め込んだことなどがあれば教えてください。
ソフィーの正体が徐々に分かっていくところが本作のミソかなと思います。読者が記憶をなくしたエリーと同じ擬似体験ができる作品になったかなと思います。
取材協力:大家(@ksyjkysk)