大学生の恋愛漫画に唐突な“鬼”参戦――!?「こんなん予想できるか」と読者をだますどんでん返しの連続に爆笑【作者に訊く】
友人からの告白を保留にしていた女子大生。ある日、ひょんなきっかけから意気投合した後輩から、友人からの告白と同じ言葉をなぞって想いを告げられる。「なんて破壊力なの…――!!」とときめくシーンのはずが、まさかのキャラクター登場でどんでん返しに――。

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『遥かなるマナーバトル』
(小学館・第2巻は2023年7月19日(水)発売予定)を連載する漫画家・たむらゲン
(@jack_yakitori)
さんがTwitterに投稿した「大学生の恋愛に疲れた女子が、新しい出会いを通して変わる話」に、9.6万件の「いいね」が付くとともに「怒涛の展開」「こんなん予想できるか!」と反響を呼んでいる。ウォーカープラスでは作者のたむらゲンさんに、本作の制作秘話を取材した。
「普通の恋」に悩む女子大生、不意の告白に当惑――そこに突然の鬼!?
ある夜、宅飲みに参加していた女子大生の「花」。同じ席に参加していた「坂本」から以前告白されていたが、その返事を先延ばしにしていた。

そんな彼女に「坂本先輩に告られたんですか?」と訊ねたのが、後輩男子の「辻」。買い出しの帰り、「夜のキリン」というバンドのファン同士であることが判明し意気投合した彼は、花が告白された件をぐいぐい深堀りしようとする。

坂本からの言葉を辻に教えながら、自分のこれまでの恋愛へのもやもやが心にあふれてきた花。そんな彼女に、辻は「すき つきあって。」と、坂本とまったく同じ言葉で想いを告げる。
今までの恋とは違う強い気持ちに(なんて破壊力なの…――!!)と戸惑う花。が、そこに「俺が本当の破壊力を見せてやろう」と、唐突に“鬼”が現れる。

辻の首をもぎ「現世の人間は脆いのぉ」と高笑いする鬼。花は「よくも辻くんを」と激昂し、それまでの展開をかなぐり捨てたバトル路線に移行してしまう――、というストーリー。
まんまとだまされた読者多数、合作で描いた急転直下なストーリー

予定調和をぶん投げた急ターンすぎる展開ながら、鬼とのバトルの果てのさらなるどんでん返しが描かれる結末を含め、「大学生の恋愛に疲れた女子が、新しい出会いを通して変わる話」というタイトルにはなんの嘘偽りもないという物語。読者からは「最高におもしろかった」「前半が丁寧すぎてまさかフリだとは」「何が起きたのか理解できない漫画」と、困惑と爆笑の声が数多く集まった。
Twitterでは「作者変わったのかと思った」というコメントも散見されたが、たむらゲンさんによれば、実は本当に途中で作者が入れ替わって描いた作品だという。そんなアイデアのきっかけや、作品へのこだわりについて話を聞いた。
――『大学生の恋愛に疲れた女子が、新しい出会いを通して変わる話』を描いたきっかけを教えてください。
「友人と同人誌即売会で何か本を出そうという話になり、読んだ人を驚かせるような内容を描きたいと考えて制作し始めました。そこで、前半は友人、後半は僕が描くことで読者をだましてやろうと思い、このような形になりました。その同人誌はそんなに売れていないんですが、Twitterにアップしたらバズったのでびっくりしました。また今度、コミティア等に参加したら販売するのでよろしくです」
――恋愛漫画と理不尽な導入のバトル漫画、この二つを掛け合わせようというアイデアはどんなところから?
「僕がその頃、映画『アウトレイジ』と『花束みたいな恋をした』を連続で視聴していたこともあり、その二作を繋げたような読書感覚になる作品を目指したというのがあります」
――まさか合作でのひっかけとは思わず、見事にだまされました。制作で意識した点を教えてください。
「前半後半で作者は別ですが、内容については二人でしっかり話し合ったのが大事だったと思います。友人が描いた前半は、なるべく質感が出るように真面目に取り組んでもらいました。『大学生あるある的なものが盛り込めているといいなー』とか、結構しっかり話し合って作った記憶があります。展開が変わる前がしっかりと後半へのフリになっていたりと、友人の実力に助けられています」

――たむらさんが描かれた後半は、どんな方向性で描かれたのでしょうか?
「前半がややネガティブな感じなので、僕の暴力パートはむしろ『人間の生』の肯定になるように、前向きになるように努めました。前半も後半ともに、それぞれの作者が描きたいことを詰め込んであるので、そこも楽しめるポイントかなと思います」
――合作ということで、挑戦した点や苦労があれば教えてください。
「友人とは昔からこのような分担作業の漫画を描いてふざけていたので、特別挑戦したという感じではないんです。前半後半で分担して漫画を描くと、一人当たりの作業が少なくなるので、漫画を描きたい人におすすめの手法です」
――ご自身でお気に入りのシーンや、描いていて楽しかった点があれば教えてください。
「鬼とのバトルシーンはかなり気に入ってます。前半を描いた友人にもいろいろコメントを求めたんですが、別に特に言うことがなさそうでした」

――本作でたむらさんの作品に興味を持った読者も多いと思います。読者に向けてメッセージをお願いします。
「小学館のスマホアプリ・マンガワンで
『遥かなるマナーバトル』
を連載しています。ブラウザでは配信サイト『裏サンデー』で読めます。第1巻発売中、最新の第2巻が7月19日(水)に発売予定なのでよろしくお願いします。単行本が売れると連載が継続されるので、マジで買ってください。ほんとに。お願いします!」
取材協力:たむらゲン(@jack_yakitori)