いざ認知症外来に受診へ!認知症介護実録漫画でわかる受診時に気をつけたいポイント【作者に聞いた】
認知症になる原因はさまざまあると言われているが、最大の理由が「加齢」。65歳以上の高齢者の割合が人口の21%を超え、「超高齢社会」を迎えた日本では、誰にでも関係する身近な問題と言ってさしつかえないだろう。
現代医療では認知症の根本治療薬はないとされているが、症状を緩和させたり、進行を緩やかにしたりすることは可能だ。しかし、高齢者本人の気持ちを傷つけることなく、前向きに治療に取り組んでもらうためには、さまざまな注意が必要なことが、学生ながら介護を余儀なくされた体験を描いたコミックエッセイ「嫌いから可愛いになった私のおばあちゃん 〜認知症介護実録〜」からもわかる。







漫画の作者であるさとみさん(
@satomi_qoljojo
)に対し、「私のお財布盗ったでしょ!!!」と疑いをかけるようになったり、同じ物を大量に購入するようになったりした祖母のきみ子さん。認知症外来への受診を最初は拒否していたきみ子さんだったが、親友からの勧めもあり、病院に行くことになった。結果、アルツハイマー型認知症と診断され、薬物療法を受けることになったきみ子さんだったが、1週間分の薬を一気に服用し、救急車で運ばれる事態に…。当時の状況をさとみさんに聞いた。
認知症外来にかかる際は、異変に気付いてからの状況や既往歴などをまとめておくと吉
――一度、受診拒否をしていたきみ子さんでしたが、親友からのアドバイスもあり、無事受診につながりましたね。どのような基準で病院は選びましたか?
通院を考え、なるべく近いところから探しました。
――認知症外来では医師との面談もあったとのこと。どれくらいお話しする時間がありましたか?
初回のMRI実施中の待ち時間に、15分程度医師とお話しさせていただきました。以降は5〜10分くらいお時間を取っていただいていたと思います。
――認知症外来の受診を考えている方に、アドバイスはありますか?
情報をノートか何かにまとめておくとよいと思います。異変を感じたときがいつからなのか、症状や頻度。心身の変化や生活リズムの変化があったのか。認知症外来の初診時、母にもついてきてもらったのですが、助かったと思ったことは既往歴のことでした。結構大きな手術をしていたことを初めて知ったり、服薬している薬がかなりあったことがわかりました。
――薬事件はかなりヒヤッとしたと思います。1週間分の薬を一気に飲んでしまった理由をきみ子さんから聞いたりしましたか?
おばあちゃんは私に失敗したところを見られるのをとても嫌がっているので、本人には聞けてないです。新しく処方された薬だったので、わからなくなって全部服用してしまったのか、飲んだことを忘れて飲み続けたのか⋯。なぜ多く飲んだかについては、私からは言及しませんでした。責めてしまうことになりますし、その後の治療拒否につながってしまうことが怖かったので。
認知症ゆえ、失敗してしまうこと、頑なになってしまうこと、側にいて介護をする立場だからこそイライラしてしまうことはたくさんあるだろう。怒ってしまうことがあっても、治療拒否になる事態だけは避けるように立ち回ることが求められるのかもしれない。
取材・文=西連寺くらら