娘がいじめに加担?SNSに告発され…親はどうすれば!?加害者と被害者、双方の親の視点で描く「娘がいじめをしてました」【作者に聞く】

まさか娘がいじめの首謀者だった…画像提供:(C)しろやぎ秋吾

「うちの子に限って」そう思っていたが、実は娘がいじめをしていた。そんな事実を知らされた時、親はどうすればいいのだろう?「いじめ」の加害者と被害者、双方の親の視点から描いたしろやぎ秋吾さんの漫画『娘がいじめをしていました』に注目が集まっている。いじめた本人でもいじめられた側でもなく、何があったか直接は知らない保護者の視点で淡々と描かれる2つの家族が、いじめと向き合っていく物語だ。今回は、第5話「そんな子に育てた覚えないわよ」までの試し読みを紹介するとともに、作者であるしろやぎさんに制作秘話を伺った。


「まさかうちの子が!?」だけど、もししていたら?親の視点で子供を客観的に描く作品

第3話「そして事件は起きた」6画像提供:(C)しろやぎ秋吾


――いじめる側、いじめられる側ではく、その親が視点になっている漫画。今までにない観点で見ることができました。本作を描くことになったきっかけを教えてください。

セミフィクションの題材として「いじめっ子の親の話」を編集さんに提案していただいて、自分も読んでみたいと思い、描き始めました。自分にも今年小学3年になる息子と1年生になる娘がいます。この本の主人公の様に「まさか自分の子供が…」と思いながら、いつそうなってもおかしくないなとも思いました。加害者、被害者、第三者の親がそれぞれどんなことを考えて、どんな悩みを持ってどう着地するのか考えてみたいと思ったからです。

第4話「別に何もないよ」4画像提供:(C)しろやぎ秋吾

――しろやぎさんは、SNSでフォロワーさんから募集した怖い話や家族の話を描いていてとても人気がありますが、今回の作品も実話に基づいているのでしょうか?

今回の話はフィクションです。でもできるだけ登場人物の心情をリアルにしたくて、妻と編集さんに何度もネームを見てもらって、何度も作り直しました。途中、創作に行き詰まった時、SNSで「子供がいじめをしていた時」「子供がいじめをされていた時」の体験談を募集して100件以上読ませていただきました。その中から数本いじめの実体験を4コマで発表してみたのですが、いろいろと難しいと感じ、非公開にしました。体験談は本書の中では親の心情の参考にだけ、させていただきました。

第4話「別に何もないよ」5画像提供:(C)しろやぎ秋吾

――本作を描く上で、こだわったところ、気をつけたところがあれば教えてください。

「ストップいじめ!ナビ」の須永さんにお話を伺った時、加害行動に繋がると考えられるストレッサーについて知りました。それら子供が抱えるストレスの要因を具体的に描いてしまうと、どこかの1事例として読まれてしまい、共感しにくいと考え、できるだけ何に問題があるのかわからないように、一見「普通」の家庭で起こった出来事にしようとしました。

第4話「別に何もないよ」6画像提供:(C)しろやぎ秋吾

――加害者が何をしたのか被害者が何をされたのか、明確には描かれていないのがポイントなんですね。

はい。子供のいじめの実態についても、できるだけ読者にも隠しました。1話ずつ親の視点と同じ様に悩みながら、疑いながら読んでもらいたいと思いました。

第3話「そして事件は起きた」2画像提供:(C)しろやぎ秋吾

――保護者説明会が行われたときの、当事者でない第三者の親目線が一番怖かったです。

有名人の過去のいじめ問題やネットの晒しあげなど、いろいろと思うことがあってこのシーンができました。ただ、ネットへの告発が悪だとも思わないです。そうするしかなかった状況があるのだと思います。

第5話「そんな子に育てた覚えないわよ2画像提供:(C)しろやぎ秋吾

――本作を描いたことで、しろやぎさんの中で今まで抱いていた「いじめに対する気持ち」に変化はありましたか?

いじめっ子の親の話を描いていたつもりが、いつの間にかいじめられっ子の親になってしまいました。自分も、自分の子供も気づかないうちにいじめる側に立ってしまっているということが簡単にあり得るんだろうなと思いました。

第5話「そんな子に育てた覚えないわよ」3画像提供:(C)しろやぎ秋吾

――読者の皆さんにメッセージをお願いします。

いじめという題材で、不快な思いをされた方もたくさんいると思います。すみませんでした。最後まで読んでくださった方、読んで良かったと言ってくれた方、ありがとうございました。


親には「必ず自分の子供がそんなことをするわけがない」というバイアスがかかっている。しかし、嘘をついていたことから我が子への不信感は募り、夫との意見は食い違う。もし自分の子供がいじめをしてしまったら?いじめられたら?どのように子供と向き合うべきなのか。本作にその答えはないが、いろいろな感情と向き合いつつ考えるきっかけを与えてくれる。


取材協力:しろやぎ秋吾

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