自分の容姿がコンプレックス!!酒に逃げたアル中女は、男の勧誘にのってしまい?戻れなくなった!?【作者に聞く】

昔からタヌキは人を化かすという伝承がある。住む場所や家族が減少しつつあるタヌキは、都会の生活に疲れた人間をスカウトしに町へ繰り出していた。奈川トモ(@nagawatomo)さんの描く「お前、タヌキにならねーか?」通称「おまタヌ」の温かいストーリーは、疲れた読者を癒やし、「次にくるマンガ大賞2023 webマンガ部門」の第5位を受賞。今回は、受賞の気持ちやタヌキ漫画を描くうえで大切にしていることなどインタビューでうかがった。


一度はボツになったプロットを再び蘇らせたのは、コロナ渦の「不安」が大きかった

「お前、タヌキにならねーか?」は現在5巻まで発売中。最新話は、Xで投稿している。また pixiv や、 pixivコミックマガポケ などでも追って読めるので、気になる方は続編も読んでみてほしい。


――次にくるマンガ大賞受賞おめでとうございます!感想をお聞かせください!

奈川さん「ありがとうございます。実は2021年にもノミネートさせていただいていたのですが、その2年後に再びノミネートさせていただけるとは思ってもいなくて本当に驚きました。5位という結果も全く予想していなかったので、信じられないような気持ちでいたのですが、読者の皆さまからいただいたお言葉からは作品そのものの力を信じてくれているということが伝わり大変心強く感じました」

――本作を描いたきっかけを教えてください。

奈川さん「この漫画を最初に思いついたのは、2018年のことでした。読み切り作品のために考えていたプロットの1つで、小学生の頃にタヌキを学校で保護していたことがあり、タヌキを題材にしたものを描いてみたいと思い立ちました。踏み切りを前に命を絶とうとしている人間をタヌキが引き留めるという構図が浮かび、それを物語の冒頭にしました」

お前、タヌキにならねーか?2画像提供:奈川トモ(@nagawatomo)


――しかし、プロットの段階でうまくいかずボツに。2020年に再び執筆を始めたそうですね、そのきっかけは何ですか?

奈川さん「コロナ渦でみんな不安に苛まれていたこともあり、読んだ人の心が軽くなるものが描きたかったです。商業を意識せず形にしたいと第1話を描き、Xに投稿したのが始まりでした」

お前、タヌキにならねーか?3画像提供:奈川トモ(@nagawatomo)


――人の心に染みるハートフルストーリーが人気を集めています。こだわっていることはありますか?

奈川さん「励まそうとして価値観を押し付けない、説教臭くならないようには気をつけています。自分もやられると嫌なことなので(笑)。どんな物事も全員に当てはまることはなくて、人や状況によってほしい言葉や救いになる展開も違ってくるのですごく難しいです」

お前、タヌキにならねーか?4画像提供:奈川トモ(@nagawatomo)

自分の容姿が嫌いで、毒ばかり吐いてしまう女性。少しくらい愛想をよくしていればいいものの、それもできなくて人間関係までもうまくいかない。生きることに疲れ、アルコールに逃げてしまった女性は、人間に化けたこがね丸と屋台で飲み交わす。

お前、タヌキにならねーか?8画像提供:奈川トモ(@nagawatomo)


――自分の容姿にコンプレックスを持つ女性。とても共感したのですが、本作を描くきっかけがあれば教えてください。

奈川さん「このお話は、最初に担当さんから「容姿のコンプレックスをテーマにしたお話が読みたい」と仰っていただいたことがきっかけでした。誰もが多かれ少なかれ持つ悩みということもあり、考えていくうちに単純に努力で向き合うことが困難なほど、心を砕かれている人も大勢いるだろうなと考えました。この回で初めて登場したタヌキの栗之介が、カナコとは相性がとても良いのではないかと想像していくうちに、このお話が出来上がりました」

お前、タヌキにならねーか?6画像提供:奈川トモ(@nagawatomo)

――「人間辛い、タヌキになりたい」と言うコメントがありました。ある意味「逃げ道がある」というのは、とても気持ちを軽くしてくれるものですね。「おまタヌ」でたくさんの読者が癒やされると言う声を聞きます。いかがですか?

お前、タヌキにならねーか?5画像提供:奈川トモ(@nagawatomo)


奈川さん「おまタヌが読者のみなさまの癒やしになっているのであれば、とても光栄に思います。悩んで行き詰まってしまう人は無意識に選択肢を狭めてしまっていたり、考えることに疲れてしまったという方が多くいるように思います。もしかするとまだ見えていないだけの選択肢があるかもしれないと気づいたり、無理して解決しようとしすぎないこと、ひと時でも心の拠り所になれれば幸いです」

お前、タヌキにならねーか?7画像提供:奈川トモ(@nagawatomo)

自分のことばかりで視野が狭くなっていた女性。誰かの視点になれば、人々はそれぞれの物語があり、個別の悩みを抱えているわけで――。

奈川さん「正解のないものに起承転結をつけるので、読み手が好きなように受け取れる、受け取りやすい余白を残せるように気をつけてはいます」

「人間に疲れたらタヌキになればいいか」そんな逃げ道があるだけで、行き詰まっていたことから救われることもある。大人になって壁にぶち当たったとき、答えのない問題に向き合うとき、手にとってほしい。


■取材協力:奈川トモ(@nagawatomo)

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