街を歩くだけで品定め!?かわいい子と一緒にいると、自己肯定感を削られる!容姿の優劣を描く漫画に共感の声【作者インタビュー】

理想的な容姿を持ったかわいい子が友達だったら?生まれ持ってかわいいサキと容姿に自信のない主人公みっちゃんの友情を描いたイララモモイ(
@iroiro_kangae
)さんの「美人はいいね」が「刺さりすぎて痛い」「自分に投影しちゃう」と話題を集めている。
容姿がブスなだけで、自己肯定感を削られるのはなぜ?見た目がよければ価値が高いの?

友達のサキは、とてもかわいい。多くの男性が「かわいい」と思うように、友達のみっちゃんにとっても完璧な容姿だった。外見が好みで、とにかくかわいい。みっちゃんはサキと一緒にいると劣等感で押しつぶされそうになりながらも、「かわいくない自分はかわいい子と友達でいるしか価値がない」と思っている。

街中でナンパされるとき、異性はサキに注目する。ブスはいじられキャラでいるしかない。どんなに努力をしてもサキにはなれない。自分の容姿が嫌いだった。でも、みっちゃんは孤独になることを恐れてサキと一緒にいることをやめられない。
本当に容姿なんて関係ない?人々の容姿に対する関心の高さが垣間見える作品
イララモモイさんは、現在サイコミというアプリで「
付き合えなくていいのに
」を連載している。この作者はコンプレックスを抱えた若者の心理描写が非常にうまく、実在するようなリアルな人物像を描くため、「すごいわかる」「刺さるわー」と自分に投影する読者が多く、共感コメントも集まっている。今回は、イララモモイさんに本作を描いた制作秘話やみっちゃん側、サキの側の心理についても話を伺った。

――4.9万いいね&1万リツイートを獲得。コメントもたくさん届いていますが、実感としてどうですか?
この作品は、以前にもTwitterで投稿した作品です。今日に至るまでいろいろな機会で取り上げていただいては、さまざまな感想をいただいてきました。共感の声が一番多い印象はありますが「容姿なんて関係ない」という意見やみっちゃんの考え方を否定する意見など、多種多様です。どちらにせよ、容姿の問題の根深さと人々の容姿に対する関心の高さの現れなのかなぁ、と思っています。

――自分に投影しちゃうというコメントもあり、共感を集めていますね。多くの人が同じような経験をしているようですが、本作は体験談ですか?
私が生活していて感じた部分に加え、SNSで自身の容姿を嘆く「愚痴アカ」の方々のつぶやきを参考にしたり、そういう気持ちを歌う楽曲、その楽曲のコメント欄なんかを参考にして作った記憶があります。体験談でいうと、私は大学に入って15キロくらいダイエットし、ファッションや化粧も変えたのですが、周りの扱いがかなり変わったなという実感がありました(笑)。その両極端な体験はさまざまな作品を描くうえで役立っているかもしれません。

――本編のラストでとうとうみっちゃんがブチ切れてしまいますが、それでもサキと一緒にいるのはなぜでしょうか?
みっちゃんは結局サキの顔が好きなんですよね。誰よりも容姿に囚われているからこそ、そんなシンプルな理由で彼女から離れられないんだと思います。

――サキは計算でみっちゃんといるんですか?本当にみっちゃんを友達だと思っているんですか?
友達だと思っています。サキは本当にみっちゃんが好きなんですよね。でも、心のどこかで自分の方が男性から求められているという優越感も持っていると思います。サキって多分、女友達全然いなくて、かつみっちゃんから見ると完璧だけど、実際は少しどこか欠けた美少女なんですよね。みっちゃんだけでなく、サキも自己肯定感が低いからこそ、ああいう振る舞いになっているんだと思います。

――「かわいいはかわいいで大変」とみっちゃんのセリフもあり、サキの視点から見た世界も見たいという意見もありますが、いかかですか?
いつか絶対描きたいですね!構想はありますがなかなか描けていません!私の生きているうちには描きたいです。

――「イララモモイ」変わったペンネームですね。由来はありますか?
文字列にはなんの意味もなくて、カタカナ6文字くらいのとにかく意味不明な名前を考えようと絞り出した文字列がこれでした。中学時代に架空の人物が架空の人物に向けて書いた不思議な内容の手紙をその辺の廊下とかに置いておく、という遊びにハマっていて(誰かが拾って読んだらおもしろいなと思ったので)、その時の架空の差出人の名前が「イララモモイ」だったのがきっかけです (イララモモイになりきって手紙を書いていたので)。

――そのほか、どのような漫画を描いていますか?
現在、サイコミというアプリで「
付き合えなくていいのに
」という漫画を連載しています!主人公の女子大生、清水えりこが中学時代にちょっと気になっていた男の子・北山くんと大学の軽音サークルの新歓で偶然に再会し、運命的なものを感じ沸き立つけど、北山くんは実は…というお話です。片思いをリアルに描いた漫画をポップな雰囲気で読みたい!という方は、ぜひよろしくお願いいたします!
みっちゃんの合コンでの立ち位置など、自己肯定感を削られる出来事が実にリアル。もちろん見た目の「かわいい」は好みによるが、あらかさまな態度や空気感で不快に感じることもあるのは事実。容姿の劣等感については、男性からもみっちゃん側の気持ちがわかるという声もある。
取材協力:イララモモイ(@iroiro_kangae)