毎日玄関で待ち伏せ!孫への異常な執着とわがまますぎる行動の数々…“虐待をしていた”義両親とどう付き合えばいいの…?【作者に聞く】

Instagram(
@chatoco_jibe_high
)やブログ「
隣人は漫画を描いています
」で、身近で起きたトラブルや実体験を元にした漫画を描いているチャト子さん。





虐待していた義両親の過去を知ってしまう「虐待をしていた義両親との付き合い方」や、自身の受けた性被害についてを描き起こした「犯人が実は〇〇だった話」といった衝撃的でヘビーな内容から、顔面ヒエラルキーに振り回された体験談「国宝級美女との共存はけっこうシンドイ」といった女性なら誰もが共感できるであろう作品まで幅広く手掛けている。



先日完結した「虐待をしていた義両親との付き合い方」は、自身の介護体験が元になっている。初めて義両親に会ったとき、違和感があったもののそのまま結婚した主人公・佐和子。はじめは、夫・タクミが義姉・サナエから暴力を受けていたことを聞き、義姉に対して強い嫌悪感を抱いていたのだが、後に義姉が義父から虐待されていたことを知る。自身も幼いころ両親からの愛情を受けた記憶がない佐和子は、サナエと自分が重なって見えて…。




孫に対する異常な執着心やわがまますぎる行動…徐々に本性があらわになる義父とそんな父親と似てくる夫、認知症の義母との生活に疲弊する佐和子。いろいろな思いが交錯する中で、義両親との距離感や付き合い方を模索していく。そんな中で義母を世話していた義父が倒れ、心の準備もないまま義両親の介護をすることになってしまう。




信じられない行動ばかりの義父や、守ってくれず問題から逃げる夫に対する佐和子のダークな心情や時に冷酷にも思える行動に、読んでいると共感を覚えずにはいられない。作品中に出てくる人物たちの、なまめかしい“人間らしさ”が読者を引き込んでいく。




ほかにも、現在連載中の「犯人が実は〇〇だった話」では実際に自身が体験した性被害についてを漫画化。きちんと伝えるのが難しい子供のSOSを読み取るべく、子を持つ親にはぜひ読んでほしい内容だ。「実際にこんなことがある」ということを知ることで、未然に防ぐことができるかもしれない。




今回は、そんな作品を描くことになったきっかけやこだわりなどを聞いた。
――簡単に自己紹介をお願いいたします。
「小学生の子供2人と夫の4人家族で、夫婦で飲食店を経営しています。その傍らで、体験談をベースにした漫画を描いています」
――ブログやSNSでの投稿をはじめられたきっかけ、その理由を教えていただけますか?
「幼少期から割とトラブルや苦労の多い人生でしたが、そのことを誰かに話したことはほとんどありませんでした。人に引かれてしまう話が多いので、このまま誰にも知られることもなく墓まで…と思っていましたが、コロナ禍で時間ができたのをきっかけに独り言のような漫画を描いて投稿してみることにしました」


――「虐待をしていた義両親との付き合い方」を描こうと思われたきっかけや、執筆時にこだわったポイントを教えてください。
「小さい子供2人を育てながら、認知症の義両親を同時に介護するという状況を数年経験しました。義父は元々とても傍若無人な人で…。側から見たら至って普通の家族だったと思うのですが、内情はこんなにも荒んでいることもあるということを知ってもらえるよう、機能不全家族を描こうと思いました。このお話では児童虐待被害者である主人公・佐和子の義父が連れ子への虐待加害者だったことがポイントです。自身が被害を受けた経験があることで、感じ方や接し方も変わってきますよね」



――特に思い入れのあるシーンを教えてください。



「特に思い入れがあるのは回転寿司屋で義両親と乳児と食事をするところです。ほかのお客さんたちが楽しそうに食事をする中、義両親の行動がきっかけで佐和子は涙が止まらなくなってしまいます。自分の育ってきた環境が特殊だったゆえに“普通”がわからず、不満に耐え続けていた佐和子が”自分を押し殺すのは辞めよう”と決意するきっかけになる、ターニングポイントともいえるシーンです」









――現在連載中の「犯人が実は〇〇だった話」について、ご自身の体験談とのことですが、この辛い経験を描こうと思われたきっかけ、こだわっているポイントを教えてください。
「自分自身に子供が産まれてから特に、子供が被害者の事件を目にするたびにとても胸が苦しくなります。自分の経験した性被害の状況や手口を、子育て中の方々と情報共有することで少しでも悲しい事件を減らせたらと思い、この作品を描くことに決めました」
――ご自身の作品で思い入れのある作品と、その理由を教えてください。
「過去の自分の経験や、現在子供を育てる母としての思いから『うちの子不良になっちゃうの!?』と『犯人が実は〇〇だった話』の2作品は思い入れが強いです。不幸な子供を増やしたくない、子供はみんな幸せに育ってほしいという願いを込めて描いています」




――執筆される際、こだわっているポイントや込められている思いを教えてください。
「作品の登場人物や小ネタはほとんどフィクションですが、出てくるエピソードはリアルに基づいています。漫画制作の進め方としては、はじめにエピソードの配置だけを決めて、あとは流れにまかせて描いています」
――現在までいろいろな反響があったかと思いますが、特に大きな反響があったエピソードや印象的だったコメントがあれば教えてください。
「『虐待をしていた義両親との付き合い方』の佐和子は決して清廉潔白な主人公ではなく、反抗心を抱いたり、復讐を考えるような人物ですが、そういう人間味をさらけ出したあたりから佐和子のことを応援してくれる方が増えたように思います。コメントをくれる読者さんには医療や福祉関係の方も多く、とても励みになっていました」


――記事を読む方に向けてメッセージをお願いします。
「コロナ禍もおさまってきて仕事が忙しくなってきたので、ブログ更新が滞ってしまっています…すみません!実はまだ、これだけは絶対に描きたいと思っている話が描けていないんです。ペースは落ちていますが漫画は描き続けていくつもりなので、これからも当ブログ『隣人は漫画を描いています。』を見守ってくださるとうれしいです!」
現在連載中の作品はもちろん、チャト子さんが絶対に描きたいと思っているというこれからの作品にも注目したい。
取材協力:チャト子(@chatoco_jibe_high)