読書感想文が書けない!本を読まずに書くズルイ裏技とは…!?“未読書”感想文がスゴすぎる!!【作者に聞く】
読書感想文――。それは夏休みシーズン後半になればなるほど、全国各地で学生たちに悲鳴をあげさせる恐ろしい存在。頭の片隅に常にあり、手をつけなければいけないと理解しつつも目を背け続けた結果、人はじりじりと追い詰められていく…。もはや怪談よりも怖い、夏の風物詩だ。今回、誰もが悩まされた思い出を持つ読書感想文をテーマにした漫画「未読書感想文」をお届けする。

夏休み最終日、主人公の藤井は白紙の原稿用紙を前にして青ざめていた。読書感想文がどうしても書けない。「こんな本の感想なんて140文字で収まってしまうわ」と毒づくも、今さら他の本を読んでいる時間はない。そんな時、「課題図書」の下に「自由図書」という文字を見つける。“好きな本を自由に選んで書いていい”という説明を読み、藤井はひらめく!「架空の本をでっち上げて書いてもバレないんじゃないか」と。

それからは筆が乗った!頭の中に広がる、めくるめく物語。授業中にテロリストが現れ、異世界に転生し、その後バトルロワイヤルに巻き込まれ、結末はハーレムでウハウハ…というジャンルレスなストーリーが頭の中で進行。食あたりを起こしそうなてんこ盛りの内容だが、藤井の筆は進み、一気に読書感想文を仕上げたのだった。しかし、これで乗り切ったかと思いきや、そうは問屋が卸さなかった!この後、藤井に本当の試練が訪れる。感想文の提出から1週間後、読んでもいない“未読書感想文”のせいでやっかいな展開となる。そのやっかいな展開とは一体…?果たして藤井はどうやって切り抜けるのか?またもや炸裂する藤井の斜め上をいく行動に読者は度肝を抜かれる!この漫画最大の見どころが待っていた。

「未読書感想文」は、「DAYS NEO」にて累計約1万6000作品から名作9編に選ばれ、「DAYS NEO傑作選Vol.1」として書籍化もされた作品。作者であるりんごさん(@ringo_san_)は、「モーニングゼロ」での奨励賞受賞や、歴史と実績ある青年漫画の登竜門「ちばてつや賞」入選などの経歴の持ち主だ。今回、りんごさんに本作について話を伺ってみた。
――本作の主人公の“ズル”の方法がダイナミックすぎて驚きました。着想について教えてください。
この話を思いついたのはちょうど夏休みの時期で、“読書感想文で悩む高校生”の姿を思いつきました。また、当時「順序を逆にする」発想法にハマっており、本来なら本があって読書感想文が書かれるわけですが、その順序を逆にして、「本より先に読書感想文がある」とどうなるだろうと思い、そこから「未だ書かれていない本の読書感想文を書く」話になりました。その感想文の存在が、主人公に次の試練を生み…。結末はぜひ本編をお読みください。
――りんごさんご自身は、読書感想文は得意でしたか?
いえ、とても苦手でした。あまりにも苦手で、高校生のときの夏休みの宿題で、読書感想文か小説かを選べたので、小説を書いたことがあります。内容は忘れてしまいましたが、このときの実体験が「未読書感想文」での主人公の行動に影響しているのかもしれません。

読書感想文といえは、昔読んだ本の感想を書いたり、斜め読みやあらすじだけ読んで書いたり、親に手伝ってもらったり…何かしらの“ズル”の思い出がある人が多いだろう。今年の夏休みも終了まであと10日余り…。現実から目をそらしている人もこの漫画の主人公を反面教師にして、そろそろ読書感想文に取りかかってみてはいかがだろうか?
取材協力:りんごさん(@ringo_san_)