心霊現象に悩める学生、憑いていたのはベタ惚れ猫又娘!?“視える男”と“憑かれた男”のコメディに「かわいいがすぎる」の声【作者に訊く】
不可解な出来事が起こるとオカルト研究会を訪れた男。霊能力を持つオカルト研が視たのは、ベッタリと甘えるように取り憑いた猫又の霊で……!?

漫画家のくりきまる
(@kurikimaru)
さんのオリジナル漫画「視える男と憑かれた男」シリーズは、善良でベタ惚れな霊に“憑かれた男”と、その様子を見て祓うに祓えない“視える男”を描いたコメディ作品だ。Twitterに投稿された第1話は1.1万件(2023年6月20日時点)の「いいね」を集めた同作。ユーザーからは「こんな霊になら憑かれたい」「かわいいがすぎる」「続きが気になる」と反響を呼び、10話までをまとめたKindleの無料電子書籍
「岩崎くんと加藤くん 視える男と憑かれた男」
にも700件以上の評価が集まる人気シリーズとなっている。
作者のくりきまるさんは、学園を舞台にしたサイコホラー
「31番目のユーリ」
(竹書房、コミックス第3巻は2023年4月17日発売)を連載するプロの漫画家。商業誌での活動のかたわら、個人制作として描く「視える男と憑かれた男」誕生のきっかけや、作品へのこだわりについて話を訊いた。
霊が視える男に心霊相談、視えたのはべったり甘える猫又の霊だった!
「視える男と憑かれた男」は、不可解な現象に悩める大学生「岩崎」が、オカルト研究会の「加藤」へ相談したことから話がはじまる。

強い霊能力を持ち、たびたび心霊現象の相談を受けていた加藤は、岩崎に霊が憑いているのを確認する。が、彼が視た霊は、ご機嫌な様子で岩崎にしがみつく猫又の少女だった。

その甘えぶりをそのままでは伝えられず「化け猫系?」と言葉を濁す加藤に、「ヤバイやつじゃん!」と岩崎はうろたえる。が、話を聞く限り、風呂で背中を流したり添い寝をしたり、果ては朝食の支度まで猫又娘は岩崎にかいがいしく世話を焼いていることが判明。その善良ぶりに「俺にそいつは祓えないわ」と別の意味でギブアップしてしまう――というストーリー。
「今でも一緒に」愛したペットへの思いを漫画に
善霊・悪霊問わず目をつけられやすい岩崎と、そんな彼を影ながら守る猫又の霊、唯一その様子が視えてしまう加藤、それぞれの視点で描かれるオカルトコメディ作品。ときには恐ろしい悪霊の姿も垣間見られる世界観ながら、猫又娘の健気さや笑える展開が読者を惹きつけるシリーズだ。

一緒に暮らしていたペットが作品が生まれたきっかけだという作者のくりきまるさん。ウォーカープラスは今回、詳しい制作秘話を教えてもらった。
――「視える男と憑かれた男」を描き始めたきっかけを教えてください。
「以前飼っていたペットが甘えん坊で、いつもくっついて回っていたんです。既に他界してしまいましたが『今でも一緒にいてくれるといいな』と思ったのが本作を描いたきっかけになります」
――猫又娘の霊は本当にいい子でほのぼのする反面、悪霊に対しては日々戦いを繰り広げるという塩梅が絶妙です。
「これも先に話したペットに由来します。日頃はビビリなくせに、知らない人が家の中に入ると警戒して臨戦態勢をとったり、ぬいぐるみともよく戦ってました。きっといざという時は守るつもりでいるのだろうと思い、作中の霊もいざという時は岩崎のために戦っている設定にしました」
――ご自身でお気に入りのシーンや、描いていて特に楽しかったポイントがあれば教えてください。
「第7話の熱中症のところですかね。憑かれている岩崎には霊の姿は見えていないし何が起きているかもわかっていないけど、近くにいるよというシーンがこの作品の肝になっているかなと思います」

――くりきまるさんは現在連載中の「31番目のユーリ」をはじめ、商業作品も多く発表されています。個人制作ならではのポイントを教えてください。
「個人制作の利点はなんといっても自由に描けるところです。商業作品は掲載媒体の傾向や編集さんの意向など制約が多く、商品として常に数字も気にしないといけないので気が休まりません。もちろんそうした緊張感の中で描くも楽しいのですが、たまには発散したくなりますので個人で好きなように描いてバランスをとっています」
――電子書籍では10話まで収録されていますが、SNSでは以降のお話も描かれています。シリーズの今後の展望について教えてください。
「今はTwitterで17話まで進んでおります。商業でのスケジュールが押してしまってしばらく更新が止まっておりましたが、また再開しますのでどうぞよろしくお願いいたします。また、現在『WEBコミックガンマ』で商業連載中の
『31番目のユーリ』
は当作品と同じく霊の視える主人公が活躍しております。こちらはサイコホラー風味で雰囲気が違いますが、興味を持っていただけたらこちらもお読みいただけると嬉しいです」
取材協力:くりきまる(@kurikimaru)