出前の返却にメッセージ、地域のお店を助けるクラファン。コロナ禍初期の飲食店を描いた心温まる漫画に反響多数!【作者に聞く】
新型コロナウイルスが、季節性インフルエンザと同じ感染法上の分類が「5類」となったことで、街には多くの人が戻り、マスクを付けていない人も増えてきた。ようやく以前の生活に戻りつつある今、改めてコロナ禍を振り返り「人との繋がり」の大切さを描く漫画を紹介したい。

水谷アス(
@mizutanias
)さんの漫画「コロナ禍が始まった頃の飲食店の話」は、出前を頼んだお客とお店の交流を描いた「昼の話」と、北海道釧路市にある実在のレストラン「イオマンテ」が行ったクラウドファンディングを元にした「夜の話」の2作品。今回は水谷さんに漫画を描いたきっかけなどを聞くとともに、イオマンテの舟崎シェフにも漫画化された感想を聞いた。

「顔を合わせる機会が少なくても、心の触れ合いは作れる」自身の経験を元に描いた「昼の話」
「コロナ禍が始まった頃の飲食店の話」は、外出自粛により、お客が来なくなってしまった飲食店での心温まるエピソードを描いている。「昼の話」は水谷さんの体験が元になっているそうだが、どんなきっかけで漫画を描いたのだろうか。

「娘たちが近所のおそば屋さんのうどんが大好きだったのですが、小さい頃は騒がしくしてしまい迷惑をかけてしまっていて。お店の人は笑顔で対応してくれていましたが、申し訳なくて途中から出前にしたんです。いつも優しいおそば屋さんへ、娘は『ごちそうさま』と割り箸の袋に書いて食器とともに返していました。その後、娘が少し成長してから食事に行くと、お店の奥さんが『久しぶりに来てくれてうれしい。お手紙ありがとうね、おばちゃん、うれしくてそこに貼ってあるの』って壁に貼った箸袋を見せてくれました。子供たちを本当に温かく見守ってくれていたんだと思い、顔を合わせる機会が少なくても、心の触れ合いは作れることを伝えられたらと、今回のお話を描きました」

漫画が描かれたのはコロナ禍に入ったばかりのときだったが、今年6月に再度Twitterに投稿されると、2.6万件ものいいねが寄せられ大きな反響となった。コロナ禍が明けようとしている今、多くの人に響いたことを水谷さんはどのように感じているのか聞いた。
「コロナ禍になる前までは『おいしかったよ、ごちそうさま』『ありがとうございました』と言葉を直接交し合うことはごく普通のことでしたが、そうではないことが数年続きました。当たり前が当たり前でなくなること、そしてその当たり前が戻ってくることのありがたみを皆さんが感じているからこそ、たくさんの反応をいただけたのかなと思っています」
