欲しいものを「引き寄せて」手に入れる便利な超能力!?謎のルールが解けたとき、すべての伏線が回収される【作者インタビュー】

サンデーうぇぶりで「
GOLDEN SPIRAL
」を連載中の漫画家・福地翼(@fukuchi_tsubasa)さんが描く「聖夜の罪」をおすすめしたい。本作は、ペン入れされていない状態でTwitterに投稿されているものの、ラストに向けての伏線回収が見事で7万を超えるいいねがついている(2023年7月10日時点)。本作の制作秘話について、福地さんにインタビューを行った。
両親が他界し、少年は超能力で欲しいものを引き寄せられる力を手に入れた!?

引寄淀(ひきよせよどみ)は、事故で両親を亡くす。その頃から、目に見えるモノを引き寄せる能力を手に入れた。床に置いてある本や飲み物を手元に引き寄せることができるのだ。

ある日、能力が進化し、目に見えるモノだけでなく、頭で想像したモノまで引き寄せられるようになった。淀は、外に出ずにコンビニの肉まんや欲しいものを引き寄せ始めた。その引き寄せる力には、いろいろなルールがあり、次々とモノを引き寄せた能力の結末に驚きの声があがっている。

ーー本作はペン入れがされていない状態で掲載されていますが、どのような経緯で制作されたものですか?
当時、別の連載をしていたんですが、ふとおもしろそうなネタが思いついてしまって、仕事の合間にネームに起こしてみました。

ーーとてもおもしろかったのですが、いわゆるボツ作品ということなのでしょうか?
もしかしたら読切としてサンデー、もしくは増刊あたりに描かせてもらえるかな?と思ったので、一応、当時の担当さんたちに見せてみました。みんなおもしろいと言っていただいたのですが、今で言うコンプライアンスの部分で少し引っかかってしまい、雑誌には掲載できないということになりました。多少残念な気持ちはありましたが、仕方ないかなと。

ーー今回、本作を投稿した理由を教えていただけますか?
せっかく描いたものなので、どんな反応がもらえるか知りたくてTwitterに投稿してみました。たくさんの好評をいただいて、「ああ、描いてよかったな」と。やはり、漫画は読んでもらってなんぼなので。

ーー現在、サンデーうぇぶりで連載中の「GOLDEN SPIRAL」や「うえきの法則」とはまったく作風が違いますね。こちらはいつ頃描いた作品ですか?
いつだったかな…。多分5年以上前だとは思います。もっとかな。「サイケまたしても」という漫画を描いていた頃だと思います。

ーーいろんなものを引き寄せる能力、そのストーリーは少年漫画向けでうまく引き込まれていったので、最後のどんでん返しには驚きました。本作でこだわったポイントを教えてください。
まさに、そのどんでん返しの部分です。僕は基本的に「能力物」というジャンルの漫画をよく描いているんですが、それをフェイクに使った叙述トリックとかおもしろそうだなと。僕の漫画を読んでくれてる人ほど、引っかかってくれたのではないかなと思います。

ーーその他にどのような漫画を描いていますか?
現在、サンデーうぇぶりで「GOLDEN SPIRAL」という漫画を描いています。水没間近の島から脱出するために人々が奮闘する物語です。こちらも能力物のジャンルになりますが、物語の構造をかなり作り込んでいるので、今回の「ヒキヨセル」のような伏線回収が好きな方にはその辺も楽しんでいただけると思います。
いろいろなモノを引き寄せていた淀。しかし、モノを引き寄せる行為は、どこかからモノが失くなっていて、自分は「泥棒」をしていると気づく。引き寄せの力の謎が解ける時、彼が捉えていた「引き寄せに必要なルール」も解き明かされる。伏線から結末までの流れが非常に巧妙で、多くの称賛コメントが届いている。
取材協力:福地翼(@fukuchi_tsubasa)