社会人になって痛感!鈍臭くて社交性が低い「せめて笑顔だけは」と取り繕っていたら!?本当の自分を失くした彼女の本音は?【作者に聞く】
社会人になって、体裁を取り繕うことを覚えた。結果、明るく笑顔で振る舞っていれば、会社でのイメージはよかった。しかし、その反動で本当の自分がわからなくなってしまった、森本淳士さん(@ihsuta3)の「表情(かお)のない人」をお届けしよう。
建前ばかりで人に合わせていたら、本当の自分を忘れてしまった
「彼氏が怪物になってしまった話」で、10万を超えるいいねを獲得した森本淳士さんの新作「表情(かお)のない人」は、X(元Twitter)で5.9万いいねがつくとともに「心に抱えていたことを漫画にしてくれた」「真面目で頑張り屋な子が潰されていく世の中がとても地獄に見える」などのコメントが届く。嫌われないように、陰口を叩かれないように振る舞っていたら、本当の自分がわからなくなった――。生きづらさを描いた救いのあるショート漫画について、インタビューを行った。

――まずは、本作を描いたきっかけを教えてください。
ここ数カ月はスランプで、絵も描けない、漫画も描けない状態になっていました。かねてより患っていたうつ病も悪化していき、結果、仕事を辞めて実家に戻らざるを得ない状況になってしまいました…。そんな中、少し回復するきっかけになったのが、10年来の友人でした。それも踏まえて、思い切って自分の頭の中にあるものを全部吐き出そう、という気持ちで描いたのがきっかけです。吐き出すために描こうと思った漫画なので、最初はSNSに上げることも考えていませんでした。

――仮面をかぶって本当の自分を偽るという設定に、たくさんの共感が集まっていますね。本作の設定でこだわったところ、見てほしいポイントがあれば教えてください。
こだわりという程ではないですが…人間悩みの種は違えど、仮面を被って、自分を偽って生きていくことはたくさんあると思っています。それは「こうしよう!」って思ったからすぐに解決するものでもないですし、他人にとっては「それだけのことで?」と思うことでも、自分にとっては死を天秤にかけるほど苦しいことだってあると思っています。ただ、意外と些細なきっかけで心の重りを軽くしてあげることもできるものだと考えています。今回、やっちゃん(主人公)にとってのそういうところを描ければ、と思って作った作品なので、そこを見てもらえるととてもうれしいです。

――心に刺さったというコメントも多数あります。漫画に込めたメッセージはありますでしょうか?
メッセージを込めて描こう!という気持ちはあまりありませんでしたが、描いたことすべてがこの漫画に込めたメッセージです。

――読者のみなさんにメッセージをお願いします。
共感のお声をたくさん頂けてうれしいです。どうかこの漫画に共感していただける全員が「自分を追いつめすぎず、幸せに生きられますように…」と思っています。この漫画で救われた人が一人でもいるのであれば、自分も報われます。

他人に嫌われないように、うまく振る舞う術を手に入れたやっちゃん。仮面をかぶって生活することで、本当の自分の素顔を忘れてしまった。私は一体どんなふうに笑ったり、泣いたりしてたっけーー?

学生の頃の友達と他愛ない話をしていても「こんなおもしろくない話、聞きたくないよね」と、相手の顔色ばかり伺ってしまう。そんな態度のやっちゃんに、友達が言った一言に救われる。
取材協力:森本淳士 (@ihsuta3)