孫絶句!ばあちゃんがギターボーカル!?しかもロック!?「わかんないけど泣かされた」と絶賛の声【作者に聞く】
趣味で描いていた漫画ブログが編集者の目に止まり、育児漫画『うちのこざんまい(全3巻)』が書籍化された内野こめこ(@nokonokomeko)さん。さらに、『こちらアニマル社商品企画部(育児課編・保育室編で計2巻)』も、SNSにあげていた漫画がバズったのを機に、出版社から声がかかり、書籍化された。アニメのスピンオフ4コマの仕事や、コミックエッセイの作画の担当をしたりしつつ、SNSでも創作漫画をアップしている漫画家だ。

そんな内野さんの作品『ひみつのおばあちゃん』は、読者から「わかんないけど、泣かされた。こんなばあちゃん欲しかった」「心の中の全米が泣いた」との声が!内野さんに漫画に込めた思いや見どころについて話を聞いてみた。
――まず最初に、多くの本が書籍化されている内野さんですが、意外なことに漫画を描きはじめた時期は遅かったんですよね。
そうなんです。絵を描くこと自体はもともと好きでしたが、ちゃんと漫画を描こうとしたのは結婚後ですね…。育児漫画については、私が日常のあれこれを忘れやすいので後々のために細かく描き残しておこうと思ったのがきっかけです。

――今回紹介させていただく『ひみつのおばあちゃん』には、おばあちゃんと孫が登場しますね。2人のキャラ設定について教えてください。
孫の女子高生は明るいけどちょっときつめの性格。“古い家”や“年老いたおばあちゃん”というのに嫌気がさしている子として描きました。一方おばあちゃんは、思春期の孫が自分を嫌がっていることは十分にわかっている。母親代わりとして孫を育ててきたけれど、でもどう接したらいいのかわからない…という状況を描いています。性格的には大人しめの優しいおばあちゃんです。

――内野さんの創作漫画は「何か不思議な出来事や人との関わりを機に主人公の考えが変わる」という作品が多いと聞きました。今回もおばあちゃんと孫の体が入れ替わる、という不思議な出来事の設定ですね。
はい。おばあちゃんは、孫に嫌われていると知っているので、「やっぱりお母さんがいたらよかったんだろうな」「せめてこの子にとって迷惑にならないおばあちゃんでいよう」と思っていて、なので病気のことも趣味のことも一切孫にはわからないようにしてきました。そんな中、2人の体が入れ替わります。実際、孫は何を嫌がっていたかといえば、「古い価値観の中で窮屈に生きてきて、結局何にも持っていない(ように見える)おばあちゃん」だったので、“おばあちゃんの全部”を知り、考え方が変わるというお話です。

この作品は集英社の賞に出しまして、それを機に「クッキー」の担当さんから連絡をいただきました。その後、集英社の雑誌で読み切り漫画を2度掲載してもらうきっかけになった大切な作品です。

――最後に内野さんのほかの作品についても教えてください。
ブログから書籍化したのは『うちのこざんまい(全3巻)』で、同名の育児ブログを2013年からやっていました。本になっているのは長男が生まれたときから次男が2歳になるまでですね。次男が小学校に入学したのを区切りに、子供のプライバシーのことも考えてブログはストップしています。
『こちらアニマル社商品企画部(育児課編・保育室編で計2巻)』は、Twitterでペンギンの出産育児を人間の話と絡めて描いた漫画をあげていたらバズって、そこから書籍化の話をいただきました。『ざんねんないきもの事典』の今泉先生に監修していただいて、出産育児を中心とした動物の生態を描いているので、“動物豆知識もの”としてもおもしろく読んでもらえると思います。子供さんにもおすすめです。実は私の友人の小学生の娘さんも動物好きなんですが、すごく気に入って読んでくれているみたいです!

今回紹介した『ひみつのおばあちゃん』は、今まで見えていなかったおばあちゃんの意外な一面を知ることによって、考え方が変わる孫の心の動きも見どころだ。誰しも“最初からおばあちゃん”だったのではない。孫のために“おばあちゃん”という役割をしてくれていただけで、おばあちゃんにはおばあちゃんのアイデンティティがあり、コミュニティを持っている。そのことに気づいたとき、家族のことをもっと大切にでき、一個人として尊重して付き合えるのではないだろうか。
取材協力:内野こめこ(@nokonokomeko)