「この国から出れないからね」海外の空港で、まさかの“密入国疑い”!?漫画で描かれる恐怖の大トラブル【作者に訊く】
とある国の滞在中、地方の空港から首都へ戻ろうとしたら突然「出国不可」と宣告されてしまい…!?

世界各地を旅する漫画家の五箇野人(
@gokayajin
)さんのエッセイ漫画「海外の空港で出国不可を宣告された話。」に、読者から「怖っ」「ドキドキする」とSNS上で反響が集まっている。頭を抱えたくなるようなエピソードの紹介とともに、作者の五箇野人さんに体験の裏側を取材した。
「正規ルートで入国した?」海外の空港でかけられた予想外の容疑
SNSやブログで発表し、現在3巻の単行本が刊行されている「つかれたときに読む海外旅日記」や、ゲッサン(小学館)で「海外 縁にまかせて歩くだけ。」を連載するなど、海外の旅の模様を漫画に描く五箇野人さん。現地での体験をユーモラスにつづることの多い五箇野人さんだが、X(旧Twitter)やブログで7月からシリーズとして描かれた「海外の空港で出国不可を宣告された話。」では、密入国を疑われてしまうというシビアな出来事を振り返っている。

中南米のとある国に滞在していた五箇野人さん。国境近くの町から空路で首都へ戻ろうと、地方空港でいつも通り搭乗手続きを進めようとした矢先、事件が起こる。空港カウンターのパスポートを確認したスタッフが「この国の入国スタンプがないけど正規ルートで入国した?」と質問してきたのだ。

密入国を疑われるというまさかの事態に動揺しながらも「もちろんちゃんと入国しました!」と、入国時の手続きを伝える五箇野人さん。証拠となりそうなものをとにかく提示し、一旦国内線での移動は許可されたものの、“入国スタンプがない”という事実は変わらず、今のままでは日本に帰れないと宣告されてしまう……、という体験を描いている。
『これがいい出会いにつながる』ピンチの際の心構え

出国できないというトラブルに直面した五箇野人さんの心境や、解決のために取った行動、無事出国に至るまでの顛末を追体験できる同シリーズ。五箇野人さんも初めての体験だったと語る、この長編エピソードについて話を訊いた。
――いつ、誰に起こるか分からない海外での恐怖のトラブルを描いたエピソードです。描いたきっかけを教えて下さい。
「自分としても初めての出来事だったので今後、旅をする方たちの参考になればと思い漫画で共有しました」
――多くの旅に出かけている五箇野人さんも、「出国不可」という事態は前代未聞だったのですね。
「初めてでした。特に入国自体が問題なくできた後の国内移動での出来事だったので、まったく予想しておらず身構えてなかった分衝撃が大きく感じました」

――作中ではトラブルへの現実的な対応や不安と、対照的なポジティブ精神も印象強いです。旅の中で問題に直面した際の心構えはありますか?
「予定外のことがあっても『これがいい出会いにつながる』はいつも思っていることです。旅はいつもほぼ計画通りにいかずイレギュラーな事態ばかりなのですがそのタイミングのズレや様々な変更が、結果的にいい人との出会いに繋がっていたりして、『アレがなかったら出会えてなかった』という体験をたくさんしているので。トラブルの際も、一旦ヘコんだあと、それを思い出して自然とポジティブになるようになっています」
――笑えるオチや拍子抜けな展開もしっかり描かれつつ、この長編ではシリアスな空気が流れているのが印象的です。短編と長編とで、エピソードの選び方や描き方で違いはありますか?
「長編のエピソード選びについては『印象に残っていること』が『ひとに届けたいこと』と直結してるかなと思っているので、印象に残っていることをピックアップしています。描き方については、単純にずっとシリアスだと自分が疲れてしまうので、ある意味ガマンできずに途中でボケっぽい所を挟んでいる感じです。読んでいる人にとってもシリアスの中で少し息抜きになればと思っています」
――SNSやブログのコメントでも読者から「ドキドキした」「よかった」など様々な反響が寄せられています。反響への思いや印象的な反応があれば教えてください。
「追体験を楽しんでいただけたのは本当に嬉しいです。あとは大使館と領事館の違いなど、トラブルへの対処に対して参考になったという旨の反応をいただけたのも描いてよかったと感じました」
取材協力:五箇野人(@gokayajin)